ドル円は148円台半ばに下落 米政府機関閉鎖への懸念がドルを圧迫=NY為替概況
ドル円は148円台半ばに下落 米政府機関閉鎖への懸念がドルを圧迫=NY為替概況
きょうのNY為替市場は期末接近の中、ドルは戻り売りが強まり、ドル円は148円台半ばに下落。先週は心理的節目の150円を試す動きも見られていたが、結局、達成できずに一旦後退している。
米政府機関閉鎖への懸念がドルを圧迫している模様。明日9月30日は米政府の会計年度末だが、米下院ではつなぎ予算案が可決されているものの、米上院では共和、民主双方が歩み寄れないでいる。これまでも度々見られた光景で、市場も慣れっこになっているが、今回は若干深刻なようだ。万一、10月1日から米政府機関が閉鎖となれば、10月3日の米雇用統計は発表が延期になる可能性が高まる。
アナリストは、ドルは通常このような局面の前に下落し、資金問題が解決されると反発する傾向があると指摘。トランプ大統領は閉鎖になれば、政府職員を大量解雇すると脅しているが、すでに労働市場の減速が意識される中で、政府機関の閉鎖は新たな逆風になると見られている。「長期の閉鎖になれば、市場がFRBの利下げサイクルを正確に織り込む能力を阻害しかねない」とのコメントも聞かれる。
ドル円については日銀の利上げ期待の高まりによる円高圧力も加わっていたようだ。利上げに慎重と見られていた野口審議委員が「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつある」と語っていたことに敏感に反応。市場では10月利上げの可能性を高め、短期金融市場では66%程度まで確率が上昇している。
ユーロドルは1.17ドル台半ばに戻している。本日の21日線が1.1735ドル付近に来ているが、その水準を回復する動き。ユーロ自体の材料は少なく、ユーロドルは専らドルの材料に左右されている。
きょうはスペインの9月の消費者物価指数(HICP)が発表になっていたが、前月の2.7%から3.0%に加速し、ECBの利下げサイクル終了の見方を補強する内容となった。明日はフランスとドイツのHICP、そして水曜日にはユーロ圏全体の速報値が発表になるが、上記の見方を裏付けるとも見られている。
本日はECBチーフエコノミストのレーン理事の発言が伝わっていたが、インフレについて「上下いずれの方向にも大きなリスクは見られない」と述べ、当面は金利を据え置こうとしていることを示唆していた。
ポンドドルも買い戻しが出ており、1.34ドル台半ばまで一時上昇。一方、ポンド円はドル円の下落のほか、円高の動きも出ていることから199円台に下落した。200円台を維持できずにいる。
本日は英労働党大会が開催され、リーブス英財務相のスピーチに市場の関心が集まっていたが、ポンドも英国債も反応は限定的だった。リーブス財務相は「公的財政を立て直す」と誓ったものの、歳出削減や増税には言及しなかった。また、トラス元首相のように財源の裏付けのない減税に触れながら、「労働党は決して保守党が普通の労働者にしたようなことはしない」と強調していた。さらに「今後数カ月でさらなる試練に直面するだろう」と述べ、世界的な逆風が意思決定を一層難しくしていると警告した。
労働党政権が歳出削減による財政赤字削減計画を撤回する兆しを見せれば、ポンドはネガティブな反応を見せるともみられていたが、それはなかった。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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