為替相場まとめ4月1日から4月5日の週
1日からの週は、週末の米雇用統計が注目されるなか、ドル安・円安が優勢だった。前週まではドル高の流れが形成されていたが、注目イベントを控えて調整圧力が掛かったようだ。米インフレ圧力の根強さを受けて、米金融当局者の一部には年内の利下げ回数を1回に減らす、もしくは年内の利下げは見送られるなどの発言が散見された。また、米ISM製造業景気指数の改善、米ADP雇用統計は予想を上回る増加を示した。週末にかけてはイスラエルとイラクとの対立が深まり、有事リスクが懸念される事態もみられた。原油先物が大幅高となり、リスク回避圧力、さらなるインフレ圧力などが警戒された。ドルの支援材料は多かった。ただ、全般的には米雇用統計を控えた調整圧力が勝っていたようだ。そして、週末の米雇用統計は予想を上回る強い内容となった。市場は米利下げ期待を後退させ、為替市場はドル高の反応が見られたものの、後半に戻している。
(1日)
東京市場は、静かな週明け相場。先週金曜日はグッドフライデーで世界中の多くの市場が休場となった。今日もイースターマンデーで多くの市場が休場となる。アジア市場では豪州、ニュージーランド、香港などの市場が休場。この後の欧州、英国市場が休場ということもあり、東京勢も取引を手控える傾向が見られた。ドル円は151円台前半で、20銭程度の小動き。ユーロドルは1.07台後半でのレンジ取引。朝からのレンジは16ポイントとこちらも動意に欠ける。ユーロ円は163円台前半推移となっている。ポンドなどその他通貨も様子見ムード。ポンドドルは1.26台前半で朝から19ポイントレンジ。
英国、欧州各国はイースター・マンデーのため休場。
NY市場は、ドル買いの動き。ISM製造業景気指数が予想外の強さを見せたことが背景。ドル円は一時151.75付近まで上昇し、152円を試すか注目されたが、市場は先週の財務省の一連の行動で、152円より上での介入警戒感が強まっている。そのような中でドル円も上値に慎重になっており、その後は伸び悩む展開が見られた。ただ、6月のFRBの利下げ期待は更に後退している。確率は半々まで低下している。欧州勢がイースターマンデーで休みの中、模様眺めの雰囲気も強い。連休中に2月のPCEデフレータやパウエルFRB議長のスピーチなどが伝わっていたが、市場の雰囲気に変化はない。ユーロドルは1.07台前半、ポンドドルは1.25台半ばまで下落した。ECB、英中銀ともに利下げ開始時期の早期化が見込まれている状況。
(2日)
東京市場で、ドル円は151円台後半での推移。151.50付近がしっかりとしており、151.80近辺と前日高値をわずかに上回った。朝からのレンジは29銭程度だった。ユーロドルは1.07台前半での推移。朝方の1.0745前後からドル高が強まり1.0725まで軟化、海外市場の安値1.0731を割り込むドル高となった。もっとも値幅は20ポイントと抑えられている。前日の米ISM製造業景気指数の強さを受けたドル高圏での取引が続いた。ユーロ円は163円前後から162.60台まで下落したあと、162.90台まで反発と往って来い。
ロンドン市場は、ドル買いが一服。ドル円はロンドン序盤に151.50台まで一時軟化した。その後は151円台後半で推移。足元で米債利回りが上昇しており、下値では買いが入る展開。ユーロドルは1.07台前半で振幅。東京時間に軟化した後、ロンドン時間には持ち直している。ユーロ円は162円台後半での推移と、総じて方向性は希薄。そのなかで、やや対ポンドで売られている。一連の欧州製造業PMIは改善を示した。一方、ECBが発表した消費者インフレ期待は1年先が3.1%と前回から一段と低下。ECBの早期利下げ開始を裏付ける状況にあるようだ。ポンドドルは1.25台半ばから後半へ、ポンド円は190円台前半から後半へと小高く推移。対ユーロでも堅調。東京早朝に英BRC店頭価格指数が予想外に鈍化、ロンドン朝方の英ネーションワイド住宅価格が前月比低下に転じるなど、インフレ圧力は減じてきている。一方、製造業PMIは回復していた。ポンドにとっては原油先物が上昇していることが、オセアニア通貨などとともに買い圧力となって面が指摘される。原油高はイランとイスラエルとの緊張が背景にあるようだ。
NY市場で、ドル円は151円台で膠着。ドル高が一服したものの、ドル円は底堅い動きを続けている。米国債利回りが再び年初来の最高水準に達しており、10年債が4.40%付近まで一時上昇していた。ただ、財務省の介入警戒感も強まる中で、152円には慎重な気配が続いている状況。前日の強い米経済指標などを受けて、市場ではFRBほどの利下げ回数は見ていない状況となっている。ユーロドルは一時1.07台後半まで買い戻された。ポンドドルも1.25台後半まで下げ渋り。一方、ここに来て英中銀の早期利下げ期待が台頭しており、ECBと同じ6月利下げへの期待が70%程度の確率で織り込まれている。2月米JOLTS求人件数は、875.6万人と市場予想をやや下回っていた。
(3日)
東京市場では、ドル円が151円台半ばでの揉み合い。朝方に151.44近辺まで軟化したあとは、151.64近辺まで買い戻され、その後はレンジ相場が続いた。152円手前の売り注文や、介入警戒感などがドル円の上値を抑える一方、下がると買いが出る流れとなっている。ユーロ円は163.07から163.38までの推移。ユーロドルは1.07台後半で13ポイントレンジ。アジア株が全般に売られる中、豪ドル/ドルは0.65台前半、豪ドル円は98円台後半での小動きだった。
ロンドン市場は、ドル円が堅調。151円台半ばから151.80付近まで買われた。米債利回り上昇とともに買われたあと、利回り上昇一服でも調整は浅い。クロス円が買われており、円安の面も。ユーロ円は163円台半ば、ポンド円は191円目前まで一時上昇。このあとのNY市場では米ADP雇用統計や米ISM非製造業景気指数などが発表される。強い結果内容となれば、再び市場の米利下げ開始時期後ずれ観測が広がる可能性がある。ユーロドルは1.07台後半での狭いレンジ取引。3月ユーロ圏消費者物価速報は前年比+2.4%と前回の+2.6%から伸びが鈍化、市場予想も下回った。市場ではECBの6月利下げ観測を裏付ける結果とみられているようだ。しかし、目立ったユーロ売りなどの反応はみられず。ポンドドルは1.25台後半での振幅。ドル指数は前日終値をやや下回る水準で揉み合っており、方向性は希薄。ADP雇用統計などの米指標待ちに。
NY市場では、ドル安が優勢。朝方発表になったADP雇用統計は予想を上回る雇用の伸びを示したことで、一旦ドル高の反応が見られていたものの、その後のISM非製造業景気指数が予想を下回ったことでドル安が優勢となった。ISM非製造業景気指数では、仕入価格指数が4年ぶりの低水準に大きく低下するなど、インフレ鈍化を期待させる内容となった。ドル円は151.95近辺まで買われたあと、151円台後半で揉み合った。基本的には金曜日の米雇用統計の結果待ちといった雰囲気。ユーロドルは1.08台を回復。ポンドドルは1.26台半ばまで買い戻された。本日はパウエルFRB議長のスタンフォードでのスピーチが行われたが、全体的にトーンは先日のFOMCと変化はなかった印象で、利下げの可能性には言及していたものの、時期や程度については今後のデータを待ちたい姿勢を強調していた。
(4日)
東京市場は、落ち着いた取引。ドル円は前日に151.95近辺まで上昇も、152円トライには慎重姿勢が見られ、151円台半ばへと押し戻された経緯がある。きょうは151円台半ばでは底堅く、昼頃には151.72近辺まで持ち直した。午後は、明日の3月米雇用統計の発表を控えて模様眺めムードが広がり、午前の値幅内で小幅の値動きにとどまった。ユーロ円は164.25近辺まで弱含んだあと午後には一転して3月22日以来およそ2週間ぶりの高値水準となる164.53近辺まで買われた。ユーロドルは1.0847近辺へとジリ高となり、1週間ぶりの高値水準となった。株高とともに豪ドルが買われ、対円は3月21日以来2週間ぶりの高値水準となる99.97レベルと100円台にあと一歩まで上昇。
ロンドン市場は、全般にドル安や円安の動き。特に豪ドルやNZドル、カナダドルが堅調。このところの原油高などが好感されているようだ。豪ドルは対ドルで0.66台乗せ、対円では節目となる100円台に乗せている。ドル円は151円台後半の高値圏にとどまっている。日銀のさくらリポートでは全9地域中で7地域の景気判断が引き下げられており、日銀の緩和的姿勢が継続するとの見方につながっている。売りが目立ったのがスイスフラン。同国の消費者物価指数が前年比+1.0%と前回から予想外に低下したことが、スイス中銀の追加緩和観測につながり、フランが急落した。ユーロとポンドではユーロの方が堅調。一連の欧州主要国、ユーロ圏全体の非製造業PMIが改善したことが背景。ユーロドルは1.08台後半、ユーロ円は164円台後半に上昇している。一方、ポンドも対ドルや対円では堅調だが、対ユーロでは軟調。英国の非製造業PMI確報値がやや下方改定されたことや、英中銀が企業担当者の調査したインフレ見通しで、製品価格引き上げや賃金上昇に鈍化の兆候がみられたことで、市場は夏までに英中銀が利下げを開始することを織り込んでいる。ポンドドルは1.26台後半、ポンド円は192円台乗せも、ユーロポンドは上昇している。
NY市場では、ドル買い・円買いの動きが優勢。金利動向に関連した動きというよりも、明日の米雇用統計を前にリスク回避の動きが強まった。米株式市場が急速に戻り売りに押され、ダウ平均が500ドル超急落するなど下げを加速させたほか、原油相場が一時87ドル台まで上昇したことが、ネガティブな雰囲気を広めていた模様。米国債利回りも低下した。複数のFOMC委員の発言が伝わっていたが、利下げに慎重な姿勢を強調しており、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は、年内は利下げが必要ない可能性にも言及していた。ドル円はリスク回避の円高もあって、151円台前半に伸び悩んだ。ユーロドルは終盤にかけて売りに押され、1.08台前半へと反落。本日はECBが3月の理事会の議事要旨を公表していたが、理事たちは、利下げの時期がほぼ到来したと結論付けるのに十分説得力のある証拠が揃ったと考えていたことが明らかとなった。ポンドドルも終盤に失速。1.26台後半まで上昇したあと、1.26台前半へと押し戻された。この日はユーロ圏、英国とも3月のサービス業PMIの確報値が公表されていた。それが対照的な結果となったことが、ユーロ買い・ポンド売りに繋がっているとの指摘があった。
(5日)
東京市場では、ドル円が下に往って来い。昨日のNY市場では米NY原油先物や金先物の上昇が見られるなど、中東情勢にらみの展開が目立っていた。東京市場では午前中にドル円が151円割れから150.81近辺まで下落する場面があった。しかし、午後には151.30付近まで戻している。ただ、朝方の高値水準には戻し切れず。ユーロ円も164円台割れから163円台半ばまで下落したあと、163円台後半に下げ渋り。ユーロドルは1.0820台から40台での小幅の振幅にとどまっていいる。リスク回避圧力を受けつつも、米雇用統計待ちで動きにくい展開。
ロンドン市場は、円買いが一服している。東京市場では午前にドル円が150.81近辺まで下落と、円買いに押される場面があった。イスラエルとイランの緊張の高まりを受けて地政学リスクが高まり、米株が下落したことに反応した。日経平均も大幅安となった。また、植田日銀総裁が早朝に今後の利上げの可能性を繰り返したことも材料視されていたようだ。ただ、その後は買戻しが入る展開。ロンドン序盤にかけては151円台前半へと買い戻されている。前日NYクローズ水準で米雇用統計待ちとなってきている。ユーロ円は164円台乗せ、ポンド円は191円台前半まで買い戻されている。ドル相場は方向性に欠ける動き。ユーロドルは1.08台前半、ポンドドルは1.26台前半での揉み合いに終始している。この日はユーロ対ポンドも小幅の振幅にとどまっている。
NY市場は前半こそドル買いが優勢となったものの、後半に戻した。ドル円については、ドルと円が同方向に動いたことから大きな値動きもなく、151円台での上下動を続けている。朝方発表になった3月の米雇用統計が予想以上に力強い米労働市場を示したことでドルが買われた。ただ、米雇用統計を受けたドル高は続かず、後半には戻している。前日は米株式市場が急落し、リスク回避のドル買いが強まっていたが、本日は強い米雇用統計でFRBの利下げ期待がさらに後退しているにもかかわらず、米株式市場がしっかりと推移していたことで安心感が広がったのかもしれない。

執筆者 : MINKABU PRESS
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