為替相場まとめ4月29日から5月3日の週
29日からの週は、円買いが強まった。円安進行を受けて政府・日銀が覆面円買い介入を実施したとの観測が広がった。週明け29日には東京市場が昭和の日の休場となる薄商いのなかで、ドル円は一時160円台に急伸。先週の日銀決定会合で植田日銀総裁が利上げに関する前向きな姿勢を示さなかったことが、円安圧力となり、週明けにはややパニック気味に円が急落する場面があった。しかし、日本時間午後には一気に159円台から155円台、そしてロンドン朝方にかけて154.50台まで円が急騰。次の日に発表された日銀データでは5.5兆円規模の介入実施が示唆されている。その後は157円台まで反発して米FOMCを迎えた。注目のパウエルFRB議長会見では、「インフレはさらなる進展の欠如を示す」としながらも「利下げの道と、利下げをしない道がある」市場が想定していた利上げに関する言及はみられず。現在の金利水準をしばらく維持することが示された。ただ、年内利下げの可能性は残されたことで、市場はハト派的と捉えて、ドルが売られた。その後のNY終盤に再び円が急騰、ドル円は153円付近まで下落した。次の日の日銀データでは3.5兆円規模の介入実施が示唆された。いずれの円買いの動きに対しても神田財務官はノーコメントを貫いている。2日のマーケットでは156円台まで反発したが、自律的に上値が抑えられて3日には一時152円台まで軟化。介入の心理的効果が出たとの声もあった。そして、週末の米雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が17.5万人増と基準の20万人を割り込み、予想も大きく下回った。失業率も3.9%に悪化したほか、注目の平均時給も前年比3.9%と4%を下回り、21年6月以来の低水準に鈍化した。雇用の冷え込みを示す数字であり、短期金融市場では年内2回の利下げ期待を完全に織り込む動きが一時復活していた。為替市場はドル売りが強まっている。
(29日)
東京市場は昭和の日の祝日で休場。週明けのアジア市場でドル円は、158円台後半から一気に160.17近辺まで急伸。その後、日本時間午後に円買いが持ち込まれ155円近辺に急落。その後157円台乗せまで反発すると、再び円買いが入り、ロンドン序盤にかけて154.54近辺まで安値を広げた。クロス円も同様に円安から円高へと急激に振れており、円相場主導の週明け相場となっている。ユーロ円は171円台半ばから165円台後半、ポンド円が200円台半ばから193円台後半に至る大相場となった。
ロンドン市場では、円高が一服。ドル円はロンドン時間に入ると下げ渋りとなっているが、156円手前水準で上値を止められての揉み合い。神田財務官は「投機による激しい変動が国民経済への悪影響は看過しがたい」「介入かどうかは申し上げないが、24時間対応できる準備している」と発言。一部報道では関係筋の話として「日本の金融当局、為替市場で介入を実施」としている。日銀決定会合後の投機的な円安の動きに対して、介入が実施されたとの観測が濃厚になっている。ドルストレートは米債利回り低下とともにややドル安に振れているが、ユーロドル1.07挟み、ポンドドル1.24台後半から1.25台半ばでの値動きにとどまっている。このあとのNY市場では主要な米経済統計発表は予定されていない。
NY市場では、ドル円が下げ渋り。アジア市場での乱高下のあと、ロンドン市場でじり高となった。NY時間には156円台乗せまで買い戻された。ただ、介入とみられる動きのあとで、上値追いの動きはいったん止まった状況。財務省が介入したと仮定すれば、水曜日のFOMCの結果発表を前に現段階で160円は許容しない姿勢に布石を打ったのかもしれない。ユーロドルはNY時間にかけて伸び悩み、一時1.06台に下落。しかし、底堅さも維持しており、21日線に顔合わせした。ドイツの4月の消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比2.4%と予想を若干上回っていた。とは言え、着実に2%目標に接近している。しかし一部からは、ドイツのHICPはECBの仕事を複雑にする可能性があるとの指摘が出ている。ポンドドルは買い戻しが続き、一時1.2570付近まで上昇。200日線を回復。短期金融市場では8月利下げの見方がまだ優勢だが、年内は緩やかなペースで利下げに留まる見通し。
(30日)
東京市場は、落ち着いた展開。前日の大荒れ相場を経て、ドル円は156円台での推移が続いた。朝方の156.07近辺を安値に、午前中に156.995近辺まで上昇。しかし、157円台でのドル買いには慎重姿勢が見られ、午後は少し調整が入り156.70台を中心とした推移となった。ユーロ円は167円台から168円台乗せまで買われたあと、167円台後半に落ち着いた。ユーロドルはドル高の押されて、1.07台前半から1.07台割れへ。豪ドルは軟調。3月豪小売売上高が予想外のマイナスとなったことに反応。対ドルは0.6560台から0.6510台へ、対円は103円手前から102.10台まで下落。
ロンドン市場では、ユーロが堅調。第1四半期ユーロ圏GDP速報値が予想を上回る伸びを示したことや、4月ユーロ圏消費者物価速報でコア前年比が予想を上回ったことなどが背景。ユーロドルは1.06台後半から1.07台前半へ、ユーロ円は167円台前半から168円台前半へと上昇。ポンドもユーロに連れ高。ポンドドルは1.25台前半から半ばへ、ポンド円は196円台前半から197円付近へと買われた。総じてドル安・円安の動きが優勢に。ドル円はロンドン時間に入ると156.90付近に膠着している。一時156.50付近まで下げ、緊張感が走る場面があったが、きょうはすぐに買い戻されている。日銀当座預金見通しによると、昨日の介入は5.5兆円規模だったとの試算が報じられたが反応薄だった。
NY市場は、ドル買いが強まった。第1四半期の米雇用コスト指数(ECI)が予想を上回ったことに反応。ECIはFRBが重視している指標ともされており、米国債利回りも上昇。きょうからFOMCが始まり、明日結果が発表されるが、FRBのタカ派姿勢が見込まれる内容ではあった。月末要因のドル買い戻しも出ていたようだ。ドル円は前日の急落から買い戻しが出て157円台後半まで戻した。投資家の上値追い意欲は続いており、押し目買いが活発に出るようだ。ユーロドルは1.06台に軟化、ポンドドルは一時1.25台割れとなる場面があった。
(1日)
東京市場は、小動き。ドル円は157円台後半での推移。朝方の157.70付近からややドルが買われたが、158円手前水準で上値を抑えられている。介入警戒感との綱引きの面がられ、狭いレンジに落ち着いた。ユーロドルは、ややドル高に押されて1.0670台から1.0654近辺までの軟化。ドル主導の展開の中、ユーロ円は168円台前半で落ち着いた動き。前日に売られた豪ドルも小動き。米FOMC待ちの姿勢がみられた。
ロンドン市場は、静かなマーケット。この日は欧州大陸諸国がメーデーのため休場。さらに、米ADP雇用統計や米ISM製造業景気指数など一連の米経済指標発表、そして米FOMC会合の結果発表とパウエル議長会見を控えている状況。ドル円は157.99近辺まで買われたあとは、157.80台までの小幅の下げ。米10年債利回りが4.67%台から4.69%付近へと上昇しており、日米金利差の観点からドル円を下支えしている。一方、ドルストレートはドル買い一服。ユーロドルは1.06台半ばから後半へ、ポンドドルは1.24台後半で1.25手前水準まで買い戻しが入った。ただ、足元ではややポンドは上値が重き値動き。ユーロ円が168円台半ばに買われたあと、高止まりとなっている。一方、ポンド円は197円台割れから197円台半ばへと買われたあとは、197円台前半に押し戻されている。全般に、各通貨ペアのレンジは狭く、米FOMC待ち。
NY市場では、ドル円が一時153円付近まで急落。午後のFOMCの結果発表とパウエル議長の会見を受けて、為替市場はドル売りの反応が見られた。警戒したほどタカ派ではなかった印象となったようだ。特にパウエル議長の会見では、年内のインフレ低下の可能性に言及したほか、「利下げの道と、利下げをしない道がある」と利上げの可能性は否定していた。これらを受けて短期金融市場では、年内1回もしくは2回の利下げの可能性を温存。パウエル議長の会見前は2回の可能性はかなり低かったが、会見後は40%程度に上昇させている。パウエル議長の会見を受けてドル円も戻り売りが強まっていたが、下値では押し目買いも活発に入っていた。しかし、終了間際になって急速に円買いが見られ、153円付近まで一気に急落している。特に急速に売られる材料は見当たらない。介入かどうかは不明。ユーロドルは1.07台に上昇、一時1.0650付近まで下落していたが、FOMC後に買い戻された。ポンドドルは1.25台に買い戻された。
(2日)
東京市場では、ドル円が買い戻された。前日NY市場終盤に157円台から153円付近まで急落。神田財務官は「為替介入の有無については今お話しできることはない」と発言したが、市場では、先月29日に続き2回目の日本政府・日銀による円買い介入との見方が広がった。東京市場では156.28近辺まで買い戻しが入った。午後には買い一服、155円台で推移している。明日の米雇用統計発表を控えて様子見ムードも。クロス円は軒並み円安方向に振れ、ユーロ円は167.39近辺まで、ポンド円は195.76付近まで、豪ドル円は102円台半ばまで一時上昇。午後はやや押し戻されている。ユーロドルは前日終値の1.0712付近を挟んで方向性の定まらない動きとなり、朝から14ポイントレンジにとどまった。
ロンドン市場は、円安が一服。ドル円は東京午後の流れを受けて売られ、ロンドン序盤に155円ちょうど付近まで一時下落。その後は155円台前半に落ち着いた。日銀の統計データによると昨日の介入規模は約3.5兆円と推計された。29日には5.5兆円規模だったとみられている。ただ、介入額の報道には特段の反応は見られなかった。クロス円も同様の値動きでロンドン時間は軟調。ユーロ円は一時166円割れ、ポンド円は194円付近まで軟化した。ドルストレートは比較的小動き。ユーロドルは1.07挟み、ポンドドルは1.25台前半での取引で、足元ではややドル買いの動きに押されている。米FOMCを無難に通過しており、ドル相場は落ち着いている。
NY市場では、円高の動き。ドル円は153円台前半まで下落。前日のNY時間の終了間際に急速に下落し、短時間に一時153円ちょうど付近まで5円程度急落していた。介入観測も出ていたが、東京市場では156円台まで戻していた。しかし、海外市場に入って再び一本調子の下げが見られた。ユーロ円は164円台、ポンド円は192円台へと下落。全般に円買いが優勢となっている。介入の効果で、ドル円、クロス円とも戻り売りのパターンが形成されつつあるようだ。ユーロドルは緩やかな売りに押されており、1.06台に値を落としている。しかし、NY後半からは買い戻されて1.07台を回復した。ポンドドルも1.24台に下落後、1.25台に戻している。
(3日)
東京市場は、憲法記念日の祝日で休場。アジア市場では、ドル円が一時152円台後半、ユーロ円が164円付近、ポンド円が191円台後半に下落。全般に円高の動きが広がった。
ロンドン市場は、ドル安水準での推移。ドル円はアジア市場で153円台後半から152円台後半へと軟化。特段の材料に欠けるなかで、前日からのドル安の流れが継続した。ロンドン時間に入ると下げも一服。ただ、戻りは153円台前半にとどまっている。今週は政府・日銀が2回の覆面介入を実施した可能性が高く。一方的な円安の動きに冷水を浴びせられている。今日の取引でユーロ円は164円台での推移、ポンド円は192円台を一時割り込んだ。また、米FOMCが市場予想よりもハト派的だったことが、ドル売り圧力となる面も加わっている。ロンドン時間にユーロドルは1.07台半ばへ、ポンドドルは1.25台後半へと買われている。米10年債利回りは4.54%付近に低下。
NY市場はドル売りが強まり、ドル円は一時151円台に下落。この日発表になった米雇用統計を受けてドル売りが強まっている。非農業部門雇用者数(NFP)は17.5万人増と基準の20万人を割り込み、予想も大きく下回った。失業率も3.9%に悪化したほか、注目の平均時給も前年比3.9%と4%を下回り、21年6月以来の低水準に鈍化した。雇用の冷え込みを示す数字であり、短期金融市場では年内2回の利下げ期待を完全に織り込む動きが一時復活していた。
執筆者 : MINKABU PRESS
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