【これからの見通し】米PPIの強さに注目、7月利下げ観測に影響も
【これからの見通し】米PPIの強さに注目、7月利下げ観測に影響も
先週末の米雇用統計が強かったことが7月の米利下げ観測に一石を投じたことをきっかけに、米債利回りやドル相場は不安定な上下動をみせている。今週のパウエルFRB議長の議会証言では経済のリスク面が強調されたことで市場では7月の0.5%利下げ見通しが息を吹き返した。一方で、昨日の米消費者物価指数ではコア指数が予想を上回り、ヘッドラインの数字の低下もガソリン価格下落である程度説明がつくとされた。0.5%利下げ見通しは再び後退している。
ドル相場をみてみると、今週のドル指数は低下の流れが強い。ただ、上記の米利下げ見通しの振幅でドル指数も神経質。一方、ドル円にとっては米株が最高値を更新する流れもあってリスク選好的な円安圧力もみられている。109円手前から107円台後半へと下落したあと、108円台後半まで戻す激しい動きとなっている。ユーロドルではクロス円の下支えもあって比較的素直にドル安圧力がみられている。1.12台割れ水準から1.13手前水準へと上昇の流れがみられている。
パウエルFRB議長に対して、世界的なリスク状況への予防的な利下げが期待されている。しかし、先週の米雇用統計の強さや今週の米消費者物価指数の底堅さは金融緩和姿勢にとっては相反する面もあり、悩ましい結果となっている。そのような点に着目すると、きょうの米生産者物価指数の結果次第では、大幅利下げにゴーサインが出しにくい状況となることも想定される。最高値更新で好調な相場となっている、米株式市場だが、きょうは週末調整も含めてやや注意しておきたい展開に。6月の米生産者物価指数の予想は前月比+0.1%、前年比+1.6%、コア前月比+0.2%、コア前年比+2.1%となっている。前月比は前回から横ばい、前年比はやや伸び鈍化の予想となっている。
このあとのロンドン・欧州市場では序盤に中国貿易収支(6月)、ユーロ圏鉱工業生産(5月)などが発表される予定。金融当局者の発言関連では、ブリハ英中銀委員、ビスコ伊中銀総裁などの講演が予定されている。NY序盤には、エバンス・シカゴ連銀総裁の講演が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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