【これからの見通し】ドル円の上昇は一服、週末イベント待ちに
【これからの見通し】ドル円の上昇は一服、週末イベント待ちに
ドル円相場は10月に入ってから騰勢を強めた。今週の前半から半ばにかけてもその勢いは続き、153円台乗せまで買われた。9月末の安値141.65レベルからは1カ月で10円超の急ピッチな上昇となった。
その背景にはドル高と円安の両面が指摘される。一連の米経済指標が強含んだことを受けて、足元での米利下げ観測がかなり後退してきている。年内の50bp利下げの可能性はほぼ消えており、一部には据え置き観測も広がってきている。また、11月5日に迫る米大統領選でトランプ氏の優勢が伝えられている。いわゆる「トランプトレード」でドルが買われる面も強いようだ。
円安については、石破首相が当面の利上げに難色を示したことをうけて、日銀も同調。植田日銀総裁は「見通し通り進展すれば緩和の度合いを調整する」との基本路線を封印し、「まだ時間に余裕がある」との発言を繰り返している。今週末の衆院選を控えて、現状では自民・公明の過半数割れの可能性を示す調査結果も報じられている。政局がどのように動くかを確認するまでは、日銀も動きにくいとみられている。
ここ一両日は米債利回りの上昇に調整が入っており、ドル高の動きは一服。加藤財務相や青木官房副長官、三村財務官などからも、円安けん制発言が発せられており、ドル円相場は153円台から151円台へと反落の流れとなっている。ドル円の上昇加速のポイントとなった200日移動平均線超えの動きのあとで、現在は200日線(151.42)がサポート水準となっている。この後の海外市場では、この水準を下回るのか、もしくはサポートされるのか、かなり神経質な展開が予想される。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス消費者信頼感指数(10月)、ドイツIfo景況感指数(10月)、ユーロ圏マネーサプライM3(9月)、カナダ小売売上高(8月)、米耐久財受注(速報値)(9月)ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)(10月)などが予定されている。ドイツIfo指数は85.6と前回の85.4からやや上昇する見込み。米耐久財受注は前月比-1.0%と前iの横ばいから弱含む見込み。
発言イベント関連では、ロンドン時間にECBが調査したユーロ圏消費者インフレ期待が公表される。NY時間にはコリンズ・ボストン連銀総裁が討論会に参加する。NY引け間際にはビルロワドガロー仏中銀総裁とアルマン仏財務相の講演が予定されている。今週末には米金融当局者が金融政策に関する発言を自粛する「ブラックアウト期間」に入る。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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