米雇用コスト指数をきっかけにドル買い ドル円は157円台後半に戻す=NY為替概況
米雇用コスト指数をきっかけにドル買い ドル円は157円台後半に戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の第1四半期の米雇用コスト指数(ECI)が予想を上回ったことから、ドル買いが優勢となった。ECIはFRBが重視している指標ともされており、米国債利回りも上昇。きょうからFOMCが始まり、明日結果が発表されるが、FRBのタカ派姿勢が見込まれる内容ではあった。月末要因のドル買い戻しも出ていた模様。
ドル円は前日の急落から買い戻しが出て157円台後半まで戻した。前日は財務省による介入観測もあり、一時160円台を付けていたドル円は154円台まで急落する場面も見られたが、投資家の上値追い意欲は続いており、押し目買いが活発に出るようだ。160円台を再度試す流れは続いているものと思われる。なお、日銀当座預金の見通しから、29日に財務省は約5.5兆円の為替介入を実施した可能性が示唆されていた。
FOMCだが、今回は金利据え置きが確実視されており、声明やパウエル議長の会見が注目される。第1四半期のインフレ指標が依然粘着性を示したことから、FRBはタカ派な雰囲気を強調するものと考えられている。年内の利下げ観測は否定しないものの「インフレ低下を確信させるデータが必要」との認識をさらに強調する可能性がありそうだ。市場は年内1回か2回まで利下げ期待を低下させているが、それを正当化する内容になると見られている。
ただ、それ自体もある程度織り込み済みの中、一部からはバランスシートの政策変更に注目との指摘が出ている。FRBは現在、月額600億ドルの米国債と350億ドルのMBSの償還金の再投資を見送ることで量的引締め(QT)を実施している。FRBはそのQTのペースを縮小させたい意向を示しており、6月か7月以降、月間のQTのペースを概ね現在の約半分にするとの見方も出ているようだ。
ユーロドルは1.06ドル台に値を落とした。21日線が強い上値抵抗となっている模様で、本日は1.0725ドル付近に来ているが、上値を拒まれている。ただ、今月半ばからのリバウンド相場を崩す動きには至っていない。
本日は第1四半期のユーロ圏GDP速報値と4月の消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていた。GDPはドイツとフランスが前期比0.2%増、イタリアが0.3%増、スペインが0.7%増となったことで、予想を上回る0.3%増となり景気後退を脱した。一方、HICPは、予想は上回っていたものの、コア指数とサービスインフレの低下が確認されている。
これらを受けてエコノミストは、ECBが6月利下げ開始のダイヤルを戻すことはないと指摘している。本日はビルロワドガロー仏中銀総裁も同様の趣旨の発言を行っていた。一方で同エコノミストは、ユーロ圏の景気拡大は今年一杯は緩やかなペースに留まると予想。第1四半期の改善の一部は建設業の回復などの一時的要因によるところも大きいという。
ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.25ドルを割り込む場面も見られた。200日線に跳ね返された格好となっており上値を抑えられている。
英中銀がこの日公表した3月調査によると、英民間企業(金融除く)の純借入は102億ポンドと、純社債発行の増加に牽引され、2020年5月以来の高水準に急増した。しかしエコノミストからは、英企業の借入れは第2四半期中には落ち着く見込みだとの指摘が出ている。今年の企業の設備投資は増加どころか、安定的に推移すると考えられるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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