FX/為替「ドル/円、M&A絡みの円買いは一服 市場の注目は再び米金融政策へ」 外為どっとコム トゥデイ 2024年8月20日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年8月20日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼19日(月)の為替相場
(1):国内流通王手へのM&A提案で円高加速
(2):米地区連銀総裁 9月利下げにオープンな姿勢示す
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感を見出しにくい展開となりそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(月)の為替相場
期間:19日(月)午前7時00分~20日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):国内流通王手へのM&A提案で円高加速
米労働省が21日に発表する年次のベンチマーク改定で2023年4月から2024年3月までの非農業部門雇用者数が最大で100万人下方修正されるとの観測が一部の市場関係者の見方として伝わった。これを受けて米長期金利が低下するとドル/円が147円台を割り込んで下落。その後、日経平均株価が後場寄りで急落すると円は全面高となった。流通大手セブン&アイが、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたと発表したことも円買いを誘った。買収額は5兆円以上になると見られ、実現すれば外資による国内企業の買収として過去最大の規模になる可能性もあるとのことで、買収資金の調達を巡る思惑が円高を加速させた模様。
(2):米地区連銀総裁 9月利下げにオープンな姿勢示す
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「インフレを巡って進展があるほか、労働市場で気になる兆候が現れつつある」として、9月の利下げにオープンな姿勢を示唆。一方で「レイオフが低水準にとどまり、失業保険統計も顕著な悪化を示していないことから25bp(0.25%ポイント)を上回る規模での段階的な利下げを行う理由はないと考えている」とも述べた。米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も「インフレは制御されており政策金利の調整を検討する時期に来ているとの確信を深めた」としつつ「米経済は緊急を要する状態にはない」との認識を示した。
19日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感を見出しにくい展開となりそう
19日のドル/円は146円台半ばへと続落。「米労働省が21日に公表する年次改定で、過去の雇用統計を下方修正する」との見方が広がりドル売りに繋がった。また、本邦流通王手のセブン&アイ・ホールディングスに対するM&Aに絡んだ思惑的な円買いもあり、一時7日以来となる145.18円前後まで下落した。本日も米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長のジャクソンホール会議での講演を23日に控えて思惑的な動きが出やすいと見ている。先週末にはタカ派と見られていた複数の米地区連銀総裁が一部条件はあるものの9月の利下げを支持する姿勢を示した。FRBの利下げ期待が続けば、ドルは軟調に推移すると見られるが、昨日のように米長期金利の低下を好感して米株価指数が上昇するようなら円も弱含みで推移するだろう。結果的にドル/円相場は方向感を見出しにくい展開となりそうだ。
注目の経済指標:ユーロ圏HICP
注目のイベント:RBA議事録
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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