ドル円、ロンドン時間の下げ取り戻す=NY為替概況
ドル円、ロンドン時間の下げ取り戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円はロンドン時間の下げを取り戻した。ロンドン時間に急速に戻り売りに押され、一時158円台まで下落する場面が見られた。介入の有無は不明だが、160円を再び試しそうな気配となる中、財務省の介入への警戒感も高まっているようだ。今回の上昇は緩やかな値動きで財務省が言う「過度な変動」にはあたりそうもないが、市場は神経質になっている模様。
ただ、NY時間に入ると買い戻しが活発化し、下落前の水準に戻した。米株式市場でダウ平均が一時400ドル超上昇していたことも買い戻しをサポートしていたようだ。きょうはドル高は一服しているものの、日米の金利差に着目した根強い円安がドル円をサポートしている。
市場は年内2回のFRBの利下げを高確率で織り込んでいるが、FOMC委員は2回の利下げに慎重な物言いをしている。現在、日米の政策金利の誘導目標である翌日物金利の差は5.25%程度だが、これが4%程度まで縮小しなければ、ドル円の上昇トレンドは解消し始めないとの見方もあるようだ。但し、タイムラインは別にして、方向感はあくまで金利差縮小の方向にあることから、以前のように勢いよく上値を追う局面でもなさそうだ。
今週はFRBがインフレ指標として主に参照している5月のPCEデフレータが発表になる。今月発表の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)から、インフレの鈍化傾向を示すものと期待されているようだ。期末を向かえる中で、それに対して市場がどう反応するか注目される。
きょうのユーロドルは買い戻しが優勢となり、1.07ドル台に戻した。依然としてドル買いは根強いものの、1.06ドル台に入るとショートカバーが強まる模様。
ECBは今月の理事会で利下げを開始したが、ユーロ圏のインフレが鈍化傾向を示していることでECBは自信を持っているようだ。インフレはECBの目標である2%に近づきつつある。
一部の予測によると、6月分のインフレは総合指数で前年比2.5%上昇と、5月の2.6%から鈍化が見込まれるという。コア指数は2.9%で安定が見込まれるという。この傾向は数ヵ月後も続き、来年は賃金の伸びが鈍化し、インフレは2%を下回ると予測している。ディスインフレは減速こそしているが、脱線はしていないという。
ポンドドルはNY時間に入って伸び悩んだものの、1.27ドル手前まで買い戻された。ただ、6月に入ってからの戻り売りの流れに変化はない。100日線が1.2640ドル付近に来ており、その水準でサポートされているが、再び試しそうな雰囲気は続いている。
先週の英中銀金融政策委員会(MPC)を受けて市場では8月利下げ期待が高まっている。短期金融市場では65%程度の確率で織り込んでいるものの、エコノミストの間ではみっと期待は高まっている印象だ。来週7月4日に総選挙を控えているが、野党・労働党の優勢に変わりはなく、政権交代の可能性が高い。ただ、ポンドへの影響は限定的と見られている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。