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為替相場まとめ3月9日から3月13日の週

為替 

 9日からの週は、中東情勢の悪化と原油価格の乱高下が市場全体を支配した。ドル円は157〜159円台で激しく振れ、イラン新最高指導者モジタバ師の強硬姿勢やホルムズ海峡での攻撃・機雷報道が相次いだことで、有事のドル買いが何度も再燃した。原油は一時119ドル台まで急騰した後、76ドル台まで急反落するなど急騰・急落を繰り返し、そのたびに為替も方向を変えた。政策面では、ECBの年内利上げが1回織り込まれ、2回の確率も上昇する一方、米CPIは予想範囲内ながら原油高を背景に米金利が上昇し、欧州通貨は対ドルで上値が重く、対円ではドル円高に支えられて底堅さを維持した。ドル円は原油高によるインフレ懸念と米金利上昇、有事のドル買いが重なって上昇基調を強めたが、159円台では介入警戒が意識され上値は抑制された。それでも市場では「今回の円安はドル高主導であり、介入ラインは162円付近へ切り上がった」との見方が浮上し、円買い圧力は限定的だった。金曜日終盤に州の高値を更新するなど、ドル買いが優勢となっている。ユーロとポンドは対ドルで軟調、対円では底堅いという二面性を示した。総じてこの週は、地政学リスクが原油を動かし、原油が金利を動かし、金利が為替を動かすというパターンが市場を貫く「イベント・ドリブンの週」となった。ニュースヘッドラインが相場を即時に反転させる極めて神経質な地合いが続いた。

(9日)
 東京市場は、中東情勢をめぐり上下動。イラン紛争を巡り有事ムードが強まる中、週末に亡くなったハメネイ師の後継として対米強硬派のモジタバ師が最高指導者に選出されたとの報道で、中東情勢の長期化懸念が意識された。ドル円は先週末の158円台から週明け158円前後でスタート後、158円台後半まで上昇し158.90円を付けたが、その後G7による石油備蓄放出協議報道からNY原油が急反落し、ドル安に振れて158.30円台へ反落。ユーロドルは1.16ドル台から1.15ドル前半へ下落後、原油高一服で1.1572ドルまで持ち直し、ポンドドルも1.33ドル台前半まで下落した後に1.3340ドル近辺へ戻した。クロス円はドル円の上昇に連れ高となり、ユーロ円は183円前後、ポンド円も211円台前半へ切り返した。

 ロンドン市場は、原油相場の乱高下を背景にドルも振幅。有事のドル買いでNY原油は一時119.48ドルまで急騰しドル円も158.90付近まで上昇したが、G7の石油備蓄放出協議報道で原油は一時100ドル割れまで急反落、ドル高も一服した。ドル円は158.20付近まで押し戻された後、158円台半ばで下げが落ち着く展開。ユーロドルは東京午前の1.1507近辺から買い戻しが進み1.1570台へ上昇し、ポンドドルも1.3280台から1.3360台へ反発。クロス円は東京早朝の下げをほぼ埋め、ユーロ円は182円台前半から183円台、ポンド円は210円台から211円台へ回復。欧州株と米株先物は大幅安で、中東情勢への警戒感は根強く、市場全体はリスク回避とポジション調整が交錯する神経質な地合いが続いた。

 NY市場は、ドル急反落でリスク後退。取引後半に、トランプ大統領が「イラン戦争はほぼ完全に終結している」と発言したとの報道をきっかけに、ドルの戻り売りが急速に強まりドル円は157円台へ下落した。原油は同発言を受け、119ドル台半ばから一気に83ドル台まで急落し、原油高に乗った有事のドル買いは大きく巻き戻された。ユーロドルはアジア時間の1.15ドル前半から1.16ドル台を回復し、ユーロ円も183円台半ばまで上昇するなど、ドル安とユーロ買い戻しが優勢に。ポンドドルは1.34ドル台半ばまで上昇し、ポンド円も一時212円台に乗せたが、クロス円は伸び悩みも見られた。短期金融市場ではECBの年内利上げが1回は完全織り込み、2回の確率も上昇するなど、欧州の金利期待が高まる一方、英中銀は年内据え置き観測が中心であった。

(10日)
 東京市場は、不安定な振幅相場。前日のトランプ大統領によるイラン戦争早期終結示唆でリスク警戒がやや後退したものの、紛争長期化への懸念は根強く、不安定な値動きが続いた。ドル円は前日東京での158.90円から調整して158円台前半で推移していたが、トランプ大統領の発言でリスク回避のドル買いが緩み157円台後半へ下落して朝を迎えた。NY原油が84ドル台まで低下しアジア株も大幅高となったことでドル安が進行し、ドル円は一時157.53円まで下落。その後、トランプ大統領が「今週中の終結ではない」と述べ、イラン側も厳しい条件を提示したことで再びリスク警戒が高まり、原油が91ドル台まで反発する中、ドル円も157.93円まで戻すなど上げ下げを繰り返した。ユーロドルは1.1646ドルまで上昇後に1.1607ドルまで反落、ユーロ円やポンド円も戻りは限定的で神経質な相場展開となった。

 ロンドン市場は、ドル売り先行も失速。前日NY終盤のトランプ発言を受けたイラン攻撃早期終結期待からリスク選好が優勢となり、序盤はドル売りと円売りが進行した。日本株・アジア株の上昇を引き継ぎ欧州株も堅調に推移し、有事のドル買いの巻き戻しでドル円は一時157.28付近まで下落、ユーロドルは1.1664付近まで上昇した。ただし中盤以降はドル売りが失速し、ドル円は157円台後半へ戻し、ユーロドルも1.16台前半〜半ばへ押し戻されるなど、全般にレンジ内でのもみ合いに移行。クロス円は堅調でユーロ円は183円台後半、ポンド円は212円台前半の高値圏で取引され、株高とともにリスク資産選好が意識された。一方で、中東情勢はなお不透明で、トランプ大統領の「イランと話し合う可能性」報道などもあり、需給要因とニュースヘッドラインに左右される神経質な相場が続いた。
 
 NY市場では、ホルムズ海峡を巡る情報が錯綜し、後半にかけて為替・原油ともに乱高下する展開となった。米エネルギー省高官が、米海軍がホルムズ海峡で石油タンカーを護衛したとする投稿をXに行うと、原油は一時76ドル台まで急落し、リスク後退からドル円も157.40円近辺まで下落。しかし投稿が数分後に削除され、イランやホワイトハウスが護衛を否定すると原油は急速に買い戻され、ドル円も再び158円台へ反発した。全体としてドル円は158円台を中心に上下しつつも、160円を意識した上昇余地と売り圧力のせめぎ合い。ユーロドルは1.16ドル台で狭いレンジ推移となり、200日線に上値を抑えられた。一方、ユーロ円とポンド円は21日線上で底堅さを維持。短期金融市場では原油に翻弄されながらECBの利上げ期待が揺れ動き、政策当局者は中東情勢に拙速に反応すべきでないとの慎重姿勢を示した。

(11日)
 東京市場は、円売り優勢も午後鈍化。IEAが史上最大規模の石油備蓄放出を提案したとの報道から朝方はリスク警戒が後退し、ドル高一服でドル円は158.19円から157.92円まで下落した。しかしその後、日経平均など株高を背景にリスク選好の円売りが強まり、豪ドル円上昇をきっかけにクロス円も総じて堅調となり、ドル円は昼前に158.39円まで反発。午後に入ると中国株の軟調さやアジア株の上げ幅縮小で円売りが鈍化し、ドル円は158円割れを試すなど上値の重さが意識された。ユーロドルは1.16ドルちょうど近辺から1.1641ドルまで持ち直し、前日の下げに対する戻りを試す動き。ユーロ円は183円50銭前後から184円08銭まで上昇後、ドル円の反落で伸び悩み、ポンド円も212円台から212.89円まで上昇後に212円40銭台へ押し戻されるなど、全体的に往って来いの展開となった。

 ロンドン市場では、東京時間の円安・ドル安の流れから一転し、ドル買いと円買いが同時に優勢となる難しい地合いとなった。中東有事を背景にECB高官がインフレリスクと利上げの可能性に言及したことで欧州債が売られ利回りが上昇、欧州株も軟調となり、リスク回避の空気が再び強まった。ドル円は東京午後の157.86付近からロンドン勢参入後に買い戻され、158.49付近まで高値を更新し158円台前半〜半ばで神経質に推移。ユーロドルは東京朝方の1.1645付近からロンドン入り後に売りが強まり1.1590付近まで反落し、ユーロ円も184円08付近から183円台後半へ押し戻された。ポンドドルは1.3458から1.3402付近へ下押し後に1.3440台へ小反発、ポンド円は212円台前半〜後半で振幅。翌NYでの米CPI発表を控え、原油高と物価見通しをめぐる思惑からポジション調整が目立つ一日となった。

 NY市場は、ドル高継続で159円視野。この日も原油高と米金利上昇を背景にドル高基調が継続し、ドル円は節目の158円を明確に上抜け159円手前まで上昇した。中東情勢の混迷で原油相場は90ドルを下回りつつも依然高止まりし、インフレ警戒から米国債利回りが上昇したことでドル買いが優勢に。エネルギー輸入依存度の高い日本経済には逆風となる中、日本が石油備蓄放出を検討しているとの報も伝わり、高市政権の補助金など財政対応が意識されれば財政拡大への警戒が再燃する可能性も指摘された。一方、発表された2月米CPIは予想の範囲内でインフレの落ち着きを示す内容だったが、市場は材料通過後に改めてドル買いに傾いた。ユーロドルは1.1560ドル近辺まで下落し200日線の下で上値を抑えられ、ユーロ円は183円台後半で底堅く推移。ポンドドルも200日線が上値抵抗となり下落基調を維持する一方、ポンド円はドル円の上昇に支えられ213円台を回復した。

(12日)
 東京市場は、有事ドル買い優勢。イラン情勢悪化懸念から有事のドル買いが再燃し、ドル円は朝方の取引で直近のレジスタンスだった159.00円を上抜け159.24円まで上昇した。ホルムズ海峡を通過しようとしたタイ船籍貨物船への攻撃報道や機雷設置の情報が伝わり、地政学リスクへの警戒がドル全面高を誘発。ユーロドルは前日の1.15ドル台後半から1.1530ドル台まで下落するなどドル買い優勢の展開となった。その後は行き過ぎたドル高への警戒から調整売りが入り、ドル円は一時158.79円とNY夕方の水準を割り込む場面もあったが、すぐに159円台を回復し、午後は159.00円台を中心に高値圏でのもみ合い。ユーロドルは1.1555ドル付近まで切り返した後も1.1532ドルまで再び押し戻され、ポンドドルも1.3410ドル台から1.3370ドル台へ下落するなど、主要通貨に対してドル高基調が維持された。

 ロンドン市場は、ドル買い一服で調整。ロンドン市場では、東京時間のドル高を引き継ぎつつも、ドル円の159円台では介入警戒感が意識され、ドル買いが一服した。中東情勢の長期化懸念から欧州株や米株先物はマイナス圏で推移し、原油高長期化が警戒される中で独債利回りは上昇、短期金融市場ではECBの7月利上げがほぼ織り込まれている。ドル円は東京午前の159.24付近を高値に上値が重くなり、ロンドン時間には158.60台まで反落、その後も158円台後半でもみ合いとなった。これにあわせてユーロドルは1.1532付近の安値から1.1560付近へと持ち直し、ポンドドルも1.3360台から1.3390台まで下げ渋った一方、クロス円は軟調でユーロ円は183円台前半、ポンド円は212円台半ばへとじり安。市場は有事リスク長期化とドル円の高値警戒の間で方向感を模索する状況となった。

 NY市場では、ドル円が一段高となり159円台半ばまで上げ幅を拡大、1月にレートチェックが行われたとされる159.45円近辺の水準に並んだ。中東情勢の混迷が続く中、イラン新最高指導者モジタバ師がホルムズ海峡閉鎖継続を主張したとの報や、トランプ大統領が原油価格よりイラン核保有阻止を優先すると述べたことが材料となり、原油高・ドル高の流れが継続した。もっとも、市場では今回のドル円上昇は円安と言うよりドル高主導と見なされ、日本当局の為替介入ハードルは従来より上がっているとの見方も浮上し、防衛ラインがかつての158〜159円から162円付近へ切り上がったとの指摘もある。ユーロドルは1.15ドル台前半まで下落し週初安値に並ぶなど下値模索が続き、RSIは売られ過ぎ水準まで低下。ポンドドルは100日線を割り込み1.33ドル台半ばへ下落、ポンド円も212円台半ばへ反落した。来週のECB理事会や英月次GDPなどイベントを控える中でも、市場の視線は依然として中東情勢と原油動向に集中している。

(13日)
 東京市場では、中東有事のなかでリスク回避(逃避)目的のドル買いが相場を牽引。ドル円は一時159.69円付近と2024年7月以来の高値を更新した。ホルムズ海峡封鎖懸念に伴う原油高や、日本の貿易赤字拡大観測が円売り圧力を高めているほか、トランプ米大統領によるイラン体制への強硬なSNS投稿も、地政学リスクを意識したドル買いに拍車をかけた。来週は米FOMCや日銀、ECBなど主要中銀の政策発表が集中する重要イベントを控えているが、現段階では結果を見越した積極的なポジション操作は限られている。クロス円はユーロ円が183.65円付近まで一時強含んだものの、対ドルでの欧州通貨や資源国通貨の上値の重さが波及し、クロス円全体の上昇は限定的なものに留まっている。

 ロンドン市場では、中東有事の長期化懸念から「有事のドル買い」が優勢となっている。トランプ米大統領とイランのモジタバ新最高指導者が共に強硬姿勢を示したことで緊張が継続。ドル円はドル買いと介入警戒の円買いが交錯し、前日NY終値の159.35付近で方向感を欠く展開だが、依然として高値圏を維持している。一方、欧州通貨は対ドル・対円で下落が鮮明だ。株安を受けたリスク回避の円買いに加え、英1月GDPが前月比横ばいと市場予想を下回り、景気停滞が意識されたポンドの売りが加速。ポンドドルは1.33ドルを割り込み、ユーロドルも1.1433ドル付近まで安値を更新した。ユーロ円やポンド円も本日の安値を塗り替えている。この後、日本時間午後9時30分発表の米PCE価格指数やGDP改定値などの重要指標を控え、足元ではドル高に調整が入る場面も見られる。

 NY市場は序盤はドル高の調整が優勢となり、ドル円が159.01円と東京朝の安値を更新する場面も、その後一転してドル高となった。イラン紛争への警戒感が続き、週末越でのドル売りポジションの維持に慎重な姿勢が見られた。東京市場の高値に並んだあと、高値圏でのもみ合いを見せたが、終盤にかけてもう一段買われて159.75付近に上昇。週の高値を更新する形で取引を終えている。ユーロドルやポンドドルでもドル高が優勢。ユーロドルは1.1411ドルまで売りが出た。クロス円はロンドン市場での下げの後もみ合い。戻りは鈍く、ユーロ円やポンド円は終盤にかけて安値を更新。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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