為替相場まとめ7月14日から7月18日の週
14日からの週は、緩やかなドル高の流れが維持された。ただ、トランプ関連報道や米経済指標などの材料に、日々神経質に振れる展開も見られた。週明けにはトランプ米大統領が欧州連合(EU)やメキシコに8月1日から30%の関税を課すと発表。週半ばにはトランプ米大統領がパウエルFRB議長を解任すると報じられ、それを大統領が否定する事態も発生、市場が乱高下した。米CPIが根強いインフレを示す一方で、米PPIは予想を下回った、米小売売上高は予想以上の力強さを示した。円相場にとっては20日の参院選を控えていることや、日米貿易協議にも進展が見られないことから円売り圧力が見られた。 英国ではインフレ圧力が強まるなかで労働市場は軟化、豪州でも雇用統計が弱含んだ。
(14日)
東京市場で、ドル円は、上下に振れる不安定な動きを見せ、最終的には上値の重い展開となった。午前中は、週末にトランプ米大統領が欧州連合(EU)やメキシコに8月1日から30%の関税を課すと発表したことを受けてリスク回避の円買いが強まり、一時146.86付近まで下落した。しかし、その後は買い戻しが入り、午前中の下げ幅を帳消しにして、一時147.40台まで回復。午後は、日銀による物価見通しの上方修正検討報道や、参院選での与党苦戦報道を受けた日本国債利回りの上昇が重石となり、円買いが優勢となった。ドル円は147.10台まで下落し、その後は147円台前半で上値の重い展開が続いた。ユーロ円は一時172円台を回復したものの、その後は171円台後半に再び下落。ユーロドルも午後はドル買いが優勢となり、1.1650台まで下落した。
ロンドン市場は、ユーロ売りが一巡。週末にトランプ米大統領が「EUとメキシコに30%関税警告、より良い条件で交渉できない場合8月1日から適用」と述べたことが週明けオセアニア市場でユーロ売りを広げた。ただ、ショック的な値動きは一時的にとどまり、東京市場以降は売買が交錯も下値が堅くなった。ユーロドルは1.16台半ばから後半、ユーロ円は171円台後半から172円台乗せへ。対ポンドでもユーロは先週末終値水準を回復。EUは米国との交渉が不調に終わった場合の対抗措置について話し合っている。ただ、EUは米国と本日この後話し合うとしており、期待もつないでいる。ポンドは対ユーロでの上昇を解消する動き。ベイリー英中銀総裁が雇用市場の悪化次第では大幅な利下げの可能性を示唆したことが、売り圧力となっている。ドル円は東京市場では146円台後半から147円台半ばにかけて振幅したあと、ロンドン時間には147円台前半とやや円高・ドル安水準で落ち着いた取引となっている。米欧貿易協議の行方に加えて、明日の米消費者物価指数発表を控えて、市場は次第に動きにくい状況となってきているようだ。
NY市場は、全体的に様子見の雰囲気が広がり、ドル円は147円台で推移した。トランプ大統領の関税強化発言があったものの、市場は冷静に受け止めている。テクニカル的にはドル円は100日線を維持しており、底打ちの兆候が見られる。今後は6月高値の148円付近が次の上値抵抗となるだろう。市場の焦点は、明日の6月米消費者物価指数(CPI)発表に移っている。関税強化はインフレを押し上げ、FRBの早期利下げ期待を後退させる可能性があるため、注目が集まっている。ユーロドルは1.17ドルを割り込み、1.16ドル台後半での推移が続いた。アナリストは、トランプ大統領の関税が欧州の景気減速を招き、ECBの大幅な利下げにつながる可能性があると指摘している。ポンドドルは全体的なドル買い戻しに加え、財政懸念や利下げ観測が重しとなり、1.34ドル台前半に下落。英中銀総裁が大幅利下げの可能性を示唆したことも、ポンドの重荷となっている。今週発表される英雇用統計が重要性を増している。
(15日)
東京市場で、ドル円は朝方に昨日の高値を超え、一時147.89近辺まで上昇した。しかし、148円手前の売りに上値が抑えられ、その後は小幅な値動きで落ち着いた。午後には147.55近辺まで下落するなど、ドル高が一服する場面も見られたが、値幅は限定的だった。この後の米消費者物価指数(CPI)発表を控え、様子見ムードが広がっている。日本では、参議院選挙を背景とした財政赤字拡大への警戒から、長期国債の利回り上昇(価格下落)傾向が続いている。30年債利回りは過去最高水準を更新したが、円相場の反応は目立たなかった。ユーロドルは、狭いレンジ内で1.16ドル台後半での推移に終始した。一方、ユーロ円は、対ドルのユーロ買いに支えられ、昨日の海外市場から上値を抑えられていた172.50近辺を若干超えて172.55近辺まで上昇するなど、堅調な動きが続いた。
ロンドン市場は、ややドル売りの動きも値幅は限定的。米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、様子見ムードが広がっている。ドル円は147円台後半と前日NY終値付近での取引が継続。ドルストレートはややドル安の動き。ユーロドルは1.16台後半で、ポンドドルは1.34台前半から半ば超え水準へと底堅く推移。豪ドル/ドルやドルカナダなどもややドル売りの動きとなっている。クロス円はやや円安の動き。ユーロ円は172円台前半から後半へ、ポンド円は198円台前半から後半へ、豪ドル円は96円台後半から97円付近まで一時上昇した。しかし、足元では上昇も一服している。米10年債利回りは4.44%付近から4.41%台へと小幅に低下。欧州株や米株先物・時間外取引は小幅高での揉み合い。この時間帯はトランプ関税関連の目立った報道は出ていない。独ZEW景況感の改善が続いた。また、ユーロ圏鉱工業生産も予想を上回った。しかし、市場は反応薄だった。
NY市場では、米消費者物価指数(CPI)発表を受けてドル高が加速した。米国債利回りの上昇も伴い、ドル円は一時149円台に上昇し、ここ数日の膠着状態を抜け出した。チャート上では、現在の水準を維持すれば、200日線を視野に入れる可能性が高まる。6月米CPIコア指数は予想を下回ったが、自動車を除く耐久消費財が大幅に上昇しており、関税の影響が本格化しているとの見方も出ている。市場では、FRBは当面利上げを据え置き、状況を見極めるとの観測が強まり、年内の利下げ期待は後退している。ユーロドルはCPI発表後の動きで一時1.15ドル台まで下落し、下値警戒感が高まった。一方、米大手銀行の調査では、ドイツの財政政策が欧州の成長を改善させる主要な要因になるとのコンセンサスが示された。ポンドドルは1.33ドル台まで下落したが、対ユーロでは買い戻しが見られた。市場では8月利下げへの期待が高まる中、英中銀が量的引き締め(QT)のペースを減速させる可能性も指摘されている。
(16日)
東京市場で、ドル円は米CPIの強い伸びと米国債利回りの上昇を背景に堅調な動きが続いた。午前中には前日の高値を上回る149.04近辺まで上昇。その後も押し目は限定的で、午後には日経平均がプラスに転じたことなども加わり、ストップ注文を巻き込んで一時149.18近辺まで高値を伸ばした。しかし、その後はドル売りが入った。米債利回りの低下やユーロドルでのドル売りも重石となり、147.66近辺まで反落。ユーロドルは、1.1599ドルから1.1624ドルの狭いレンジで推移し、午後はややユーロ買いが優勢となった。ユーロ円は、朝の172.62近辺から一時173.24近辺まで上昇したが、ロンドン勢の参加を前に調整が入り、172.80前後まで値を下げた。ポンドドルは、英物価統計の発表までは小幅な動きにとどまった。発表後、消費者物価指数が予想を上回る伸びを示したことで1.3413ドルまで上昇したが、値幅は限定的であった。ポンド円は、円売りの影響もあって199.74近辺まで高値を伸ばす場面があった。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢も次第に値動きは落ち着いてきている。ドル売りは前日の米CPI後のドル高に対する調整と動きとみられる。ドル円は東京午後に149円台前半に高値を伸ばしたあとは、上値を抑えられている。ロンドン序盤には148.60付近へと下押しされている。その後も148円台後半での推移。ユーロドルは東京市場からロンドン朝方にかけて買われ、1.19台前半に上昇。しかし、ロンドン時間に入ると上値を抑えられている。ポンドドルは英消費者物価指数の上振れに反応し1.34台乗せへと買われた。その後は1.33台後半に押し戻される場面があったが、再び1.34台乗せへと上昇している。米10年債利回りは4.49%付近から4.47%付近で上下動も、足元では再び低下している。いずれも前日NY終値からはややドル安水準での推移で、このあとの米PPI待ちとなっている。ユーロ円は172円台後半、ポンド円は199円台前半と、東京市場での上昇は一服している。
NY市場では、パウエル議長の解任を巡る報道が市場を混乱させた。トランプ大統領が解任の可能性を示唆したとの報道を受け、ドル円は一時146円台へ急落した。しかし、その後トランプ大統領が報道を否定し、ドル円は下げを戻す展開となった。連邦準備法によってFRBの独立性は強く守られており、一方的な解任は困難との見方が大勢を占めている。また、6月の米生産者物価指数(PPI)は前月比が上昇予想に反して横ばいとなった。サービス価格の下落は、企業が関税コストを吸収している可能性を示唆している。市場では、年内に1~2回の利下げ期待に変化はないと見られている。ユーロドルは一時1.17ドル台まで買い戻されたが、その後は1.16ドル台半ばへ伸び悩んだ。フランスでは、財政健全化計画を巡り、バイル首相が議会での信任を失うリスクが浮上し、政局不安が再燃している。ポンドドルも一時1.34ドル台後半まで上昇したが、その後は1.34ドル台前半へ伸び悩んだ。明日の英雇用統計は、英中銀の利下げペースを左右する上で、インフレ以上に重要視される可能性がある。
(17日)
東京市場で、ドル円は一段高となった。前日のNY市場でパウエルFRB議長の解任報道により一時146円台まで急落したが、トランプ大統領によって報道が否定されたことでドル買い戻しが進み、東京午前には148円台半ばまで水準を切り上げた。午後もこの流れを引き継ぎ、一時148.77付近まで上昇した。日経平均の上昇や、参院選での与党苦戦報道を受けた円売りもドル円の上昇を支えた。ユーロドルは午後に一段安となり、一時1.1579ドルまで下落した。ユーロ円は円売りが優勢となり、午後に一時172.67近辺まで上昇したが、その後は上げが一服した。
ロンドン市場は、ドル買い圧力が継続。前日NY市場での乱高下を経て今日の東京市場ではドル買いが優勢だった。ロンドン市場では比較的値動きが落ち着くなかで、さらに148.80台へと高値を伸ばしている。ロンドン朝方には英雇用統計が発表され、失業率が予想外の上昇となった。ポンドドルが1.34付近から1.33台後半へと下押しされる場面があった。ユーロドルは1.16台割れから1.1570付近へと下落。ポンドドル以上の下げ幅となった。特段のユーロ売り材料は見当たらず、前日の乱高下のあとのポジション調整とみられている。欧州株は前日の米株高を受けて堅調に推移。ユーロ円は172円台、ポンド円は199円台乗せなど前日よりも円安水準で取引されている。パウエル解任騒ぎが落ち着いたことが安心材料となる面も指摘されている。
NY市場では、米小売売上高など強い経済指標が発表されたが、ドルは上げ一服となった。ドル円は一時149円台に上昇したが、その後は148円台半ばまで下落した。昨日のパウエル議長解任騒動によるドル売りは一時的なもので、再びドル高の流れに戻っている。しかし、ストラテジストからは、中銀の独立性低下を受けて「ドルの戻りは売り場」との見方も出ている。また、FRBの利下げ見通しがドルの回復を抑制し、長期的にはドルが下落するとの指摘も。ユーロドルは一時1.1560ドル付近まで下げたが、1.15ドル台後半で下げ渋った。ECBは最近のユーロ高をそれほど不満に思っていない可能性があり、ユーロは今後反発すると予想されている。ポンドドルは一時1.3375ドル付近まで下落したが、その後は1.34ドル台がサポートされた。この日発表された英雇用統計は、賃金の伸びの鈍化と失業率の上昇を示し、インフレが加速する中でも英中銀の8月利下げ予想を正当化する内容だった。
(18日)
東京市場では、円売りが優勢。ドル円は朝に148.29付近まで下落したものの、午後には148.81付近まで上昇に転じた。米FRBのウォラー理事が7月の利下げ支持を表明しドル売りが一時見られたものの、下値は限定的だった。また、週末の参院選で与党が過半数割れの可能性が浮上し、日本の財政拡大懸念が強まったことも円売りを促した。クロス円も円安傾向で、ユーロ円は一時172.88、ポンド円は199.70付近まで上昇。一方、ユーロドルは朝のドル安を受けて1.1634まで上昇したが、午後は伸び悩んだ。
ロンドン市場では、東京市場での円売りを受けドル円が一時148.89付近まで上昇したが、その後はドル売り圧力で148.50付近へ反落した。ユーロドルはドル安により1.1646付近まで高値を伸ばし、ポンドドルも1.3443付近の高値を付けた。対ユーロではポンドが軟調で、ユーロ円は173.11付近まで上がったあと下げは限定的。ポンド円は199.98付近から200円台を前に反落し199.50台へ。米10年債利回りは4.43%付近まで低下し、欧州株は続伸で堅調さを維持。今週のドル高・円安の流れはいったん一服し、週末を控えてやや調整が入っている。
NY市場は、序盤ロンドン市場からのドル安が継続も続かず、ドル円はロンドン朝の水準まで反発するなどドル買いが入った。ユーロドルなどでも高値からユーロ売りドル買いが出る展開。ウォラー理事の7月利下げに前向きな姿勢などが序盤のドル売りを誘ったが、大きな変化があったわけではなく、その後動きが落ち着き、ドル買いが強まる展開となった。ミシガン大学消費者信頼感指数は、インフレ期待の後退が米債利回りの低下につながり、発表直後のドル売りとなったが、その後、信頼感指数自体の好結果などを受けたドル買いに反発となった。もっとも総じて値幅は押さえらえており、週末を前に行き過ぎた動きには警戒感が見られた。

執筆者 : MINKABU PRESS
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