米株反落でドル円も伸び悩み 明日の日銀待ち=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円はNY時間に入って伸び悩む展開が見られた。米株が反落するなど本日のNY市場はこれまでのリスク選好が一服しておりドル円を圧迫した模様。ただ、きょうは買い戻しの流れが優勢となり、一時129円台を回復する場面も見られていた。明日の日銀決定会合待ちの雰囲気が強い中、前日は127円台前半まで下落していたが、日銀の政策再調整への過度な織り込みへの警戒感も出ている模様。
明日の日銀決定会合に市場の関心が集まっている。先週は一部報道で政策再修正を検討と伝わり、市場の関心を強めている模様。日本国債市場でも10年物の利回りが日銀が設定している上限の0.50%を若干上回る水準で取引されている状況。
ただ、明日は据え置きの見方も多い。むしろ、イールドカーブコントロール(YCC)の修正などの措置については次回以降に持ち越し、今回は政策を据え置いたうえで、タカ派な声明や今回は展望レポートも公表され、それらを通して近い将来の緩和解除を示唆するとの見方も出ている。その場合、瞬間的に円安の反応も想定されるが、一時的な動きに留まると見られている。この先の日銀の政策変更については、YCCの10年物国債利回りの許容変動幅の拡大、YCCの終了、基準点の5年物への変更、スワップ金利への介入など様々な見方が出ているようだ。
ユーロドルは戻り売りに押され、1.07ドル台に下落。ECB理事らはラガルドECB総裁が12月に示したよりも遅いペースで利上げを行うことを検討し始めているとの報道が伝わった。2月の0.50%ポイントの利上げの可能性は依然として高いが、続く3月の理事会での0.25%ポイントの利上げを行うとの見通しが支持を集めているという。
ユーロ圏のインフレが予想を下回り、天然ガス価格が下落し、FRBが引き締めペースを緩めるとの見方がECB理事たちに幾分安心感を与えているという。インフレ見通しがどのように変化したかは3月のスタッフ見通しで初めて明らかになり、これまでほど積極的ではないペースの利上げを支援するかもしれないと伝えている。
今年に入りハト派からタカ派まであらゆるECB理事が僅か6カ月で中銀預金金利を計2.50%ポイント引き上げたが、引き締めペースの減速を議論することに一定の前向きな姿勢を示しているという。
市場では、次の2回の理事会で0.50%ポイントずつの利上げを予想している。その確率を80%以上で見ているほか、中銀預金金利は7月までに3.50%を若干下回る水準までの上昇を予想している。
ポンドドルは1.22ドル台後半と本日高値圏での推移。米株が反落するなど本日のNY市場はリスク選好の雰囲気が一服しているものの、ポンドは買い戻しが続いている。
きょうは英雇用統計が公表されていたが、9-11月の平均失業率は3.7%となり、前回から伸びが横ばいだったほか、10-12月の求人件数も減少が続き、景気減速が英労働需要を弱めていることが示された。ただ、賃金上昇の勢いは続いており、9-11月の週平均賃金(賞与除く)は前年比6.4%上昇と前回の6.1%を上回った。求人件数も減少しているとはいえ、パンデミック前の水準を依然として大きく上回っており、英労働市場のひっ迫感は続いている。
英金利についてはECBやFRBに比べ、慎重な雰囲気も出ているが、英中銀がもうしばらく利上げを続ける可能性を示唆する内容ではある。市場は年央まであと計1.00%ポイント、4.50%までの利上げの可能性を織り込んでいる状況。
英ILO失業率(9-11月)16:00
結果 3.7%
予想 3.7% 前回 3.7%
週平均時給(賞与除く)(9-11月)
結果 6.4%
予想 6.3% 前回 6.1%
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。