FX/為替「ドル/円今日の予想」 外為どっとコム トゥデイ 2025年10月15日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年10月15日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
目次
▼14日(火)の為替相場
(1):RBA議事録公表
(2):米中関係悪化
(3):英失業率上昇
(4):独ZEW 前月から上昇
(5):IMF世界経済見通し公表
(6):FRB議長 利下げ観測を追認
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:上値の重い展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(火)の為替相場
期間:14日(火)午前6時10分~15日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBA議事録公表
豪中銀(RBA)は9月理事会の議事録を公表。7月と8月の消費者物価指数(CPI)について「特にサービスと住宅建設コストに関して第3四半期のインフレ上振れリスクを示唆している」と指摘し「キャッシュレート目標を直ちに引き下げる必要はない」と結論付けたとした。今後の金融政策については「理事会が引き続き慎重に、データに基づいて決定を下すのが適切であるとメンバーは認識した」とあらためて表明した。
(2):米中関係悪化
中国政府は、韓国造船大手の米子会社への制裁を発表。米国による中国海運・造船業界の調査への対抗措置だとした。制裁対象となるのは韓国ハンファオーシャンの米関連企業5社で、個人・法人ともにこれら企業との取引が禁じられる。一方、米国側はその後トランプ大統領が、中国が米国産大豆の購入を拒否していることについて「経済的に敵対的な行為」であり、意図的に「米国の大豆農家に困難をもたらしている」とSNSに投稿。その上で、「われわれは食用油などの貿易について中国との取引終了を検討している。例えば食用油は米国内で容易に生産できるため、中国から購入する必要はない」と強調した。
(3):英失業率上昇
英6-8月失業率(ILO方式)は4.8%と市場予想(4.7%)を上回り前月(4.7%)から上昇。同週平均賃金(除賞与)は前年比+4.7%で市場予想および前月(+4.8%)を下回る伸びとなった。英9月失業保険申請件数は2.58万件増、同失業率は4.4%だった(前月0.20万件減、4.3%)。
(4):独ZEW 前月から上昇
独10月ZEW景気期待指数は39.3と市場予想(41.1)を下回ったが、前月(37.3)からは上昇した。ユーロ圏10月ZEW景気期待指数は22.7だった(前回26.1)。
(5):IMF世界経済見通し公表
国際通貨基金(IMF)は、最新の世界経済見通しを公表。関税の影響や金融環境が当初の想定より穏やかだったとして、2025年の世界の国内総生産(GDP)成長率予想を7月時点の2.8%から3.2%に上方修正した。2026年の予想は3.1%に据え置いた。国別では米国の2025年の成長率予想を2.0%とし、7月の1.9%から小幅に引き上げた。2026年は2.1%とし、こちらも7月時点から小幅に上方修正した。ユーロ圏の2025年成長率はドイツの財政拡張とスペインの堅調な成長を背景に、7月の1.0%から1.2%へ引き上げた。日本については、上期に米国の関税を回避するための輸出前倒しの効果に加え、賃金上昇と個人消費の伸びが寄与し、成長率見通しを7月の0.7%から1.1%へと大幅に引き上げた。
(6):FRB議長 利下げ観測を追認
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「物価上昇は主に関税を反映しており、広範なインフレ圧力を反映しているわけではない」とした一方、「労働市場はかなり著しい下振れリスク示している」との見解を示した。市場の利下げ観測を追認したと見られる。
14日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:上値の重い展開
昨日のドル/円は終値ベースで約0.3%下落。日本の政局不安により円が買い戻されたことや、米中貿易摩擦悪化への懸念からドルが売られたことで、一時151.61円前後まで下落した。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「労働市場はかなり大きな下振れリスクを示している」などの見解を示し、10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での25bp(0.25%ポイント)利下げの実施を示唆した。 本日も日本の政局不安と米中貿易摩擦懸念がドル/円のメインドライバーとなりそうだ。日本の政局不安は「高市トレード」の巻き戻しを引き起こしており、先行き不透明感から短期的には円が買われやすい状況だ。本日は野党3党の党首会談が行われることから、結果に注目したい。また、昨日は中国が韓国造船大手の米子会社への制裁を発表した一方、米国はトランプ大統領が中国との食用油取引の停止を示唆した。米中関係が報復合戦の様相を呈しているため、引き続き注意が必要だろう。日米の政治不安がくすぶる中で、ドル/円は引き続き上値の重い展開が予想される。
注目の経済指標:中国CPI
注目のイベント:FRB高官発言
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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