ドルの買い戻し強まる ドル円は下に往って来いの展開=NY為替概況
ドルの買い戻し強まる ドル円は下に往って来いの展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は下に往って来いの展開となった。NY時間にかけてドル安が強まり、ドル円も142円台に下落。しかし、NY時間に入ってドルの買い戻しが強まったことで、それまでの下げをほぼ取り戻している。値ごろ感の買い戻しに加え、この日発表の米求人件数が予想外に強い内容となったことや、この日はパウエルFRB議長がECBのフォーラムに出席していたが、先日の議会証言と同様に利下げにはオープンな姿勢は示したものの、待ちの姿勢を強調しており、今後の関税の影響によるインフレの上昇の可能性に言及していた。
ただ、市場の利下げ期待に変はなく、短期金融市場では年内2回か3回の利下げを織り込んでいるが、ドル安に過熱感も見られていただけに、買い戻しも出ているようだ。本日は植田総裁もECBのフォーラムに出席し、「基調的なインフレは物価目標を下回る」と述べ、利上げに慎重姿勢を示していた。なお、トランプ大統領は、日本との貿易協定締結は見込めないと述べ、日本は30%、35%、あるいは「われわれが決めるいかなる数字でも」関税を支払う可能性が高いと語っていた。
なお、米求人件数については、主な要因はレジャー・ホスピタリティ業界での求人の急増で、主に1つの業界に集中していた面もあり、雇用主が人員拡大に慎重である姿勢もうかがえるとの見方も出ていた。
ユーロドルは1.17ドル台に伸び悩んだ。本日も根強いドル安期待からロンドン時間には1.1830ドル付近まで一時上昇。前日まで8日続伸するなどユーロはドル安の受け皿となってきたが、RSIが70を超えるなど、さすがに過熱感も指摘される中、本日は戻り売りが出ていたようだ。
一部からは、ユーロは最近の上昇を受け、今後数カ月で一時的に下落する可能性があるとの指摘も出ている。ユーロにはすでに多くの好材料が織り込まれており、今後3カ月で1.14ドルまで下落する可能性があると指摘。ただし、上昇トレンドの終わりを意味するものではなく、今後12カ月でユーロドルは1.20ドルまで上昇すると予想している。
ポンドドルはロンドン時間に1.37ドル台後半まで上昇していたものの、NY時間に入って1.37ドル台前半まで伸び悩む展開。米政策の不透明感によるドル安を背景に、ポンドドルは21年10月以来の高値を更新していた。ポンドは底堅い値動きが続いているが、英財政問題が重しとなり、今後ポンドが下落するリスクもあるとの指摘がアナリストから出ている。
労働党政権が提案している福祉改革による歳出削減策は、与党内の反発を招いており、議会では数十人の労働党議員が改革案に反対票を投じる見通し。
同アナリストは、今後の歳出削減が実現しなければ、秋の予算で増税または追加の国債発行が必要になると指摘。どちらの選択肢もポンドに下押し圧力をかけると見られている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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