FX/為替「ドル/円、下値リスク拡大 積み上がった円買いポジションの巻き戻しには注意」 外為どっとコム トゥデイ 2025年3月11日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年3月11日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼10日(月)の為替相場
(1):日本の勤労統計 予想を下回る
(2):独鉱工業生産は予想以上
(3):独財政拡大案に暗雲
(4):米株価指数 大幅下落
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:下値余地拡大/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(月)の為替相場
期間:10日(月)午前7時00分~11日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本の勤労統計 予想を下回る
日本の1月毎月勤労統計で現金給与総額(前年比)は+2.8%となり、市場予想(+3.0%)を下回った。また、前月分は+4.8%から+4.4%に下方修正された。物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比-1.8%だった。
(2):独鉱工業生産は予想以上
独1月鉱工業生産は前月比+2.0%と市場予想(+1.5%)を上回る伸びとなった。一方、同時に発表された独1月貿易収支は、輸出が市場予想(前月比+0.5%)に反して前月比-2.5%と落ち込んだことを背景に、160億ユーロの黒字と市場予想(199億ユーロの黒字)を下回った。
(3):独財政拡大案に暗雲
ドイツの「緑の党」はキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が打ち出した数千億ユーロに及ぶ債務抑制策の緩和やインフレ投資案について、「現状のままでは支持しない」との方針を示した。防衛力の強化や景気下支えにつながる財政出動への不透明感が広がるとユーロは一時下落した。
(4):米株価指数 大幅下落
トランプ米政権の関税政策を発端とした貿易戦争の激化や、米政府職員の大量解雇などを背景に米国が景気後退に陥るとの懸念が強まり米株価指数が大幅に下落。NYダウ平均は890ドル安、ナスダック総合指数やS&P500種はそれぞれ155.64ポイント、727.90ポイント低下した。
10日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:下値余地拡大
昨日のドル/円は終値ベースで約0.5%安。トランプ米大統領の関税政策や米政府職員の大量解雇などにより米景気後退懸念が強まった。米株価指数は大幅に下落し、安全資産とされる米国債が買われたことで日米金利差が縮小。ドル/円は一時昨年10月4日以来となる146.63円前後まで下値を拡大した。週末にトランプ米大統領が米国の景気減速リスクを否定しなかったこともドルの上値を抑える一因となっている。本日は米1月JOLTS求人件数が発表される。米労働市場の悪化を示唆する結果となれば、一段のドル売り圧力がかかることになりそうだ。ドル/円は一時的とはいえ昨年9月から今年1月の上げ幅の61.8%押し水準(146.94円前後)を下抜けたことで、145.00円前後まで下値余地が拡大したと考えられる。一方で、投機筋の円買いポジションが歴史的な水準まで積み上がっているため、米経済指標の好結果などドル買い要因が出た場合には、短期間で大きく上昇する可能性があることは留意しておきたい。
注目の経済指標:JOLTS求人件数
注目のイベント:特になし
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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