ドル円は149円台前半で小動き 明日の日銀決定会合待ち=NY為替概況
きょうのNY為替市場、様子見の雰囲気が続き、ドル円は149円台前半での小幅な値動きが続いた。今週は中銀の重要イベントが多く、特にドル円の投資家は明日の日銀決定会合待ちといった雰囲気であろう。先週の数多くの報道で、マイナス金利解除とイールドカーブ・コントロール(YCC)、ETF購入の終了などが有力視されている。
ただ、予想通りにマイナス金利を解除したとしても、日銀は引き続き緩和姿勢を堅持し、急速な引き締めは考えていないといった慎重姿勢を強調し、バランスを取ると見られている。そのような中、日米の金利差は当面続くとの見方から、ドル円はもうしばらく上値を追えるとの見方が広まっているようだ。明日の日銀決定会合と植田総裁の会見を経て、150円を試す流れになるとの見方がドル円の下値をサポートしている。
一方、市場の一部からは円相場は結局、FRBで決まるとの見方も出ている。円が動くとすれば20日のFOMC以降だという。ドル円を動かしているのはドル側の要因で、それは今週も変わらないと指摘。FOMCのドットプロットがタカ派的な内容となれば、円は引き続き守勢に立たされる一方、12月と代わり映えしない内容であれば、円には新たな買いが入る可能性を指摘している。市場の一部からは、パウエル議長は意外にハト派に傾くのではとの観測も出ているようだ。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが優勢となり、再び1.08ドル台に値を落とした。今週の重要イベントを控え、為替市場は小動きに終始している中、ユーロドルは一時1.09ドル台に上昇していた。
成長率の差を考慮すると、FRBよりもECBの方が連続的な利下げに踏み切る可能性が高いとの見方が一部から出ている。FRBもECBも6月利下げ開始を予想しているが、FRBはより緩やかに利下げを進めるという。
重大な外生的ショックが発生しない限り、基本シナリオは、FRBは6月に利下げに踏み切り、現在の米経済成長を背景に緩やかな利下げサイクルを辿ると予想している。一方、ユーロ圏については、景気の逆風を受けやすいことから、現在の成長率の差を考慮すると、ECBはFRBよりも連続的な利下げを行う可能性が高いと付け加えた。その場合、金利差だけから見ればユーロドルは下押し圧力が強まることを意味する。
ポンドドルは1.27ドル台前半で上下動。今週は中銀の重要イベントが多く、特にポンドに関しては木曜日に英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。その内容を見極めたい雰囲気も強い。
MPCの前日20日に2月の英消費者物価指数(CPI)が発表され、2年半ぶりの低水準が見込まれている。それは2%目標に数カ月以内に到達することを示唆し、利下げ観測に拍車をかける可能性があると見られている。英インフレは2022年10月の11%超をピークに、緩やな低下が続いている。過去3カ月はほとんど進展がなかったが、2月は大幅な低下が見込まれているようだ。
ただ、英中銀は近い将来の利下げ示唆は避けそうだ。ベイリー総裁は利下げへの方向転換について、FRBやECBよりも慎重姿勢を示している。しかし、賃金圧力低下と昨年後半のリセッション(景気後退)により、市場は英中銀が夏の終わり(8月)までに利下げを開始すると見込んでいる状況。
*英消費者物価指数(CPI)(2月)20日16:00
予想 0.8% 前回 -0.6%(前月比)
予想 3.5% 前回 4.0%(前年比)
予想 4.6% 前回 5.1%(コア・前年比)
予想 6.0% 前回 6.5%(サービス・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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