ドル円、瞬間的に141円台まで急落 日銀への思惑が高まり見切り売り連発=NY為替概況
ドル円、瞬間的に141円台まで急落 日銀への思惑が高まり見切り売り連発=NY為替概況
きょうのNY為替市場は円が急伸し、ドル円は瞬間的に141円台まで急落する場面が見られた。売りが売りを呼ぶ展開の中で、大口の売りオーダーが入り、一気にストップを巻き込んだものと思われる。さすがに買戻しも入り、144円ちょうど付近までは戻したものの、年初からの上昇相場に一旦終了のシグナルが出た可能性もありそうだ。一時200日線を下回っていたが、明日の米雇用統計を受けて再び試に行くか注目される。
日銀への思惑が高まっている。前日の氷見野副総裁の発言と本日の植田総裁の参議院財政金融委員会での「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)の説明が、市場の早期緩和解除への思惑を高めたようだ。一旦沈静化していた早期のマイナス金利解除観測に再び火が付いており、短期金融市場では、前日までは6月のマイナス金利解除で織り込んでいたが、本日はそれが4月に前倒しされている。再来週の決定会合での政策変更の可能性まで意識されるようだ。
米商品先物協会(CFTC)が先週末に発表した建玉報告によると、円の売り越しは11月よりは若干減少しているものの、なお記録的な水準に積み上がっている。世界的に来年の利下げ観測が強まる中で、日銀の緩和解除への思惑により、積み上がった円ショートが一気に巻き返される可能性はありそうだ。
市場からは「日銀の行動はマイナス金利を解除する程度の小幅な利上げに留まるかもしれないが、FRBやECBがより積極的に利下げに転じれば、来年の円反発には十分強力だ」との指摘も出ていた。
ユーロドルは一時1.08ドル台を回復。市場ではFRBの来年の利下げ期待が過熱気味に高まっているが、ECBの利下げ開始期待も同様に高まっている。米大手証券のエコノミストによると、ECBは4月に利下げに踏み切るとの見方を示した。ユーロ圏のディスインフレが大幅に加速するとの見通しから、3月利下げの可能性も排除できないが、堅調な成長、賃金の伸びの継続的な強さ、基礎的インフレの鈍化を確認するためには、より多くのデータが必要で、4月の可能性の方がやや高いという。
現在、4.00%の中銀預金金利が2025年初頭までに2.25%まで低下すると見ており、それまで理事会は毎回0.25%ポイントずつ金利を引き下げると予想している。
ポンドドルは一時1.26ドル台に上昇する場面が見られた。1.26ドルの水準は先週から週初まで強い下値サポートとして機能していたが、それを割り込んだことで今度は強い上値レジスタンスに変化したものと思われる。その水準を回復できるか注目される。
来週は各国中銀の年内最後の政策ラッシュだが、英中銀も14日に金融政策委員会(MPC)を開催する。市場では据え置きが確実視されているものの、FRBやECBとは異なり、一部の委員はなお、追加利上げを主張すると見られている。前回同様に9名の委員のうち3名が利上げを主張するとの予想もあるが、タカ派の急先鋒で知られるマン委員は確実に利上げを主張すると見られているようだ。マン委員は、金利を現在の5.25%のままにしておくと、インフレが目標の2%を超えて立ち往生する危険性があり、インフレ抑制に失敗するよりも、政策を引き締め過ぎて景気を急降下させる方が、誤りを正しやすいと考えているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。