ドル買い戻しが強まる ドル円は136円台後半まで回復し、200日線を維持=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買い戻しが強まる中、ドル円は136円台後半まで買い戻された。先週末は133円台まで一時下落する場面も見られていたが、きょうの買い戻しで、134.60円付近に来ている200日線はサポートされた格好。この日発表のISM非製造業景気指数が予想を上回ったほか、サービス業のインフレが続いていることが示されたことも、ドル買い戻しを加速させた。
きょうは株安や利回り上昇もみられ、ドルが支援された。ただ一部からは、今年のドル高はひとまずピークに達したとの指摘も出ている。先週の予想を上回る米雇用統計後のドル買いが一時的な動きに終わり、すぐに下げに転じていた。この動きは、ドルの上値へのモメンタムが以前のように強くはなく、来年にかけて軟化の可能性が高いことを示唆しているという。
今年のドルは9月で既にピークを迎えた可能性が高く、来年はFRBのタカ派発言やリスクセンチメントの高まりで、一時的な反発局面はあるものの、大きな潮の流れは下向きだという。しかし、米金利はまださらに上昇する必要があるり、ドル軟化はスムーズではないとも付け加えている。
ユーロドルは伸び悩む動き。この日発表のISM非製造業景気指数が予想外に上昇したことから、ドル買いの反応が強まり、ユーロドルも1.04ドル台に伸び悩んだ。ただ、リバウンド相場は継続している状況。
来週は主要中銀の今年最後の政策委員会が開催され、ECBも理事会を予定している。来週のECB理事会の焦点は、利上げ幅、量的引締め(QT)に関するガイダンス、そして、23および24年のスタッフ見通しに変更があるかどうかだという。QTとスタッフ見通しについては様々な見方があるようだが、利上げ幅については0.50%ポイントを確実視している状況。先日発表のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値がインフレの落ち着きを期待させる内容となったことが大きいようだ。ただ、追加利上げは示唆する可能性は高い。
市場からは、ECBは来年前半までに計0.75%ポイントの利上げを追加し、ターミナルレート(最終到達点)を2.75%まで引き上げるとの見方も出ている。エネルギー危機が実体経済を圧迫し、利上げは簡単ではないと見ている模様。
ポンドドルも戻り売りが強まり、1.21ドル台に下落。ただ、FRBの利上げサイクルの終了が次第に可視化され始める中、リスクセンチメント改善もあって、ポンドドルはリバウンド相場が続いている。しかし、市場の一部からは、上昇の勢いはまもなく弱まり、1.25ドル超まで上げ幅を伸ばすとは考えにくいという見方も出ている。世界と英国のマクロ的なファンダメンタルズの違いを考慮すると、ポンドドルは1.20ドル以下がより適切だという。
来週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、FRBやECBなど主要中銀の今年最後の政策委員会が並行して行われることから、ポンドはむしろ、ドルやリスクセンチメントに左右されることになりそうだとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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