ドル円、151円手前まで一気に回復 次の注目は2回か3回か=NY為替概況
ドル円、151円手前まで一気に回復 次の注目は2回か3回か=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は上げ幅を伸ばし、151円手前まで一気に回復している。今週は中銀の重要イベントが多いが、トップバッターの日銀が決定会合の結果を発表した。事前の観測報道通りにマイナス金利解除とイールドカーブ・コントロール(YCC)の終了、そしてETF、REITの購入終了を打ち出してきた。ただ、市場の反応は円安となった。
日銀は、現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると明記。植田総裁も緩和環境維持することが大事と、引き続き緩和姿勢を堅持し、慎重姿勢を強調した。日米の金利差は当面続くとの見方から、ドル円はもうしばらく上値を追えるとの見方が広まったのかもしれない。
そして、いよいよFOMCが本日から始まり、明日結果が発表される。政策は据え置きが確実視されている中で、注目はパウエル議長の会見などになるが、今回はFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)と経済見通しも公表される。市場は先週の米インフレ指標を受けて利下げ期待を後退させている。当初見込まれていた6月の利下げ開始を大きく後退させているほか、年内の利下げ回数も3回を織り込めない状況。12月FOMC時のドット・プロットは、今年3回の利下げ(計0.75%)を見込み、ハト派サプライズが広がっていた。ただ、市場では2回に減るのではとの観測も出ている。
2回か、それとも3回かで、市場の反応は分かれそうだが、2回に減ると見ている向きが増えている模様。ただ一部からは、雇用が次第に落ち着きを取り戻す中で、パウエルFRB議長は景気の先行きを気にしており、意外に3回の利下げ予想とハト派スタンスを維持するとの観測も出ていることは留意される。前半はドル買い優勢だったものの、後半は戻り売りに押されていた。
ユーロドルはNY時間に入って下げ渋ったものの、ロンドン時間には一時1.0835ドル付近まで下落し、200日線に顔合わせする場面が見られた。本日は、反応は限定的だったが、ドイツZEW景況感指数が発表され、期待指数は予想を上回り8ヵ月連続の改善を見せていた。この指標は金融専門家へのアンケート調査だが、堅調な労働市場と金利が間もなく引き下げられるという期待に支えられ、前向きな見通しを示している。
一方、ZEWの現況指数は僅かな上昇に留まり、産業界の低迷が続くことによる当面の下振れリスクを浮き彫りにしている。第1四半期のドイツ経済はプラス成長への回復が期待されているが、製造業の低迷は続くことが予想されており、足元に不安を抱えているようだ。
ポンドドルはNY時間の後半にロンドン時間の下げを取り戻した。一時1.2670ドル付近まで下落していたが、FRBがハト派色を温存するとの見方もある中で、次第にドル売りが優勢となり、ポンドドルも買い戻された格好。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が開催されるが、その前に明日は英消費者物価指数(CPI)が発表され、その内容を見極めたい雰囲気も強かった。英CPIは大幅なインフレ鈍化が見込まれている。
一部からは、英中銀の消極的な利下げ姿勢がポンド押し上げに寄与するとの見方が出ている。いまのところ、他の中銀がすでに利下げ姿勢に転じる中で、英中銀が利下げに踏み切らないことがポンドを支援するという。また、年内にも予定されている総選挙に向けた不確実性が後退していることや、経常赤字を巡る懸念も緩和しており、ポンドに対する強気の見方を維持しているとも言及した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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