今週のまとめ4月8日から4月12日の週
8日からの週は、主要イベントが目白押しだった。水曜日にECB理事会、米消費者物価指数発表、米FOMC議事録公表、EU臨時首脳会議などが重なった。週前半は各イベントへの思惑や事前のポジション調整などで神経質に振れる展開となった。ECB理事会では景気見通しへの警戒感が強調された。米消費者物価指数はほぼ無風で通過、米金利への思惑には影響しなかった。米FOMC議事録では、年内の利上げ回数はゼロとの認識が確認され、市場での利下げ思惑を強めるほどの内容ではなかった。そして、EU離脱をめぐるEU臨時首脳会議では、長時間の議論の末に10月31日までの離脱延期が決定された。ポンド関連の短期ボラティリティーが急低下しており、市場の不透明感は一服した。市場はひとまず安心し、ユーロ円などが主導して円安方向への動きがみられた。週末にかけてはリスク選好の動きが広がりドル円は112円台を回復する場面も見られた。中国の3月の与信拡大などの報道に、世界的な景気の減速懸念が後退し、世界的な株高を誘った。
(8日)
東京市場は、ドル円、クロス円の上値が重い展開。週末のトランプ大統領によるFRBへの利下げ及び量的緩和要求や、リビア情勢の深刻化を受けたリスク警戒感の動きが背景。先週末の米雇用統計後にドル円の111円台後半が重かったことで、週明けにポジション調整が出た面も。ドル円は111.70台から111.30台まで下落。ユーロ円は一時125円台割れ。ユーロドルは揉み合い。ポンドは若干の買戻し。EUサミットへの期待も。豪ドルは軟調。豪議会の総選挙が5月18日に行われるとの観測が広がるなかで、野党優勢の報道も。
ロンドン市場は、円買いが一服。ユーロが反発しており、ドル円やクロス円の下げ渋りを主導している。序盤は売りが先行した欧州株が下げを消す動きとなっており、米債利回りも低下一服。東京市場では日経平均が小安く円買いが優勢となったが、ロンドン勢はそれを消す動き。4月のユーロ圏センティックス投資家信頼感が-0.3と前回の-2.2から改善しており、ユーロ買いを誘った面も。ポンドは10日の臨時EUサミットを控えて動きにくい。豪ドルは原油相場の高止まりが下支えに。ドル円は111円台半ば、ユーロドル1.12台半ば、ユーロ円125円台前半で底堅い動き。一方、ポンドドルは1.30台半ば、ポンド円は145円台半ばでの揉み合い。豪ドルはユーロとともに東京時間の下げは一服。対ドル0.71台乗せ水準、対円46円台前半。
NY市場では、ドル売りが優勢。リビアの首都トリポリ近郊で軍事衝突が発生し、内戦本格化するのではとの警戒感が強まっている。これを受けて商品市場で原油相場が大きく上昇し、原油高・ドル安を誘発した。ドル円は111.30近辺まで下落も、ロンドンフィキシング後は111円台半ばまで戻した。ユーロドルは一時1.1275近辺まで上昇。今週のECB理事会では、マイナス金利の副作用が話題となる見込みだが、具体的な行動についてはコンセンサス形成に時間が必要との見方がでていた。ポンドドルは1.30台後半での推移。ドル売り優勢だが、上値が重い。10日のEU臨時首脳会談を控えて期待と不透明感が交錯している。
(9日)
東京市場では、やや円高の動き。朝方は海外市場での下落に対する調整が入り、111.50台まで上昇。プラス圏で始まった日経平均などの動きを支えにクロス円も軒並み買いが先行した。しかし、動き一巡後は流れが反転。リビア情勢の緊迫化を受けた世界的なリスク警戒の動きが円買いを誘った。ドル円は一時111.28レベルまでの下落。ただ、豪ドルが原油高を受けて買いが優勢となるなど、全般的には警戒感は限定的。ユーロやポンドは小動き。
ロンドン市場は、小動き。あすにEU臨時首脳会議、米消費者物価指数発表、米FOMC議事録公表などの注目イベントを控えており、一方向にポジションを傾けたくない状況。欧州株は小高く推移も、円売り圧力は限定的。豪ドルの堅調さは原油高が背景。ドル円は111円台前半で上値重く推移。ユーロドルは1.12台後半でジリ高。ユーロ円は125円台半ばでのレンジ取引。そのなかでポンド相場が神経質に振幅。メルケル独首相が、英EU離脱のバックストップに5年の期限を設定することを提案している、と報じられポンド買いに。しかし、独政府やEU首席交渉官はこれを否定し、売り戻しに。ポンドドルは1.30挟み、ポンド円は145円台前半から146円乗せ水準で上に往って来い。英政府と労働党との協議は引き続き難航。
NY市場は、ドル売りが優勢。ドル円は一時111円台を割り込んだ。米株式市場が下落、米国債利回りも下げた。トランプ政権がEUによるエアバスへの助成金に関連して110億ドル相当のEUからの輸入品に関税賦課を検討していることが伝わったほか、IMFが今年の世界経済の見通しを3.3%に下方修正し、金融危機以来の低水準に修正した。米企業決算への警戒感も。明日の一連のイベントを控えた調整ムードも加わった。ユーロドルは1.1280近辺までの買戻し。一方、ポンドドルは1.30台前半に下落。あすのEU臨時首脳会議を前に、英政府が短期延長を求めていることが重石だった。
(10日)
東京市場は、様子見ムードが広がった。ドル円は111.10台を中心としたレンジ取引に終始。この後の海外市場でECB理事会やEU臨時首脳会合などの重要イベントが控えていることもあり、上下ともに動きにくい展開が続いた。ユーロドルは1.1260を挟んで上下11ポイントの値動き。ポンドドルは1.30台半ばでの推移。EUサミットを控えて市場は待ちの姿勢。豪ドルは買いが強まる場面が見られた。デベル豪中銀副総裁が雇用について驚くほど強い、堅調な状況が当面続くと講演で発言したことが背景。
ロンドン市場は、小動き。欧州株が小高く推移し、やや円売り・ドル売りのリスク選好の動き。ただ、ドル円は111.10-20レベルでの揉み合い。クロス円は上昇も、ユーロ円は125円台前半、ポンド円145円台前半から半ばなどで値動きは限定的。豪ドルはデベル豪中銀副総裁が雇用が予想以上に強いと発言したことの余波が続き堅調。豪ドル円79円台半ばへと小幅に高値を伸ばした。ドル指数はやや低下も、前日からのレンジ内にとどまっている。このあとのECB理事会の結果発表待ちに。
NY市場は、ドル相場が振幅。ユーロドルはECB理事会後のドラギ総裁会見で景気下振れリスクが強調されたことで下落。新たな施策についてのヒントもなかった。1.12台後半から前半へと急落。しかし、その後はドル売りが優勢となり下げを戻した。ユーロ円は125円割れへと急落後は、125円台を回復。FOMC議事録では年内の金利据え置きが確認されたが、利下げのヒントまでは出ず、ドル円は111円近辺へと小幅に買い戻された。ポンドドルはEU臨時首脳会議が行われるなかで神経質に振幅。1.30台後半から1.31台前半で激しい値動き。メイ英首相は6月30日までの短期離脱延長を要求も、EU大統領は1年未満で柔軟に対応するとしていた。
(11日)
東京市場は、EU離脱の延長が決定され、やや円安の動き。現地時間で10日に行われたEU臨時首脳会議は英国のEU離脱について、10月末までの期限延長を決定した。合意なき離脱回避は買い材料も、ほぼ想定の結果だけに、瞬間の反応にとどまった。ただ、じりじりとは買いが入る展開で、ポンドドルは1.31台を回復。ポンド円は145円台半ばへと上昇。ドル円は111円台を回復する動き。上海や香港株式市場が下落するなかで、中国売りが意識され、香港ドルが下落した。
ロンドン市場は、動意薄。昨日の一連の注目イベントを無難に通過したことで、手掛かり難の状況に。欧州株は小幅高とリスク動向は安定している。為替市場ではやや円安方向への動きがみられたが、ロンドン市場では狭いレンジにとどまっている。この日発表されたドイツ消費者物価指数・確報値は速報値と同水準となり手掛かりにならず。ECB専門家調査ではインフレ見通しやGDP成長見通しの引き下げが相次いだが、反応薄だった。EU離脱関連の続報にも乏しく次の材料探しとなっている。ドル円111円台前半、ユーロ円125円台前半、ユーロドル1.12台後半での推移。ポンドはやや振幅したが、方向感は乏しい。
NY市場では、ドルの買戻しが優勢だった。朝方発表された米生産者物価指数や新規失業保険申請件数をがドル買いのきっかけとなった。さらに、このところドルの上値を抑えていた原油の上げがきょうは一服、米国債利回り上昇とともにドルをサポートした。ドル円は一本調子で買われ、111円台半ばの200日線を回復した。今週の一連の重要イベントを無難に通過したこともドル円の買い安心感に。ユーロドルは戻り売りが優勢となり、1.1250近辺まで下落。200日線を下回っている。ポンドドルは1.30台半ばへと下落。昨日のEU臨時首脳会議で10月末までの離脱延期が決定された。合意なき離脱の回避はポンド買いとみられたが、メイ政権への不信感や離脱の先延ばしに過ぎないとの見方もあり、今後も不安定な政治状況が続く。
(12日)
東京市場は、ユーロ買いが広がった。午前の取引でユーロ円の買いとみられるフローが持ち込まれた。ユーロ円は125.70近辺から一気に126円台に乗せ、その後も下値が堅い推移。一部では邦銀による欧州関連事業の買収のフローとの観測があった。ユーロドルも1.12台後半で1.13手前まで上昇。ユーロ円の上げに連動し、ポンド円は146円台前半、カナダ円は83円台後半、豪ドル円は79円台後半、NZドル円は75円台前半へと上昇。ドル円は日経平均の上昇とともに111円台後半でジリ高となった。
ロンドン市場は、リスク選好の円安の動き。3月の中国貿易統計が発表され、輸出の伸びが大幅だったことや、一連の米企業決算発表の皮切りとして大手金融機関JPモルガンの第1四半期決算が予想を上回ったことも好材料だった。米株先物や欧州株が総じて買われている。一時下押しされたNY原油先物も64ドル台半ばへと再び上昇。今週水曜日の一連の注目イベントを無難に通過したことで、投資資金にゴーサインがでた面もあるようだ。東京市場では買収関連のユーロ円買いのフローが観測されていたが、ロンドン市場でも126円台後半へと高値を伸ばしている。豪ドル円も勢い付いて80円台乗せ。ポンド円は146円台半ば、ドル円は112円手前へと高値を伸ばしている。対ドルではドル売りが優勢。ユーロドルは1.13台に乗せている。
NY市場は、ドル円が一時112円台を回復するなど、ドル高円安の動きが広がった。ロンドン市場朝に発表された中国の輸出拡大や与信拡大の動きが世界的なリスク選好の動きにつながった。欧州株、米国株時間外などの上昇、債券利回りの上昇(債券価格の低下)などのリスク選好の動きに、ドル円はNY朝に112円手前を付ける動き。いったん上値を抑えられると、朝一買いが強まった米株にも調整が入ったこともあり、少し調整ムードとなったが、午後に入って再びの株高利回り上昇ドル高円安という流れに、ドル円は112円09銭を付ける動きが見られた。
引けにかけては少し調整も、高値圏での推移に。
執筆者 : MINKABU PRESS
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