ドル円は戻り売り優勢に カナダ中銀のサプライズでカナダドル急伸=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが優勢となり、一時113.40円近辺まで下落した。113.40円付近は先週末にサポートされた水準だが、更に下は21日線が113円ちょうど付近に来ている状況。ドル円は上向きの流れをなお継続しているが、月末を控えて慎重になっている面もあるようだ。米株は利益確定売りに押され、米国債利回りも低下、仮想通貨も売り圧力に押されており、ドル円も月末絡みのフローが出ている可能性がありそうだ。
インフレ警戒感が高まる中で米国債利回りが上昇しておりドル円をサポートしている。その米国債だが、過去6週間、米10年債利回りは0.4%近く上昇した。2年債利回りもパンデミック以来の最高水準に達している。しかし、これらの動きはインフレの影響を控除した実質利回りの期待には何も影響を与えていないという。2013年にFRBが正常化を始めた直後も、実質金利はマイナスから浮上することはなく、プラスに浮上したのはFRBがバランスシートの拡大を終了してからであった。現段階でFRBのバランスシートはなお大幅な拡大が続いており、実質利回りも大幅なマイナス圏で推移している。このような状況下で、特に長期ゾーン中心に、米国債の再評価がまだ進む可能性(利回り上昇)があるとの指摘も出ている。
ユーロドルは1.16ドルちょうど付近での方向感のない展開。本日の21日線が1.1595ドル付近に来ているが、その水準はしっかりと維持され、いまのところリバウンド相場の流れは継続している。明日のECB理事会待ちの面も強いようだ。そのECB理事会だが、政策は据え置きが濃厚と見られている。市場の注目は来年3月のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)終了後の対応であろう。12月の理事会でそれをアナウンスする可能性が高いとみられているが、それに向けて何らかのヒントを示すか注目されている。また、足元の高インフレに対する認識も注目されるころではある。
市場からは、ラガルド総裁は会見で、2%の中期インフレ目標には程遠いことを改めて表明する可能性が高いとみられている。総裁は、現在のインフレ加速はあくまで供給問題による一時的なものであり、いまは対応する必要はない姿勢を示すとみられているようだ。あくまで、メインシナリオにおける、部分的な上振れリスクとの位置づけを強調するものとみられている。全体的には中立的なスタンスと予想されているようだ。一部からは、明日のECB理事会はユーロ安の反応との声も出ている。
きょうのポンドドルは1.37ドル台前半に何度か下落する場面があったものの、1.37ドル台は維持されている。先週以降、リバウンド相場の流れは一服しているものの、下値での押し目買い意欲も依然根強いようだ。
一部からはポンドドルの売り推奨の声が出ている。市場は利上げ期待を織り込み過ぎだという。市場は来週11月4日の英中銀金融政策委員会(MPC)での0.15%の利上げ期待を織り込む動きがまだあるようだが、その可能性は低い。むしろ、市場の期待よりもタカ派色が薄い可能性があるという。一方、FRBは11月3日のFOMCで、予想よりもタカ派なメッセージを送る可能性があるという。利上げ開始時期に関する市場の期待を後押しする可能性もあるとしている。ポンドドルの下値目標は1.34ドルで、現在の1.37ドル台は売りでエントリーする好機だとしている。
きょうはカナダドルの買いが目立った。この日のカナダ中銀の金融政策委員会(MPC)がビッグサプライズとなったことでカナダドルは買いが強まっている格好。市場は据え置きを想定していたが、カナダ中銀は量的緩和(QE)を終了し、償還債券の再投資のフェーズへの移行を発表した。利上げの時期の可能性も早まったとしている。マクレム・カナダ中銀総裁は会見で再投資のフェーズについては利上げまで続くとしている。また、インフレは目標に戻ると確信しているが、しばらく時間がかかるとの認識も示していた。カナダ円はMPCの結果発表前は91円台前半で推移していたが、MPCの結果を受けて92円台に100ポイント超一気に急伸した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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