FOMCは全体的にタカ派な印象も ドル円は上下動=NY為替概況
きょうのNY為替市場、午後のFOMCの結果とパウエル議長の会見を受けて目まぐるしい動きが見られた。政策金利は予想通りに0.50%の利上げとなったが、FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)は2023年末の中央値が5.125%、24年末が4.125%となっている。ターミナルレート(最終到達点)は23年に5.00-5.25%が示唆され、23年の利下げは想定していないことが示唆された格好。前日の米消費者物価指数(CPI)を受けて、市場はターミナルレートの予想を5%以下に引き下げていたが、それよりも高い水準。
その後のパウエルFRB議長の会見でも「しばらくは制限的な政策スタンスが必要。23年の金利見通しがターミナルレートを意味する。ターミナルレートの予想を引き上げないと確証持って言えない」と述べた。「利上げのスピードはもはや重要ではない」とも言及している。
今回のFOMCは全体的に市場の緩和期待に反するタカ派な印象ではあった。為替市場はFOMCの結果とパウエルFRB議長の会見が始まった直後はドル買いの動きが強まったものの、終盤に急速に伸び悩んでいる。
特段のドル売り材料は無かったように思われるが、今回のFOMCを経て、利上げサイクルの終了が見えてきたことで、これまでのドル買いを復活させる勢いまではなくなっているのかもしれない。
ドル円は136円付近まで一旦上昇後に、一時134円台に伸び悩む動きが見られた。
ユーロドルもFOMCを受けて上下動。一旦1.06ドル台前半まで下落したものの、1.06ドル台後半に戻す展開。ただ、1.06ドル台はしっかりと堅持しており、リバウンド相場の流れは続けている。
明日はECB理事会が予定されている。0.50%ポイントの利上げが見込まれているほか、ECBは追加利上げの可能性も示唆し、中立的な政策がすべての状況において適切ではない可能性があることを強調するとも予想されている。今回の利上げにより、政策は正常化から引き締めに軸足が移ることから、来年は通常の0.25%ポイント刻みで利上げを行うとの見方も出ている。
また、ECBはバランスシート縮小の主要原則も発表すると見られており、最も高い可能性としては、来年の第2四半期から資産購入プログラム(APP)の保有額を“消極的”に削減することだろうとの予想も出ている。
ポンドドルもFOMC後に一時1.23ドル台半ばに下落したものの、1.24ドル台に戻す展開。リバウンド相場は継続している。
きょうはロンドン時間に11月の英消費者物価指数(CPI)が発表され予想を下回っていた。ポンドの反応は限定的だったが、物価上昇圧力は恐らくピークに達していることが示唆されている。インフレの見通しは依然不透明だが、恐らくピークに達したとの見方が強まったことで、英中銀がこれまで以上に引き締めに踏み込んだ行動を取らざるを得ないリスクは低下しているとの指摘も出ている。
本日の英CPIが明日の英中銀の0.50%ポイント利上げに影響を与えることはないと見られている。しかし一部からは、追加利上げに対しては一定の壁になったとの声も聞かれる。英経済にリセッション(景気後退)の懸念が強まる中、英国に深刻なインフレ問題が残っているのか明確になるまで、しばらく英中銀は立ち止まることが恐らく理に適っているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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