ドル高が一服 ドル円は149円台半ばに伸び悩む PCEは予想通り=NY為替概況
ドル高が一服 ドル円は149円台半ばに伸び悩む PCEは予想通り=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前日の急速なドル高が一服し、ドル円は149円台半ばに伸び悩んだ。FRBが重視しているインフレ指標で注目となっていたPCE価格指数が発表になったが、コア指数は前年比2.9%と、パウエル議長の言及通りの内容となった。市場予想とも一致。
これを受けて為替市場はドル安の反応が見られた。一部には今週発表の米経済指標が強い内容が相次いだこともあり、予想を上回るのではとの警戒も出ていただけに、予想通りの内容に安心感が広がった模様。ただ、状況に変化はなく、10月FOMCでの利下げ確率は88%程度、12月までなら100%だが、2回の確率は64%程度で推移している。
今週は材料難の中、一連のイベントが一通り通過した、利下げ期待は後退した。そのような中、米議会では来週の会計年度末を控え、与野党の協議が活発化している。つなぎ予算が成立しなければ、10月1日から政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる状況。これまで度々繰り返されことでもあり、市場も慣れっこになっているが、今回は対立がやや深刻なようだ。共和、民主両党が態度を硬化させており、閉鎖はほぼ確実との見方も出ている。さらに、トランプ政権が政府機関閉鎖を機に連邦職員の大量解雇を行うと警告しており、経済的にもリスクが高まっている。
エコノミストは、「政連邦職員の大量解雇は短期的に景気の重しになる恐れがあるほか、市場にとって目先の顕著な影響は10月3日の米雇用統計を含む主要統計の発表の遅れだろう」と述べた。
ユーロドルは買い戻しが膨らんだ。前日は強い米経済指標を受けてドル高が強まり、ユーロドルは1.16ドル台半ばまで下落していたが、1.17ドル台に戻す展開。一方、ユーロ円は一旦175円台に上昇し、年初来高値を更新したが、その後は174円台に伸び悩んだ。ただ、ユーロ円の上値追いは継続しており、昨年高値の174円台半ばをしっかりと射程に入れている。
ECBは利下げサイクルが終了したとも見られ、一部からは次の行動は利上げのとの声も出ている。一方、日銀は緩やかとみられてはいるが、利上げ方向で金利差だけで考えれば、ユーロ円の上値には限界があるとの声も出でている。
ただ、ユーロに対する強気な見方も根強く、ユーロドルは年内に1.20ドルを付けるとの声も多い中、ユーロ円も堅調な動きが続いているようだ。
ポンドドルは1.34ドル台まで買戻された。前日は一時1.33ドル台前半まで下落し、9月初めの安値水準に並んだが、その水準は維持されている。チャート的にはダブルトップの形成は回避されている格好となっているが、ポンドは依然として下落圧力に晒されており、市場からは英中銀が利下げへの慎重姿勢を維持できるか懐疑的だとの指摘も出ている。
資産運用会社は、英中銀が市場の予想より早期の利下げを迫られ、場合によってはQE(量的緩和)やイールドカーブ・コントロールといった危機時の政策手段も持ち出さざるを得なくなると見ているという。これは、国債入札で需要が低迷し、11月下旬にリーブス財務相が発表する秋季予算案を前に財政戦略への懐疑的な見方が広がっていることと整合する。オプション市場は、2カ月物以降でより弱気なポジションを示しており、短期的な下落余地は限定的ながらも、中期的にポンド安が進むとの見方を強めている。
ポンド円は200円台を回復。21日線をしっかりと維持し、上向きの流れを継続している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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