ドル円は上に往って来いの展開 米PPIはインフレの粘着性示すも、ドル高の勢いも一服=NY為替概況
ドル円は上に往って来いの展開 米PPIはインフレの粘着性示すも、ドル高の勢いも一服=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は上に往って来いの展開となった。この日発表の米生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことでドルの買い戻しが強まり、ドル円は一時150.65円付近まで上昇。しかし、今週の米消費者物価指数(CPI)以降に強まったドル高の勢いも一服しつつあり、上値ではドルの戻り売り圧力も強まっているようだ。NY市場は明日から3連休を控えていることもあり、ドルロングのポジション調整も出ていた模様。
米PPIは総合指数で前月比0.3%、コア指数で0.5%と、先日の米CPIに引き続き予想を上回る内容となり、インフレの粘着性を浮き彫りにした。FRBの早期利下げ期待も一層後退させている。この結果を受けて短期金融市場では今年のFRBの累計の利下げを1.00%ポイント以下で織り込み始めている。2週間前までは1.50%ポイントで織り込んでいた。
ユーロドルは下に往って来いの展開。米PPI発表後に一時1.07ドル台前半に下落。ただ、序盤の下げを取り戻し、1.07ドル台後半に戻している。下向きのトレンドに変化はないが、1.07ドルがサポートされたことで、下げが加速する気配まではない。
本日はビルロワドガロー仏中銀総裁のインタビューが伝わっていたが、ECBの2つのリスクを指摘していた。「利下げを急ぎ過ぎてインフレが再上昇するリスク」、そして「利下げを長引かせ過ぎて経済を圧迫するリスク」を挙げている。2つ目のリスクは現在、1つ目のリスクと同様に存在しているとも述べた。ECBはこの2つのリスクの間を慎重に進む必要があるという。
ポンドドルも下に往って来いの展開。米PPIを受けて1.25ドル台半ばまで下落したが、1.26ドル台まで戻し、序盤の下げを完全に取り戻した。本日も200日線にサポートされ、上値は重くなっているものの、下向きのトレンドまではまだ鮮明に出ていない。英中銀の利下げはFRBやECBに比べて遅く始まるとの見方も根強く、ポンドの下値をサポートしているようだ。
本日は1月の英小売売上高が発表になっていたが、予想外の増加となっていた。1月は小売り各社が値引きしており、それに助けられたようだ。値引きが消費者の予算を極限まで引き伸ばし、1ポンドでも多くお金を使うことを強く意識させたと見られている。インフレによる値上げが1年続いたため、小売店は厳しい値引きを余儀なくされたが、それでも人々は購入量を増やしていたようだ。
*英小売売上高(1月)16:00
結果 3.4%
予想 1.5% 前回 -3.3%(-3.2%から修正)(前月比)
結果 0.7%
予想 -1.5% 前回 -2.4%(前年比)
結果 3.2%
予想 1.9% 前回 -3.5%(-3.3%から修正)(除自動車燃料・前月比)
結果 0.7%
予想 -1.2% 前回 -2.1%(除自動車燃料・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。