米CPIを受けドル安が優勢 ドル円は一時144円台前半に下落=NY為替概況
米CPIを受けドル安が優勢 ドル円は一時144円台前半に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)を受けてドル安が優勢となった。ドル円は145円台に上昇していたが、一時144円台前半に下落。米CPIは予想を下回り、市場では年内2回の米利下げ期待が復活。9月利下げの期待も確率を高めている。
ただし、FRBは関税の物価への影響を気にしており、利下げへの慎重姿勢に変化はないものと見られている。来週のFOMCに向けて、委員は今週から発言を控えるブラックアウト期間に入っているが、今後の動向を更に確認したい意向と見られている。米CPIのデータからエコノミストは、FRBが重視しているPCE価格指数は前回から上昇が見込まれるとの推計も出ていた。
ロンドンで2日間に渡って行われていた米中協議が終了し、機微な製品の流通を再活性化させる枠組みを策定した。トランプ大統領は投稿で、「中国とのディールが成立した。合意は習氏と私の最終承認次第」と述べた。また、米国の関税率は55%、中国は10%になるとも述べていた。市場はいまのところ、関税自体には落ち着いた反応を示している。関税の影響が実体経済にどう反映されるかを当面は確認したい意向のようだ。
ユーロドルは1.15ドルを試す展開となっている。1.15ドル台には売りオーダーも厚く観測されているが、突破できれば、4月21日に付けた2021年11月以来の高値1.1575ドル付近を試す動きが期待される。
ドル離れが指摘されている中、ユーロはその代替として期待されているが、ECBが11日に発表したユーロの年次評価によると、全通貨に占めるユーロのシェアは19%で、前年とほぼ変わらず。外貨準備に占める比率も16%に留まっている。なお、金が外貨準備の20%を占め、ユーロを抜いた。ドルは46%で緩やかな減少傾向を継続。
トランプ大統領のホワイトハウス復帰後、不安定な政策運営を背景にドルへの信頼が低下しているとして、欧州当局者の間では、圧倒的なドルの地位を揺るがす好機との期待が高まっていた。今回のECBの報告はその期間は含んでいないものの、ドルとユーロの差が依然として大きいことを明示している。
ポンドドルは1.35ドル台半ばまで買い戻された。きょうの上げで21日線がしっかりとサポートされており、上向きの流れを堅持している。目先は5日に付けた2022年2月以来の高値1.3615ドルが意識される。
本日はリーブズ英財務相が議会に歳出見直しを提示していた。手頃な住宅建設への390億ポンドの投入や、インフラ整備への1130億ポンドの追加投入、今後3年間は国民保険サービス(NHS)を実質で毎年3%の過去最大の増額実施などが盛り込まれていた。
これに対して、増税は避けるべきとのコメントも出ていたが、エコノミストからは、増税が必要かどうかではなく、どの程度の増税が必要かが焦点との指摘が出ている。公共サービスへの圧力と有権者の歳出増加要求を考えると、実質的な予算削減は事実上不可能と指摘。生産性に関する予算責任局(OBR)の予想の下方修正により、英政府は増税を余儀なくされる可能性があり、さらに英中銀による追加利下げの可能性も高まると述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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