ドル円、一時149円台に伸び悩むも150円台に戻す展開=NY為替概況
ドル円、一時149円台に伸び悩むも150円台に戻す展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時149円台に伸び悩む動きが見られたものの、終盤に150円台に戻す展開となった。自民党総裁選で積極財政派の高市氏が新総裁に決まり、事前の市場のシナリオ通りに円相場は円安の動きが強まった。一方、週明けの日本株は急騰。
財政拡大路線への懸念からの円安とは思われるが、日本国債の利回りはロンドン時間に入ってから上昇したものの、本日はフランス首相の辞任のニュースもあり、他国の国債利回りも上昇。日本国債もその流れに沿った動きとも取れ、さほど急激な動きは見られていない。また、CDS市場でも日本国債5年物のスプレッドはさほど変化は見られていない。こちらの方はいまのところ、落ち着いた反応を見せているようだ。
序盤の下げは、高市総裁に近いとも言われている元内閣参与の本田氏のインタビューがきっかけ。本田氏は日銀の利上げについて、10月は難しいとの見方を示す一方、12月の可能性には言及していた。「いまのような環境であれば0.25%引き上げても問題はない。仮に12月にやるとしても、米国は心配だが、そんなに混乱しなければ大丈夫だろう」と述べていた。
短期金融市場では、今月末の決定会合での利上げ確率は先週の55%程度から25%程度に急低下している一方、12月については52%程度の確率で見ている。
ユーロドルは、フランスのルコルニュ首相辞任のニュースで仏資産が急落し、ユーロもロンドン時間に売りが強まった。ユーロドルは一時1.16ドル台半ばまで下落したものの、NY時間に入って下げを解消し、1.17ドル台に戻す展開。一方、ユーロ円はフランス首相の辞任のニュースが飛び込んだものの、力強い動きが続いており、176円付近で推移している。
ただ、仏首相辞任を深読みし過ぎないよう市場は慎重になるべきだとの指摘も聞かれる。フランスの政治リスクを通してだけでユーロ相場を考えるのは、視野が狭過ぎるという。ここ数週間のフランス政治関連の報道に相場はほとんど反応しておらず、本日の動きは単に投資家が飛び付いただけかもしれないと指摘している。
米政府機関閉鎖でドル側の材料が出にくくなっていることも背景にあり、仏首相辞任によるユーロ下落は長続きしそうにないという。
ポンドドルは買い戻しが出て、1.34ドル台後半まで上昇。ただ、21日線と100日線の下で推移は続いており、上値の重い雰囲気に変化はないが、下値を試す動きもない状況。一方、円安の動きからポンド円は202円台に急伸し、本日高値圏での推移が続いた。年初来高値を一気に更新しているが、今年夏までの上向きの流れに完全に戻させるか注目される。
次回の英中銀の政策決定はベイリー総裁の1票に左右される可能性が高いとの見方がエコノミストから出ている。現在の金融政策委員会(MPC)はバランスは取れているものの意見が大きく割れている。先週ブリーデン委員は、「最近のインフレの高まりは追加的なインフレ圧力にはつながらない」との見方を示す一方、タカ派のマン委員は「より長期の据え置きを望む」と述べている状況。この委員会内の明確な対立状況を踏まえると、最終判断はベイリー総裁に委ねられる可能性が高いという。
「われわれは、ベイリー総裁が労働市場の下振れリスクや緩やかな利下げサイクルに言及し、11月利下げに前向きな姿勢を示すかに注目している」と述べている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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