【これからの見通し】円高の流れを形成、来週の日銀決定会合に向けて
【これからの見通し】円高の流れを形成、来週の日銀決定会合に向けて
ドル円は今日の東京市場で154円台まで下落している。このところのドル円相場の流れを俯瞰すると、162円手前まで買われたあと、米CPIが弱含んだことでドル売りに反応。これに輪をかけるように政府・日銀の円買い介入が加わってドル円は急落した。次の日にも円安方向への動きを抑制するように介入が実施されたもよう。これで、神田財務官による短期円高トレンドの形成が達成された。その後は、自律的にポジション調整の円買いが続く格好となっている。
市場では来週31日の日銀決定会合に焦点が当てられている。河野デジタル相や茂木幹事長などからの日銀利上げ催促発言(一部否定されたものの)によって、特に海外勢から円買いが持ち込まれやすくなっているようだ。きょうは1週間ボラティリティーが日銀決定会合の応当日となることで急上昇している。市場の関心の強さが示されているようだ。
ただ、日銀が利上げを実施するとの市場の織り込みは50%前後で推移している。これまでの慎重な植田総裁の行動を見る限り、通常であれば国債買い入れ減額が相応の規模で決定されるにとどまりそうだ。利上げ実施となれば、かなりのサプライズ反応となるかもしれない。ただ、今回の利上げがない場合でも、会見などで今後の可能性が明確に示唆される可能性もある。円相場については、相当の思惑相場となってきているようだ。
さらに、世界の株式動向のカギを握っている米国の半導体関連株などの動向も気がかり。調整色が強まるようだと、リスク回避の円買い圧力で、短期的には円高が一段と強まる可能性も考慮しておきたい。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス、ドイツ、ユーロ圏、英国、米国などの製造業および非製造業(サービス業)PMI速報値(7月)、南ア消費者物価指数(6月)、米MBA住宅ローン申請指数(07/13 - 07/19)、米卸売在庫(速報値)(6月)、米新築住宅販売件数(6月)、カナダ中銀政策金利などが予定されている。カナダ中銀は2会合連続で利下げを実施する公算が高い。さらに利下げが継続するのかどうか、マックレム総裁会見の内容が注目される。
発言イベント関連では、デギンドスECB副総裁、レーンECBチーフエコノミストなどがECB・IMF合同会議「金融政策の径路」で講演を行う。ボウマンFRB理事、ローガン・ダラス連銀総裁がイベント開会挨拶を行う。米週間石油在庫統計、米5年債入札(700億ドル)、AT&TやIBMなどの決算発表が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
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執筆者 : MINKABU PRESS
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