FX/為替「ドル/円 FRB議長人事を巡り乱高下!消費減退とインフレ高止まりに警戒」 外為どっとコム トゥデイ 2025年7月17日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年7月17日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 神田卓也
目次
▼16日(水)の為替相場
(1):英CPI 予想を上回る
(2):ユーロ圏貿易収支、黒字額は予想より拡大
(3):日本の信用格付けの主なリスクは財政政策
(4):米PPI、市場予想を下回る
(5):トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任すると報道
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:下値は限定的/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
16日(水)の為替相場
期間:16日(水)午前6時10分~17日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):英CPI 予想を上回る
英6月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%と市場予想および前月(+3.4%)を上回った。エネルギーや食品などを除いたコアCPIは前年比+3.7%(予想および前月+3.5%)、英中銀(BOE)が重視するサービスCPIは前年比+4.7%だった(予想+4.5%、前月+4.7%)。
(2):ユーロ圏貿易収支、黒字額は予想より拡大
ユーロ圏5月貿易収支は162.0億ユーロの黒字となり、黒字額は市場予想(140.0億ユーロ)を上回った。エネルギー製品の赤字幅が前年同月比で縮小したことなどが寄与した。
(3):日本の信用格付けの主なリスクは財政政策
格付け会社フィッチ・レーティングスの日本担当アナリストは、参院選を前に「政府が減税を実施し、他の政策で(減税による税収減が)相殺されず、成長率の大幅な上昇にもつながらない場合、基本的には財政赤字の拡大と債務増加の加速につながる。これは間違いなく格付けを圧迫する」と警告した。
(4):米PPI、市場予想を下回る
米6月生産者物価指数(PPI)は前月比±0.0%、前年比+2.3%と市場予想(+0.2%、+2.5%)を下回る伸びにとどまった。食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+2.6%と前月(+3.2%)から鈍化し、市場予想(+2.7%)も下回った。一方、その後に発表された米6月鉱工業生産は前月比+0.3%と市場予想(+0.1%)を上回った。同設備稼働率も77.6%と市場予想(77.4%)以上に上昇した。
(5):パウエルFRB議長解任報道
米ホワイトハウス高官の話として「トランプ大統領は、近くパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任する可能性が高い」と伝わるとドルが急落。米国債利回りが急低下し、米国株は一時マイナス圏に沈んだ。ドル/円は146円台後半まで2円近く急落する場面もあった。クロス円はドル/円につれて下落したが、ストレートドルが上昇する中でユーロ/円が早々に反発するなど、総じて影響は小さかった。その後、トランプ大統領は「パウエル議長の解任は計画していない」と述べて報道を否定するとドルが反発。株価も再び上昇した。
16日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:下値は限定的
昨日のドル/円は終値ベースで約0.7%下落。ブルームバーグが「トランプ米大統領が近くパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任する可能性が高い」と報じたことで146.88円前後まで下値を拡大する場面も見られた。しかし、トランプ大統領が「解任の可能性は非常に低い」と否定したことで148円付近まで持ち直した。
本日は米6月小売売上高が発表される。米国では個人消費が国内総生産(GDP)の7割を占める。4月、5月の小売売上高はともに前月から減少しており、トランプ関税により消費者意欲が減退している可能性を示唆した。仮に本日発表の6月分も前月から減少となれば、米景気後退への懸念からドルが売られる要因となろう。他方で、米6月輸入物価指数も同時刻に発表される。インフレ加速が懸念される中で輸入物価の低下はドル売り要因にもなる。ただし、日本の参院選を巡る不透明感が円売り要因となるため、米経済指標の結果がドル売りにつながったとしてもドル/円の下値は限定的になりそうだ。
注目の経済指標:米6月小売売上高
注目のイベント:G20財務相中銀総裁会議
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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