ドル円は131円台後半まで買い戻し 米雇用統計を確認したい意向も=NY為替概況
ドル円は131円台後半まで買い戻し 米雇用統計を確認したい意向も=NY為替概況
きょうのドル円は東京時間に再び130円台に下落していたものの、NY時間にかけて買戻しの動きを強め、131円台後半まで買い戻された。朝方発表の米新規失業保険申請件数が予想を上回る内容となったことで、瞬間的にドル売りが強まり、ドル円も131円ちょうど付近に急速に下落する場面が見られたものの、直ぐに買い戻しが強まった。
なお、米労働省は季節調整の手法を更新し、今年の米新規失業保険申請件数がこれまでに発表された数字よりも多かったことを明らかにしている。
前日発表のADP雇用統計やISM非製造業景気指数も弱い内容となっていたが、今週発表の米経済指標は弱い内容が相次いでいる。市場は景気の先行き警戒感を高め、FRBは否定しているものの、年内の米利下げ期待も高めている。為替市場では、ドル売りとリスク回避の円買いが重なり、ドル円は下向きの流れを加速させた。
短期金融市場では利上げはもうないのではとの期待を織り込む動きが出ている。しかし、米地区連銀総裁などFOMC委員の発言からは、その期待は若干行き過ぎのようにも思われる。FOMC委員はもう少し利上げを行いたい意向を滲ませており、現状は夏までにあと1回は利上げを実施との見方が有力であろう。
明日は米雇用統計が発表され、市場はその結果を確認したい意向が強い。しかし、明日はグッドフライデーの祝日で、市場参加者もほぼいない状況。これまでグッドフライデーに米雇用統計が重なる時の値動きを思い起こすと、米雇用統計発表直後に反応し、当日はそれで大方終了というケーズが多かったように思われる。
ユーロドルは1.09ドルちょうどを挟んで方向感のない値動きが続いていたが、やや買いが出ており、1.0925ドル付近での推移。しっかりと下値がサポートされており、上向きの流れを継続している。FRBとECBの金融格差が縮小して行くとの見方が引き続き支えとなっているようだ。
一部からは、インフレ圧力が低下しても、ECBはすぐに安心することはないとの指摘が出ている。ECBの消費者期待調査(CES)のインフレ期待値と生産者物価(PPI)が低下しても、ECBを安心させるのにはまだ不十分だという。ECBが注目しているコアインフレは夏の終わりまで緩和されず、労働市場もタイトなままだと指摘。そのため、金融環境もしばらく十分に制限的な領域にはない可能性があり、ECBは中銀預金金利のターミナルレート(最終到達点)4.00%に向けて、0.25%ポイント刻みで利上げを継続すると見ているという。
短期金融市場では現在、ECBの利上げを計0.60%ポイント程度と見ている。現在の中銀預金金利は3.00%。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、一時1.24ドル台前半まで下落する場面が見られた。ただ、下押す動きまではなく、3月からの上昇トレンドはしっかりと堅持している。今週は一時、節目の1.25ドルを回復する場面も見られたが、今週末はイースター休暇も控える中、ポジション調整も出ているようだ。
ポンドは力強い値動きを続けているが、その背景には、これまで警戒していたほどの景気後退はないとの見方のほか、ここに来て英中銀が若干タカ派になっていることがポンドを支えている。しかし、一部からは、市場の英中銀の利上げへの期待は行き過ぎだとの指摘も出ている。そのためポンドは、特に対ユーロで下落の可能性があるという。
ドルのモメンタムが軟調に推移する限り、ポンドドルについては、しばらく下値がサポートされるが、対ユーロでは年内のどこかで下落する可能性が高いとしている。ユーロポンドは夏までに0.89ポンド、年後半には0.90ポンドまでの上昇を見込んでいるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。