【直前まとめ】NFPは伸びがやや鈍化もしっかりした数字を期待=米雇用統計
【直前まとめ】NFPは伸びがやや鈍化もしっかりした数字を期待=米雇用統計
本日21時半に5月の米雇用統計が発表される。米国の年内利上げ期待などが強まる中で、米金融政策の2大命題、物価の安定と雇用の最大化の片側を代表する指標として注目を集めている。
まずは前回4月分の振り返りである。
前回4月分は非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想の+6.5万人を上回る+11.5万人の高い伸びとなった。失業率は4.3%で横ばい(正確には3月の4.26%から4.34%へ小幅な悪化)である。
NFPの内訳を見ると、政府部門が-0.8万人で7か月連続でマイナス圏。民間部門は+12.3万人となった。そのうち財部門が+1.0万人。製造業が-0.2万人と小幅ながら4か月ぶりにマイナス圏に沈んでいる。建設業は+0.9万人で2か月連続のプラス圏。AIデータセンターの建設ラッシュなどが雇用につながったとみられる。民間サービスは+11.3万人と好調。教育・医療サービスが+4.6万人と全体を牽引した。米国でも進む高齢化を反映して、介護施設や在宅医療サービスでの増加が下支えとなっている。小売業が+2.2万人、運輸・倉庫業が+3.0万人とともに2か月連続でしっかりした伸びとなったことも、雇用全体の押し上げ要因となっている。ただ、小売業は倉庫型を含めたスーパーマーケット業、運輸・倉庫は宅配・メッセンジャー業に雇用増が偏っており、業界全体の伸びではない点には注意が必要である。娯楽・接客業は+1.4万人。単体で1236万人の雇用を抱える大きな項目である飲食業が+1.72万人とまずまずの伸びとなって同部門を支えた。小売、運輸・倉庫、娯楽・接客などは一般的に経済に余裕があるときに伸びる項目だけに、雇用市場の堅調さへの期待感はあるが、前述のように一部業種に偏った伸びとなっているだけに、やや割り引いて考える必要がありそうだ。
そのほか、労働参加率が0.1%の悪化、広義の失業率であるU6失業率が8.2%と2か月連続で悪化して昨年12月以来の弱い数字になるなど、厳しさも見られる。平均時給は前月比+0.2%で3月から横ばい、前年比は+3.6%で3月の+3.4%から伸びたが、ともに市場予想(+0.3%、+3.8%)を下回っており、厳しい結果と言える。
※U6失業率:通常の失業率(U3)に加えて、正社員での職を望みながら、パートタイマーでの職しか得られていない労働者や、働く意思はあるものの調査期間中に求職活動を行っていなかったため労働力人口から省かれた人などを加えた広義の失業率
今回の雇用統計の関連指標を見ていく。
まずはISM。1日のISM製造業景気指数は54.0と4月の52.7から上昇、予想の53.0も上回った。2022年5月以来4年ぶりの好結果である。新規受注が56.8と前回の54.1から伸びている。4月が46.4と弱かった雇用は48.6まで改善したものの、50を下回っている。納入遅延が60.6と高水準で横ばい、価格は82.1と4月の84.6から小幅な鈍化も見られるが、かなり高い水準となっている。昨日発表されたISM非製造業景気指数は、予想53.8(前回53.6)、新規受注予想53.4(前回53.5)、雇用予想48.8(前回48.0)、価格予想72.3(前回70.7)となった。
週間ベースの新規失業保険申請件数は雇用統計の基準日である12日を含む週の比較で4月が21.5万件、5月が21.0万件と、小幅に改善したもののほぼ同水準である。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想の92.0に対して93.1と好結果。4月の数字も92.8から93.8に上方修正されている。雇用関連では仕事が豊富にあるとの回答が2021年2月以来の低水準となる一方、仕事を得ることが困難との回答も7か月ぶりの低水準となっており、認識はまちまちである。市場が注目する両者の格差は6.9となり、4月の7.5から低下している。
2日の4月の米雇用動態調査(JOLTS)がサプライズな好結果となった。求人件数は761.8万件と、3月の688.7万件、予想の686.6万件を大きく上回った。一方、採用件数が511.6万件と3月の553.5万件から一気に減少、採用率は3.5%から3.2%へ低下した。解雇数も減少し、解雇率は1.2%から1.1%へ低下。離職率も2.0%から1.9%に低下しており、低採用、低離職、低解雇と、雇用市場の流動性が低い状況が見られている。
これらを踏まえた5月の米雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が+8.8万人と前回の+11.5万人から伸びが鈍化する見込みである。失業率は4.3%で横ばい、平均時給は前月比+0.3%と小幅改善、前年比+3.4%と鈍化の見込みとなっている。
NFPの伸びはやや冴えない印象だが、ダラス連銀の試算するブレークイーブン雇用(失業率を悪化させないために必要な雇用者数)は3万人程度となっており、水準的にはまずまずである。予想前後であれば、今後の利下げに向けて市場の注目が物価に集まるという展開が見込まれる。
執筆者 : MINKABU PRESS
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