FX/為替「ドル/円、フランス政治リスクを注視」 外為どっとコム トゥデイ 2024年6月17日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年6月17日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼14日(金)の為替相場
(1):日銀 国債買入れ減額の方針を決定
(2):日銀総裁「相応の規模になる」
(3):フランスの政局不安で円高
(4):ミシガン大調査の経済指標はマチマチの結果
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:下値は限定的/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(金)の為替相場
期間:14日(金)午前6時10分~15日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀 国債買入れ減額の方針を決定
日銀は大方の予想通りに政策金利を0-0.10%に据え置いた。一方で、事前に報道で伝わっていた国債買い入れの減額については「次回金融政策決定会合において、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する」として事実上先送りした。これを受けて円売りが強まると、その後ドル/円は4月29日以来の高値となる158.26円前後まで上昇。クロス円でも円が全面的に下落し、ポンド/円は2008年8月以来およそ16年ぶりに201.62円前後の高値を付けた。
(2):日銀総裁「相応の規模になる」
日銀の植田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、次回7月会合では「国債買い入れ減額の市場への影響を考慮した上で政策決定」としつつも「国債買い入れの減額は『相応の規模』になる」と発言。為替相場については「最近の円安の動きは物価の上振れ要因であり注視している」とした。また、次回会合での利上げの可能性について「経済・物価情勢次第で当然あり得る」と述べて否定しなかった。
(3):フランスの政局不安で円高
欧州市場に入り、フランスの株価や国債価格が続落。同国の政治リスク・財政リスクを意識したユーロ売りも活発化した。なお、ルメール仏財務相はこの日、総選挙に向けて4党協力で合意した左派連合について「政策は完全に狂気だ。格下げと大量の失業、欧州連合(EU)離脱を保証するものだろう」と発言。世論調査によると左派連合は、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)に次ぐ第2勢力になり得ることが示唆されている。ルメール氏は極右・RNについても、総選挙で勝利すれば「金融危機のリスクに直面する」と警告。RNは電気料金の値下げ、ガスの付加価値税(VAT)引き下げ、公共支出の拡大を公約に掲げている。欧州タイムはユーロ/円主導で円が全面的に強含んだ。
(4):ミシガン大調査の経済指標はマチマチの結果
米6月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は65.6と予想(72.0)に反して前回(69.6)から低下した。一方、同消費者インフレ期待は1年先が3.3%、5-10年先で3.1%といずれも市場予想(3.2%、3.0%)を上回った。
14日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:下値は限定的
14日のドル/円は終値ベースで約0.2%上昇。日銀が国債買い入れの減額を次回会合に「先送り」したことで円売りが強まると4月29日以来の158.26円前後まで上伸した。その後は、フランスの政局リスクが高まる中で円買いに傾き157円台を割り込む場面もあったが、ユーロ/円の下落が一服するとドル/円にも買い戻しが入り、前日比30銭余りドル高・円安の157.40円前後で取引を終えた。フランスの政局については、先の欧州議会選で躍進した極右・国民連合(RN)に加えて左派連合も支持率を伸ばしており、マクロン大統領率いる与党連合の支持率は低迷。今月末から来月初めに行われる議会選で与党連合が大きく議席を減らす可能性が高まっている。ルメール仏財務相は14日、総選挙で極右が勝利すれば「金融危機のリスク」に直面すると警告。左派連合が勝利すれば「欧州連合(EU)離脱」につながると強調した。本日の欧州市場でも仏株や仏国債の続落に注意が必要と見られ、ユーロの軟調地合いも続く可能性がある。フランスの政治リスクの高まりはキャリートレードの巻き戻しを誘発しやすく、円を買い戻す動きにつながることも考えられる。もっとも、欧州の政治混乱が深まればリスク回避のドル買いも相応に強まると予想されることからドル/円の下値は限定的と見る。
注目の経済指標:中国小売売上高
注目のイベント:ECB総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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