ドル円、一旦150円台回復も再び割り込む 弱いISM指数をきっかけに先行き警戒感が広がる=NY為替概況
ドル円、一旦150円台回復も再び割り込む 弱いISM指数をきっかけに先行き警戒感が広がる=NY為替概況
きょうのドル円は序盤は買い戻しが優勢となり、150円台を回復していたが、後半になって再び150円を割り込んだ。この日発のISM製造業景気指数が予想を下回り、8カ月ぶりの低水準に下げたことをきっかけに、米株式市場が大幅安となり、米国債利回りも急速に低下した。米10年債は4%を割り込む展開。
明日の米雇用統計を前に、米経済の先行きへの警戒感が広がり、リスク回避の円買いがドル円を押し下げたようだ
なお、前日のFOMC後のパウエルFRB議長の会見を受けて、市場は9月利下げ開始を確実視しているが、短期金融市場では年内3回の利下げを織り込む動きが出ている。
ユーロドルは下値を切り下げた。1.0780ドル付近まで一時下落し、200日線を下放れる展開が見られている。100日線が1.0795ドル付近に来ているが、その水準も下回る動き。
市場はECBの追加利下げを探っているが、賃金の伸び鈍化で四半期ごとに利下げを実施する可能性があるとの見方が出ている。ECBは6月に利下げを開始したが、サービスインフレが高止まりしていることや、賃金も上昇していること から、ECBはコスト圧力が弱まっていることを確認するさらなるデータがない限り、追加利下げには消極的になっている。
しかし、景気減速の兆候が出始める中、9月に追加利下げを行い、4-6月期の賃金上昇率が公表された後、12月にも追加利下げが予想されるという。
英中銀は本日の金融政策委員会(MPC)で5対4の僅差ではあったが、0.25%ポイントの利下げを決定した。事前の市場の見方は五分五分といったところだったが、ロンドン時間に利下げ観測が強まり、ポンドドルは1.27ドル台に下落。実際、英中銀が利下げを決めた後は1.28ドル台に買い戻されていた。英中銀が追加利下げに慎重姿勢を示したことで、ポンドは買い戻されたものと思われる。依然として高水準で推移しているサービスインフレと賃金が英中銀の利下げ意欲を抑制している模様。
しかし、同時に英中銀は景気の先行きに懸念を強めており、ここ数年、英中銀の高官は英経済について慎重な見方をしている。英中銀の今後4年間の成長見通しは市場のコンセンサス予想を下回っており、今後も景気の先行きに慎重姿勢で臨むことが予想される。
その意味ではサービスインフレと賃金が落ち着けば、英中銀は直ぐにでも追加利下げを実施すると見られているようだ。短期金融市場では年内の追加利下げをあと1回か2回を見込んでいる。NY時間に入ってからはリスク回避のドル買いがポンドドルを押し下げているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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