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とれんど捕物帳 ドル安の受け皿が無い状況に変化なし ドル円は適温相場への期待も

為替 


 今週もドル円は膠着した相場展開となった。今週のレンジは何と70銭程度に収まっている。今週も何度か110円台に上昇したものの滞空時間は短く、直ぐに109円台に押し戻されている。一方で下値も底堅く109円台半ばに来ると買いも入るようだ。

 先週はドル安の受け皿が無いと述べたが、今週もその流れに変化はない。先週のFOMCでFRBは利上げ停止を示唆してきた。辛抱強く待つんだそうだ。場合によってはバランシートの縮小も早期に切り上げ緩和状態を維持するとしている。市場は年内の米利上げ期待を完全に後退させている。CMEがFF金利先物取引から算出しているFEDウォッチでは、年内は据え置きか利下げで95%超の確率で織り込んでいる状況だ。

 完璧にドル安のシナリオだが、市場はそう簡単ではない。相手が更にダメだ。特にユーロで、今週発表のドイツの経済指標が予想外の弱さを示した。欧州委員会も今年の成長見通しを大幅に下方修正しており、イタリアに至っては従来の1.2%成長から0.2%まで見通しを落とした。ECBはようやく量的緩和の拡大を終了し、出口戦略に舵を切ろうとしている。まずは評判の悪い中銀預金のマイナス金利解消から手をつけようとしていた矢先だが、ユーロ圏経済の減速で、それがままならない状況に陥っている。

 市場ではマイナス金利の解消は来年以降と見られ始めている。さすがに国債購入を再度拡大できないことから、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を、利上げより先にECBは打ち出すと見ている。恐らくECBは次回の理事会で検討するであろう。

 ドル円に話を戻すが、FRBの突如の姿勢転換からドルは積極的には買えない。一方で受け皿がないことからドル売りにも積極的になれない。更にFRBの姿勢転換で株式市場が底堅くなっており、再び適温相場への期待感が高まっている。よって円買いも進めづらい中で、ドル円は方向感を失っているようだ。下値では日本の投資家の買いも出ているようだが、ドル円のフォワードレート(3ヵ月物)を見ると11月以降、ドル円のヘッジコストが下が始めているので日本の投資家の外債投資にとっても追い風なのかもしれない。

 パウエルFRBの突如の姿勢転換に意見も喧々諤々あるであろうが、バーナンキ元FRB議長が無理して利上げしたあとのサブプライムローン問題の顕在化とその後のクラッシュを鑑みると、賢明な判断なのかもしれない。

 各国中銀が出口戦略の手を緩め始める中、ドル円が上昇するシナリオとしては、市場が再び適温相場に入れるかどうかであろう。NY連銀が発表している景気後退の確率を示す指標が最近、2008年以来の高水準となったというコラムが伝わっていた。米国債のイールドカーブから推計した今後12ヵ月の景気後退の確率は24%に達しているという。この水準に達した場合、かなりの確率で景気後退が現実になっているのだという。

 インフレが上昇しにくい現在の経済構造下で、イールドカーブが示すものが過去と同様に扱ってよいのかという疑問を抱く方もいると思われるが、警戒はしたいところではある。ただ、個人的には、米国の賃金は緩やかだが上昇しており且つインフレが抑制されている中で、米個人消費は落ちないと見ている。米個人消費さえしっかりしていれば、何とかなってしまう。いずれ景気後退は来るであろうが、少なくとも年内は適温相場を期待したい。もっとも、中国共産党がこれまで通りに、パンドラの箱にしっかり蓋をし続けられればの話だが。

 さて来週だが、経済指標では米消費者物価指数(CPI)や、12月の米小売売上高の発表が予定されている。小売売上高は少し気になるところではある。12月は景気の先行き不透明感が過度に強まっていたが、クリスマス商戦の時期でもあり、米個人消費に何らかの影響があったか注目したい。予想はさほど強くないようだ。

 米地区連銀総裁の講演もいくつか予定されているが、市場の期待を覆すような内容はないであろう。最注目は米英の政治であろう。米暫定予算の期限と英議会の採決が週後半に予定されている。「2回目の米政府機関閉鎖」や「合意なき離脱」といったキーワードが浮上するようであれば、ドル円は下押ししそうだ。それなりに回避されるものと期待するが、政治のシナリオは織り込みがたく、最悪のシナリオは常に留意する必要はありそうだ。

 来週のドル円の予想レンジだが、108.50~110.50円を想定。スタンスは「中立」を維持する。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立から下へトレンド変化
短期 ↑↑(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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