ドル円、147円台での推移続く パウエル講演でややドル安の反応も=NY為替概況
ドル円、147円台での推移続く パウエル講演でややドル安の反応も=NY為替概況
きょうの為替市場、全体的に方向感のない展開の中、ドル円は147円台での取引が続いた。本日はパウエル議長の講演があり、先日のFOMCとほぼ同様の内容だったものの、やや後半にドル安の反応が見られていた。
先週の中央銀行ウィークを経て、市場は手掛かり材料に乏しい展開となっている。そのような中で市場は、FRB幹部の発言を市場は注視しているが、先週のFOMCで示された金利見通し(ドット・プロット)が示すほど、FRB幹部は利下げに前のめりにはなっていないことが示されている。労働市場の冷え込みは認識しているものの、粘り強い高インフレが利下げ意欲にブレーキをかけているようだ。
ただ、今後のFRBと各国の金融政策の方向性の格差を考慮すればドル安シナリオを主張する向きは多い。ドルの軟調な展開が続き、年末までにドル円は140円を下回る可能性があるとの見方も出ていた。ここ数カ月で、貿易戦争が融和的になり、投資家が米国資産に戻るなど、ドルにとってある程度前向きな動きが見られた一方、本質的には弱気の見方を維持しているという。
日本ではインフレ対応の必要性が高まっており、FRBが利下げを進める一方で日銀が利上げに踏み切れば、円高要因になるとの見方を示している。さらに円は非常に割安な水準から始まっており、この後の自民党総裁選後に政治的な環境が整えば、円には長い上昇余地があると指摘している。
ユーロドルは1.18ドル台前半に上昇。一方、ユーロ円は174円台での振幅に留まっている。ただ、年末に向けてのドル安期待からユーロの先高観は根強い。ただし、アナリストはユーロは上昇する可能性が高いが、そのペースは緩やかになるとの見方を示していた。投資家がドルから資金をシフトすることでユーロは恩恵を受けるはずだが、ユーロ圏経済の回復が緩慢なことが上昇を制限するという。
「ユーロドルは1.19ドル台に到達するまでに時間がかかる可能性がある。非常に力強い国内材料に欠けているためだ」としている。ユーロドルは先週、FRBの利下げを受けて4年ぶり高値となる1.19ドル台前半を一時付けたが、その後は1.17ドル台に下落。
この日発表の9月のユーロ圏PMIは総合指数が51.2と16カ月ぶりの高水準となったが、8月を僅かに上回る程度だった。
ポンドドルは1.35ドル台前半で一進一退の展開となり、方向感のない展開が続いた。一方、ポンド円は上下動しているものの200円台は重いようで、199円台での推移で変わらず。先週の英中銀の金融政策委員会(MPC)を経て、ポンドに関するテーマもなくなり、市場は専ら11月にリーブス財務相が公表する秋季予算案の景気への影響を探っているようだ。
リーブス英財務相は年金生活者や家主、自営業者らの税負担を増やすことで、被雇用者の懐を痛めずに税収を60億ポンドやすことができると、有力シンクタンクが論じている。国民保険料率を2ポイント引き下げ、所得税の基本税率を2ポイント引き上げべきだという。これにより被雇用者は守られつつ、所得税のみを支払う層の負担が増え、両者の税負担は均等に近づくという。
もっとも、この提案を採用すれば政治的には大きな波紋を呼びそうだとの指摘もある。英労働党は昨年の総選挙で、個人に対する税負担を増やさないと公約して勝利し、政権の座に就いた。所得税の基本税率が引き上げられれば、50年ぶりとなる。一方、被雇用者の税負担は変わらないため、労働党は勤労者を守るとの公約に違反はしていないと主張できる余地はある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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