ドル円、米PPI受け一時152円台に下落も直ぐに戻す=NY為替概況
ドル円、米PPI受け一時152円台に下落も直ぐに戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、序盤はドル売りが優勢となり、ドル円も152円台に一時下落した。しかし、動きは一時的で、まもなく153円台に戻している。
米PPIは総合指数で前月比0.2%の上昇、前年比で2.1%の上昇となったが、コア指数の前年比は2.4%の上昇と、こちらは予想を上回っていた。前日は米消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、市場の利下げ期待が更に後退。6月の利下げ期待がほぼ無くなっているほか、年内の利下げも2回を織り込めていない状況。
そのような中で、本日の米PPIは前日のCPIを受けた動きを一服させていたようだが、前日の米CPIで形成された利下げへのセンチメント後退を取り戻すまでの材料ともならず、次第に前日の雰囲気に戻している。
きょうも何人かのFOMC委員の発言が伝わっていたが、早期利下げには消極的な発言を述べており、もう少し時間をかけて確認したい意向を示していた。
ドル円は財務省の介入警戒感が高まる水準に入ったが、他のクロス円では円買いも見られ、円独歩安といった雰囲気ではない。岸田首相が訪米中でもあり、ドル売り・円買い介入はしづらい雰囲気もありそうだ。基本的にホワイトハウスおよび米議会は為替操作を嫌う。一部からは財務省の介入レベルは155円に上がったとの見方も出ている。
ユーロドルは1.07ドル台半ばまで戻していたものの、再び上値が重くなり、瞬間的に1.07ドルを割り込む場面も見られた。本日はECB理事会の結果が発表され、政策金利は予想通りに据え置かれた。ECBは声明で「基調的インフレの大半の指標は緩和しつつある」と述べていた。
その後のラガルド総裁の会見では、6月に公表される最新の経済予測でインフレが2%に確実に向かっていることが明らかになれば、利下げする方針を示していた。短期金融市場ではいまのところ6月利下げを80%程度の確率で織り込んでいる。
きょうのポンドドルは1.25ドル台で上下動した。一時1.2510ドル付近まで下落する場面も見られていたが、その後は買戻しも膨らみ、1.25ドル台は維持されている。200日線が1.2585ドル付近に来ているが、その水準では上値を抑えられている状況。
ここに来て市場は、英中銀の早期利下げ期待を高めており、6月の利下げ開始期待も台頭している。確率は40%程度。8月までであれば80%程度、9月までで完全織り込みとなっている状況。
ただ、この日はグリーン英中銀委員の英FT紙への寄稿が伝わり、市場の早期利下げ期待をけん制していた。同委員は、利下げはまだ先との見解を示し、急速な金利低下に対する市場の見方に修正を促した。ここ数カ月でインフレの勢いが弱まったとはいえ、英国はまだインフレに対する勝利を宣言することはできないと警告。賃金上昇やサービスインフレなどの指標が英中銀の予測に沿って低下しているため、インフレが持続するリスクは後退しているが、他の先進国、特に米国よりも高いままだと指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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