全体的に動意薄 ドル円は米中のニュースで151円台半ばに急落する場面も=NY為替概況
全体的に動意薄 ドル円は米中のニュースで151円台半ばに急落する場面も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時151円台半ばに急速に下落する場面が見られたものの、後半には下げを戻している。米政府が、中国向けのソフトウェアの輸出を制限する計画を検討していると伝わったことで、ドル円も急速に売りが強まる場面が見られた。具体的には、ノートPCやジェットエンジンなど、米国製のソフトウェアが使われている、またはソフトウェアを使って作られた製品を中国に輸出する際の規制強化が議論されているという。
ドル円は、高市トレードで一時153円台まで急上昇する場面も見られたものの、実際に高市氏が首相に就任し、ひとまず一服感も出ているようだ。日銀の利上げについての見方が様々出ているが、今月の決定会合では見送られる公算が大きいと見られているものの、12月はまだ可能性があるとの見解で一致しつつある。
エコノミストは、「円高派(ドル円下落)は高市首相の下で財政健全化が緩む可能性に神経質になっているかもしれないが、金融政策面で見れば、日銀は依然として利上げが可能で、年内の決定会合で議題に上る可能性は十分にある。それを踏まえると、円先高観を完全に放棄する時期ではない」と述べている。
また、「円安派(ドル円上昇)は151円台で勢いを保っており、155円の水準を視野に入れている。ただ、FRBと日銀の政策スタンスを左右する景気循環の違いを考慮すると、年末までにドル円が150円を下回るレンジに戻るという見方は、なお妥当と言える」とも付け加えた。
ユーロドルは1.16ドルを挟んで上下動。本日は狭い範囲での値動きの中、一時1.1580ドル付近に値を落とす場面の見られていた。一方、ユーロ円は前日の上げこそ一服しているものの、21日線の上での底堅い値動きは継続しており、176円台で推移。
前日にECBのチーフエコノミスト、レーン理事が「ドル調達が枯渇すればユーロ圏の銀行は圧迫に直面する」と警告していたが、これについてアナリストは、「ユーロが直面する金融安定リスクを浮き彫りにしている」と指摘している。レーン理事は「ユーロ圏の銀行はドルに対するエクスポージャーが大きいことを考えると脆弱だ」とも述べていた。
同アナリストは、この発言はユーロ圏の成長は脆弱でセンチメントももろいため、短期的なユーロの上昇余地は限定的であることを浮き彫りにしていると指摘している。
きょうのポンドドルは下に往って来いの展開。ロンドン時間には1.33ドルちょうど付近まで下落していたものの、NY時間に入って1.3370ドル付近まで買い戻される展開。一方、ポンド円はロンドン時間に201円台まで下落していたが、202円台後半に戻している。21日線の上をしっかりと維持しており、上昇トレンドは堅持している状況。
ロンドン時間のポンド安については、本日の英消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、英中銀の追加利下げへの期待が再燃していることが要因。英CPIは前月比横ばいだったが、これを受けて英中銀の利下げ観測が一気に高まっている。短期金融市場では、2025年末までに0.25%ポイントの利下げが実施される確率を約70%と織り込み始め、これは前日の40%未満から大きく上昇。
さらに市場は来年以降のより深い利下げも織り込み、2026年12月までに累計0.64%ポイントの利下げを予想している。これは従来の約0.53%ポイントから拡大している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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