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為替相場まとめ10月21日から10月25日の週

為替 

 21日からの週は、ドル高と円安の動きが中心となっている。ドル円は週明けの149円台から153円台まで上昇。ユーロドルは1.08台後半から1.07台後半に軟化。ポンドドルは1.30台後半から1.29台前半まで下落した。10月に入ってから一連の米経済指標が強含んだことを受けて、足元での米利下げ観測がかなり後退してきている。年内の50bp利下げの可能性はほぼ消えており、一部には据え置き観測も広がってきている。米債利回り上昇とともにドル買い圧力となった。また、11月5日に迫る米大統領選でトランプ氏の優勢が伝えられている。いわゆる「トランプトレード」でドルが買われる面も強かった。円安の動きも広がった。石破首相が当面の利上げに難色を示したことをうけて、日銀も同調。植田日銀総裁は「見通し通り進展すれば緩和の度合いを調整する」との基本路線を封印し、「まだ時間に余裕がある」との発言を繰り返している。今週末の衆院選を控えて、現状では自民・公明の過半数割れの可能性を示す調査結果も報じられている。政局がどのように動くかを確認するまでは、日銀も動きにくいとみられている。ただ、急ピッチなドル円の上昇を受けて、週後半は加藤財務相や青木官房副長官、三村財務官などから円安けん制発言が発せられた。ドル円は151円台へと押し戻された。ドル円相場主導の展開となるなかで、週末27日の衆院選の行方に市場は神経を尖らせている。


(21日)
 東京市場は、小動き。午前は日経平均が一時200円超の下げとなったことや、27日に控えた衆議院選挙投開票への警戒感などからリスク回避の動きで円高となり、一時149.09付近まで下落した。しかし、東京終盤では下げ渋り、149.30台まで戻したあと、手がかり材料難のなか揉み合いに落ち着いた。ユーロ円はドル円と同様に一時162円ちょうど付近まで円高傾向となったあと、162.20台まで戻す場面があった。ポンド円は午後に194.70前後で小動きとなった。ユーロドルは1.08台後半で小幅な値動きにとどまった。

 ロンドン市場では、ドル買いが優勢。米10年債利回りが4.08%付近から4.13%付近へと上昇したことに反応。週明け海外市場では特段の注目指標発表はなく、週末の報道に影響された面が指摘される。中東情勢の緊迫化が原油高を再燃させておりインフレ懸念に。また、トランプ氏の優勢が伝えられるなかで高関税率がインフレ圧力となる面も。ドル円は149円台前半から150円台に一時上昇。ユーロドルは1.08台後半から半ば割れへ、ポンドドルは1.30台半ばから1.30台前半へと軟化している。ドル円とともにクロス円も上昇。ただ、欧州株は軟調に推移しており、リスク選好の動きはみられず。市場では27日の衆院総選挙を控えた政治不透明感から日銀が利上げに踏み切りにくい状況にあるとみる向きもあるようだ。

 NY市場では、ドル買いが優勢。きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は150円台後半まで上げ幅を拡大した。米国債利回りが上昇する中、ドル円は上値追いが強まっており、目先は151円台前半に来ている200日線を試すか注目される。FRBの利下げペースは他の主要中銀と比べて緩やかなペースになるとの見方から、市場のドル高への期待は根強い。一部からは11月FOMCで利下げが見送られるのではとの観測も浮上していた。また、米大統領選や中東リスクに絡んだドル高も指摘されている状況。ドル円については日曜日の衆院選での自民党の苦戦が報じられており、政治的な不安定が日銀の利上げに影響するのではとの見方も出ていた。ユーロドルは下値模索が続き、1.0815付近まで下げ幅を拡大。ポンドドルも下げを加速させ、これまで強くサポートされている1.30を再び割り込んだ。

(22日)
 東京市場では、円売りが優勢。米10年債利回りが朝の4.18%台から4.22%近くまで上昇したことなどを支えにドル円は151.10前後まで上値を伸ばした。昨日海外市場の動きはドル主導であったが、アジア市場はユーロドルが朝から11ポイントレンジに留まるなど、落ち着いた動きとなっており、円安が主導。目立った新規材料が出ているわけではなく、これまでの米大幅利下げ期待の後退やトランプ共和党大統領候補が激戦区で優勢などの報道がドル買い・円売りを誘った。ユーロ円は163.48前後まで一時上値を伸ばした。ポンド円が195円台半ば前後から196.39近辺まで上昇。ユーロドルは1.0813-1.0824の狭いレンジで推移。

 ロンドン市場では、前日からのドル買いが一服。前日のドル高を支えた米10年債利回りの上昇は、4.21%台までにとどまり、その後は4.20%台に落ち着いている。この日は目立った経済指標発表の予定はなく、このあとのベイリー英中銀総裁やラガルドECB総裁などの講演待ちとなっている。ユーロ対ポンド相場ではポンド売りが優勢。今月初めにはベイリー英中銀総裁が中銀が利下げについて「もう少し積極的になる」との見通しを示したことが、ポンド売りを強めた経緯がある。ラガルドECB総裁が次回利下げのシグナルを明示しなければ、ポンド安の動きが想起されそうだ。ポンドドルは1.30台乗せから1.29台後半へと下押しされている。ユーロドルは1.08台前半での振幅が続いている。円相場は静かな取引で、ドル円は150円台後半から151円台乗せ水準でのレンジ取引。ユーロ円は一時163円台後半に高値を伸ばしたが、ロンドン時間には上昇一服。ポンド円は196円台半ばまで買われた後は195円台後半へと反落している。

 NY市場では、ドル円が再び151円台に乗せた。市場はFRBの利下げへの期待を後退させており、米債利回りも上昇する中、為替市場ではドル高が続いている。そのような中でドル円は、前日の上げの勢いから、上値追いへの安心感が出ていたようで、リバウンド相場を加速させている。目先は151.35付近に200日線が控えており明日以降、試しに行くか注目される。一部からは今回のドル高について、トランプ氏が提案する関税が世界貿易を混乱させるリスクに備えているとの指摘も出ていた。ユーロドルの下値模索が続き、1.08台を割り込んだ。1.08割れは8月2日以来。ECBの追加利下げへ期待も強まっており、両中銀の方向感の違いが意識された。本日はラガルドECB総裁を始め、ECB理事の発言が相次いでいた。総裁は「段階的な利下げが発信されている」と述べていた。エスクリバ・スペイン中銀総裁は、ユーロ圏のインフレは来年もECBの目標である2%前後で安定する可能性が高いとの見方を示した。ポンドドルは1.29台での取引。英中銀の利下げを巡って様々な見方が出ているが、11月は利下げが確実視されているものの、12月については見解が分かれている。また、今月30日にリーブス財務相が公表する秋季予算案も英中銀の行動に影響を及ぼすとの見方も出ている。リーブス財務相は前任者と比較して、今後数年間は緩和的な財政政策を主導する可能性が高く、そのため英中銀は金利を通常よりも高く維持する必要があるという。

(23日)
 東京市場では、ドル円が一段高。午前に前日のドル高円安傾向を引き継ぎ、151円ちょうど付近から151.80台まで水準を切り上げた。午後は上値を広げ、前日NY終値比1円以上の円安水準となる152.34付近まで一段高となり、7月31日以来およそ3か月ぶりの高値を更新した。米10年債利回りは、米国経済のソフトランディング期待などから、およそ3か月ぶりの高水準となる4.23%台まで一時上昇し、ドル円相場の支えとなっている。クロス円も軒並み円安。ユーロ円は164.56付近まで、ポンド円は197.87付近まで上昇し、ともに前日NY終値と比べて1円超の円安となった。 ユーロドルは朝から15ポイントレンジ。1.08ちょうど前後で小動き。

 ロンドン市場では、円安が進行。今週に入ってからは米債利回り上昇とともにドル高圧力が広がっている。いわゆるトランプトレードの動きとみられ、米国のインフレ警戒がドル高につながっている。加えて、きょうは円売りの面も。今週末の衆院選で自民・公明党の過半数割れの可能性が報じられるなか、政情不安のなかでは日銀の早期利上げが実施しにくいとの思惑があるようだ。このあとのNY市場終盤にはIMF会合で植田日銀総裁が講演を行う。ドル円は終日上昇しており、東京朝方の151円付近から足元では152円台後半へと上昇。クロス円も買われており、ユーロ円は163円付近から164円台後半へ、ポンド円は196円割れ水準から198円台前半へと買われ続けている。ドル相場はドル買いが優勢だが、ユーロドルは1.08台乗せ水準から1.07台後半へ、ポンドドルは1.29台後半で上値重く推移と円相場と比較すると小動きになっている。米10年債利回りは4.21%から4.23%台半ばと前日から水準を上げて推移している。

 NY市場では、ドル円が一時153円台まで一気に上昇した。今週に入って上げの勢いが増し、151.35付近に来ている200日線を突破したことで上値追いに安心感が出たようだ。為替市場は米大統領選や中東リスクに絡んでドル買いが加速している。米大統領選について市場では、トランプ氏が勝利するシナリオを織り込んでいる節もあるが、ハリス氏でもシナリオはドル高と見ているようだ。程度はあれ、どちらも財政は拡大方向と見られている。ドル円については日曜日の衆院選での自民党の苦戦が報じられており、政治的な不安定が日銀の利上げに影響するのではとの見方もドル円を後押ししている状況に変化はない。FRBの利下げペースに対する基本的な変化を背景に、ここに来て日米の政治リスクがドル円を押し上げているもよう。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.0765付近まで下落。ポンドドルも下げを加速させ、一時1.29台前半まで下げ幅を拡大。オプション市場ではユーロ弱気への賭けが優勢。FRBとECBの金利の方向性の見直しと、米大統領選のリスクに対するポジショニングを反映。ベイリー英中銀総裁の講演が伝わっていたが、ポンドドルは買い戻しの反応を見せていた。カナダ中銀が政策委員会の結果を発表し、政策金利は予想通りに50bpの大幅利下げを実施した。声明では「今後の利下げ時期とペースはデータ次第」とし、「経済が予想通りに進展すれば、さらなる利下げの可能性がある」と再言及。ただ、ほぼ予想通りの内容にカナダドルの反応は限定的だった。

(24日)
 東京市場では、ドル円が軟調に推移。前日のドル高の反動などから軟化し、一時152.11付近まで下落した。加藤財務相が為替相場について「緊張感をさらに高めて注視していきたい」と発言したことを受けた円買いや、米10年債利回りが4.21%台まで低下したことによるドル売りもドル円相場の重石となった。下げ一服後は、152.30台まで戻して小動きとなっている。 クロス円もおおむね午後にこの日の安値を更新し、ユーロ円は一時164.17付近まで、ポンド円は一時196.66付近まで下落した。ユーロドルは午後にドル売りが優勢となり、一時1.0794付近まで強含む場面があった。

 ロンドン市場では、ドルが反落。この日は前日とは歯車が逆回転しており、米債利回り低下とともにドル売り圧力が掛かっている。米10年債利回りは4.24%台から4.18%台へと一貫して低下してきている。ドル円は東京朝方の152.80付近を高値に、ロンドン時間には151.80付近へと下落。ただ、昨日上方にブレイクした200日線は151.40レベルに位置しており、その水準には届いていない。前日までのドル買いの調整の域はでていないようだ。ユーロドルはロンドン朝方に仏PMIが弱含んだことに反応、1.0770付近まで下落した。しかし、独PMIが強含んだことで反発し、1.08台に乗せた。ポンドドルは1.29台前半から後半へと上昇している。英PMIは前回から低下したが、景気判断分岐点50は引き続き上回った。ユーロ対ポンドではユーロ売りが優勢になっている。独連銀月報では賃金の伸びが依然として高水準であることが指摘された。しかし、ディスインフレのプロセスを根本的に疑問視するものではないとした。英CBIが調査した製造業の景気楽観度指数は大幅に低下した。10月30日の英予算発表では一部法人税の引き上げ示される見込みでやや不安材料となっているようだ。

 NY市場では、ドル円が反落。ドル円は戻り売りに押され一時151円台半ばまで下落した。前日は上げの勢いが加速し、153円台まで一気に上昇、米大統領選を前にしたドル高と米国債利回り上昇でドル円のリバウンド相場を加速させていたようだ。しかし、さすがに過熱感は否めず、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは前日に買われ過ぎの水準である70を超えていた。本日は米国債利回りも下げており、ドル円も上げ一服となったようだ。ユーロドルは買い戻しが入り、1.08台に戻している。ナーゲル独連銀総裁の発言が伝わり、「利下げを急ぎ過ぎるべきではないが、柔軟性は維持している」と述べた。市場では次回12月ECB理事会での利下げ幅を巡って見方が分かれているが、理事の間でも見解が分かれている。25bpの通常利下げのみを主張する理事がいる一方、50bpの大幅利下げも選択肢にあるべきと主張している理事もいる。ナーゲル独連銀総裁は後者と見られている。ポンドドルも買い戻しが膨らみ、一時1.2990付近まで上昇。来週30日にリーブズ英財務相が、秋季予算案を議会に提出する予定で市場も注目している。「予算編成では債務を異なる方法で測定する」「公共部門への純投資の減少は望んでおらず、予算に十分な余裕を持たせる」と同財務相はインタビューに答えた。

(25日)
 東京市場は、ドル円が方向感定まらない展開。午前に5・10日(ゴトー日)絡みとみられる国内輸入企業からの買いで、一時152円台を回復する場面があった。しかし、午後は27日に控えた衆議院選挙への警戒感などから伸び悩み、前日安値を下回る151.46付近まで下落した。米10年債利回りが4.17%台まで低下したことも重石となった。ただ、その後は下値は広がらず151円台後半へと戻している。クロス円は、ドル円と同様に午後に入ってやや円高に振れ、ユーロ円は164円割れ、ポンド円は196.41付近まで、豪ドル円は100.30付近まで下落した。ユーロドルは.1.0820から1.0829までの9ポイントレンジにとどまった。

 ロンドン市場は、小幅の値動きで推移している。ドル円は東京午後に151.50割れまで軟化したが、ロンドン時間には一時152円台を回復。しかし、買いも続かず152円付近で揉み合っている。週末の衆院選を控えて結果を見極めたいとのムードが強いようだ。米10年債利回りは4.17-4.20%台での上下動で方向性に乏しい展開。米株先物が小高く推移、欧州株は小動きになっている。ユーロドルは1.08台前半での小幅上下動。ユーロ円は164円付近から164円台後半へ一時上昇も、足元では値動きは落ち着いている。10月独Ifo景況感指数は86.5と前回の85.4から上振れしたが、ユーロは反応薄だった。シムカス・リトアニア中銀総裁が50bp利下げに否定的な見方を示したが、買いは続かず。ECBの消費者インフレ期待調査では、1年先CPIが前回調査の2.7%から2.4%へと低下した。ポンドドルは1.29台後半でじり高。ポンド円は196円台半ばに一時下押しも、197円台を回復している。いずれの値動きも比較的小幅にとどまっており、様子見ムードの広がる時間帯となっている。

 NY市場ではドル高が強まった。ドル円はロンドン市場までの高値を超えて152円38銭まで上昇。ユーロドルが1.0800を割り込む動きを見せた。米債利回りの上昇が支えとなった。米10年債はNY朝の4.17%台から4.24%台を付けている。最新世論調査で保守系メディアだけでなく、これまでハリス氏リードを伝えていたWSJやCNNなどのメディアによる調査でタイにまで状況が変化したことが、トランプ氏優勢を意識する動きの強化につながり、物価高見通しなどが広がる形でドル高米債利回り上昇などの動きにつながっていると見られた。ドル円に関しては週末の日本の衆議院選挙を警戒する動きも見られている。


 
 

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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