ドル円は135円を挟んで上下動 いまのところ急落からの買い戻しに留まっている印象=NY為替概況
きょうのドル円は135円を挟んで上下動しており、方向感がない。午後になってFRBが第1四半期の銀行融資担当者調査を公表しており、信用状況がタイト化しているほか、法人からの融資需要も軟化していると発表したことで、ややリスク回避の雰囲気も出ていたようだ。
先週はFOMCや米地銀問題などで下値警戒感が強まったものの、週末の米雇用統計を受けて一気に買戻しが膨らんでいる。ただ、再び135円台を完全突破し、上値追いの動きを加速させるのには慎重な雰囲気もある。いまのところ急落からの買い戻しに留まっている印象ではある。
先週のFOMCを受けて利上げサイクルの停止期待が高まっており、6月FOMCは据え置きを確実視している。一方、逆に7月の利下げ期待も一時高まっていたが、米雇用統計を受けて後退している状況。
今週は10日に4月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、まずはそれを確認したい意向のようだ。現在の予想では高インフレの状況に変化はないものと見られている。
*米消費者物価指数(4月)10日21:30
予想 0.3% 前回 0.1%(前月比)
予想 5.0% 前回 5.0%(前年比)
予想 0.3% 前回 0.4%(コア・前月比)
予想 5.5% 前回 5.6%(コア・前年比)
ユーロドルはNY時間に入って伸び悩む動きが見られているものの、1.10ドル台は維持。きょうは1.1050ドル付近まで一時上昇していた。ユーロドルは重要な節目の1.10ドル台での推移が続いている。ただ、年初来高値の1.1095ドル付近を突破し、1.11ドルを試そうという雰囲気までは、まだ出ていない。
一部からは、新たな上値追いが出現する前に、しばらく1.09-1.11ドルのレンジ取引が続く可能性も指摘されている。先週のFOMCとECBが示唆した動向を確認したい意向も強いと見られているようだ。
先週金曜日の強い米雇用統計の発表を受けても、市場の年内の米利下げ期待までは後退していない。一方、ECBは先週の理事会で0.25%ポイントの通常幅に縮小して利上げを行ったが、ラガルド総裁が追加利上げをコミットするなど、タカ派姿勢に変化はない。両中銀の更なる金融政策の格差縮小が今後期待されるものの、もう少し確信を掴みたいようだ。また、リスク回避の雰囲気の高まりもなお警戒される中、ユーロドルは動きづらいのかもしれない。
ポンドドルは、チャールズ英国王戴冠式の振替休日で英国勢は祝日となっている中、上値追いの動きが続いており、1.2670ドル付近まで一時上昇した。昨年5月以来、約1年ぶりの高値水準を更新。ただ、NY時間にかけては伸び悩む動きが見られている。先週は強い米雇用統計を受けても、ポンドドルは下値が固かったことから、買いが活発に出ていた。その流れが本日も続いている模様。
今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、直近の英経済指標が予想外の回復力を示していることから、0.25%ポイントの追加利上げが確実視されている。ただ、2名のハト派な委員からは反対票が投じられる可能性もあり、採決は7対2での決定になるのではとの見方も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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