FOMCとパウエル会見を受けてドル安が優勢に=NY為替概況
FOMCとパウエル会見を受けてドル安が優勢に=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時150円台に下落する場面も見られた。この日のFOMCとパウエル議長の会見を受けてドル安が優勢となった。金利は予想通りに据え置かれた一方、FOMC委員の今年末時点での金利見通し(ドット・プロット)は中央値で年内3回の利下げを維持した。直近のインフレ指標がインフレの根強さを示したことから、2回に減少するのではと見られていたが、変わらずだった。
ただ、その時点は逆にドル高の反応が見られていた。中央値で年内3回の利下げが維持されたとは言え、2回以下とで人数は拮抗。19名の委員のうち9名が2回以下を予想していた。また、年内のPCEコアの予想を12月の2.4%から2.6%に上方修正していた点も影響した可能性もありそうだ。
しかし、その後のパウエル議長の会見を受けて、ドル安が強まった。議長は「今年のある時点での緩和開始が適切」と繰り返したほか、「保有資産の縮小ペースをかなり早期に緩めることが適切」とも述べていた。また、1、2月のインフレ指標は信頼感を高めなかったものの、インフレ指標には季節性がある可能性にも言及していた。ハト派な印象が優勢だったようだ。
序盤のユーロドルは1.08ドル台前半に下落し、前日同様に200日線に顔合わせする動きが見られていた。しかし、FOMCを受けたドル安で、1.09ドル台に戻す展開。
FRBの利下げについてはまだ未知数だが、市場はECBについては依然として6月を有力視している。本日はラガルド総裁の講演が行われていたが、インフレと賃金のデータが予測と一致すれば、6月に利下げを実施することができると述べていた。「直近の賃金上昇率は10-12月に鈍化を示し、1-3月のデータは5月に入手可能になる。6月に最初の利下げを実施した後も慎重姿勢を崩さないだろう」とも述べていた。今回の発言は6月利下げの準備を進めていることを強く示唆するものと受け止められている。
ポンドドルは1.26ドル台に値を落としていたものの、1.27ドル台後半に上昇する動き。本日の21日線が1.27ドル台前半に来ていたが、その水準を回復している。きょうは2月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、インフレの大幅な鈍化が示されていた。それを受けて英中銀はまもなく市場の利下げ期待に耳を傾けるとの声も出ている。早ければ6月にも利下げに踏み切る可能性が高まっているという。コンセンサスはなお8月ではある。
総合指数がまだ目標の2%を大きく上回っており、直ぐには利下げに踏み切れないものの、インフレは急速に目標に接近しており、エネルギー価格の上限が再び低下する4月には、さらに大幅な低下が予想されるという。
今週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されているが、ハト派な微調整が行われれば、委員が徐々にタカ派バイアスを失って行くという最近のMPCの傾向に沿ったものとなるだろうとも述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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