FX/為替「ドル/円、34年ぶり153円台 介入を警戒しつつ米金利睨みの動きに」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月12日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月12日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼11日(木)の為替相場
(1):神田財務官「年初からの変動は大きい」
(2):中国CPIは鈍化
(3):ECB総裁 次回会合での利下げの可能性を示唆
(4):米PPI予想を下回る
(5):FRB高官 早期利下げに慎重な姿勢を示す
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:高値更新は米長期金利次第/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
11日(木)の為替相場
期間:11日(木)午前6時10分~12日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):神田財務官「年初からの変動は大きい」
財務省の神田財務官は、34年ぶりの1ドル153円台へ円安が進んだことについて「年初からの変動は大きい」「過度な変動は国民経済に悪影響を与える」として「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず適切な対応をとる」と強調。為替介入については「特定の水準を念頭に置いていない」「為替介入かどうかは別にしてあらゆる事態に常日頃から備えている」と述べた。その後、鈴木財務相も「行きすぎた動きにはあらゆるオプションを排除することなく適切に対応する」と発言した。
(2):中国CPIは鈍化
中国3月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.1%と市場予想(+0.4%)を下回り、前月(+0.7%)から伸びが鈍化。同生産者物価指数(PPI)は前年比-2.8%と予想通りだった(前月-2.7%)。
(3):ECB総裁 次回会合での利下げの可能性を示唆
欧州中銀(ECB)は大方の予想通りに主要政策金利を4.50%に据え置いた。預金ファシリティ金利も4.00%に維持した。同時に発表した声明に「インフレが持続的に収まるとの確信を得られれば金融政策の水準の引き下げが適切になる」との文言を盛り込んで利下げへの転換を示唆。一方で、「今後の政策金利の水準はデータ次第で、特定の金利軌道を事前に確約しない」とも説明した。ラガルド総裁はその後の会見で「基調的なインフレ指標の大半は2月にさらに低下し、物価上昇圧力が徐々に弱まっているという状況を裏付けた」との見解を示した上で「6月にはさらに多くのデータと情報が得られるだろう」と述べて次回の6月会合で利下げに踏み切る可能性を示唆した。
(4):米PPI予想を下回る
米3月PPIは前月比+0.2%、前年比+2.1%と市場予想(+0.3%、+2.2%)をやや下回った。ただ、前年比の伸びは11カ月ぶりの高水準だった。食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+2.4%で市場予想(+2.3)を上回り前月(+2.1%)から加速した。同時に発表された米新規失業保険申請件数は21.1万件と予想(21.5万件)を下回り前週(22.2万件)から減少した。
(5):FRB高官 早期利下げに慎重な姿勢を示す
NY連銀のウィリアムズ総裁は、金融政策は現在「好位置」にあり、「きわめて近い将来に金融政策を調整する明確な必要性はない」と述べた。リッチモンド連銀のバーキン総裁は「インフレ圧力が緩和し続けると米連邦準備制度理事会(FRB)はまだ確信していない」としたが「長期的には正しい方向に向かっている」との認識を示した。
11日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:高値更新は米長期金利次第
昨日のドル/円は34年ぶりの高値をわずかに更新したが円買い介入への警戒感から伸び悩んだ。前日の米3月消費者物価指数(CPI)が上振れしたことによる米長期金利の上昇が続く中、1990年6月以来の153.32円前後まで上昇した。ただ、前日高値の153.23円前後を上抜けたことで日本政府・日銀による円買い介入への警戒感も上昇したと見られ、一段の円売りには至らなかった。なお、この日注目が集まった米3月生産者物価指数(PPI)は前年比+2.1%と11カ月ぶりの高い伸びとなったが、市場予想の+2.2%は下回った。ドル/円は本日も米長期金利睨みの展開が続きそうだ。
「為替介入」がX(旧ツイッター)でトレンド入りするほど強く意識されていることから、ファンダメンタルズに逆らう格好の円売りは出にくいと見るが、逆に言えば日米金利差拡大というファンダメンタルズに沿った円売りなら介入の大義名分は立ちにくいということにもなる。ドル/円の連日の高値更新は米長期金利の動向にかかっていると言えるだろう。米長期金利への影響が大きいとの観点から、NY市場で発表される米4月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率に注目したい。
注目の経済指標:米ミシガン大消費者信頼感指数
注目のイベント:米FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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