リスク選好のドル売りが続く中、ドル円も伸び悩む=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りの流れが続き、ドル円は一時131円台半ばに伸び悩んだ。きょうの為替市場は先週末の流れを引き継いでドル売りが優勢となる中、ドル円も戻り売りに押された。
先週金曜日の予想外に弱いISM非製造業景気指数と、米雇用統計での弱い賃金の伸びが、市場にリスク選好の株高とドル安をもたらしている。市場からは、年内はインフレが鈍化傾向を示し続け、それに伴ってFRBの利上げサイクル終了が徐々に可視化され、今年は2021年から昨年の9月末まで続いたドル高トレンドが終了するとの見方も出ているようだ。
ドル安と同時に円安も見られ、ドル円の下値はサポートされているものの、21日線の下での推移が続いており、昨年10月以来の下げトレンドを継続している。今年は日銀が本格的に緩和解除に動くとの見方も多い中、リスク選好の雰囲気が広がっていても、ドル円の意識は下向きのようだ。目先は130円を本格的にブレイクしてくるか注目される。
ユーロドルは買い戻しが加速し、1.07ドル台半ばまで上昇。本日1.06ドル台前半に来ている21日線を上放れる動きが見られており、明日以降の動きが注目される。1.10ドルまでの上昇期待も出ているようだ。12月下旬のユーロドルはレンジ内で取引されていたが、最近の米国とユーロ圏の経済指標がユーロドルの更なる上昇を示唆しているとの声も聞かれる。
ユーロ圏のコアインフレと経済活動のデータは予想を上回って推移しており、ECBのタカ派スタンスを維持しやすくしているという。半面、米経済指標のサプライズはネガティブな内容が多く見られており、先週の米雇用統計での平均時給も12月中旬にFRBが示した経済見通しよりも遥かに穏やかなインフレを示唆しており、ISM非製造業景気指数も2010年以来の低い数字となっていた。
先週末の米経済指標を受けて市場では、次回FOMCの利上げは通常の0.25%ポイントとの期待を高めている。一方、ECBは0.50%ポイントの利上げが確実視されている状況の中、両中央銀行の金融政策格差は縮小が期待されているようだ。
ポンドは買い戻しが続き、ポンドドルは一時1.22ドル台まで回復。先週末の米経済指標を経てセンチメントが改善しており、主要通貨の中でもリスクに敏感なポンドは買い戻しが膨らんでいる。ポンドドルはきょうの上げで200日線を上放れる動きを見せ、21日線も回復している。ドルにもう一段の下落リスクがあり、1.2350ドル付近までの上昇も視野に入れている気配もあるが、ファンダメンタルズからすれば、あまり信頼感はないといったところもある。
なお、この日は英中銀のチーフエコノミストであるピル委員の講演が伝わっていたが、英雇用指標は変わり始めており、労働市場の減速はインフレリスクを低下させる可能性に言及していた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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