ドル円、買い戻しも上値重い FRBへの過度の期待は後退=NY為替概況
ドル円、買い戻しも上値重い FRBへの過度の期待は後退=NY為替概況
きょうのドル円は買い戻しが優勢となり、東京時間には一時146円台まで回復していた。前日は一時141円台まで急落する場面が見られていたが、ドル円の上値は依然として重い印象で、海外市場に入って再び売りに押され、144円台前半まで一時伸び悩んだ。
歴史的な暴落をしていた日本株が急反発したこともあり、円キャリー取引の巻き戻しも一服していたようだが、円は依然として過小評価されており、円キャリー取引の巻き戻しはまだ道半ばとの指摘も出ている。投機的投資家の中では50-60%程度に過ぎないとの分析も出ていた。
一方、ドル自体は買戻しが見られた。前日はFRBの9月FOMCでの0.50%ポイントの大幅利下げへの期待はもちろん、11月も大幅利下げを実施し、年内の利下げ幅は計1.25%まで拡大するのではとの見方まで出ていた。しかし、ハードランディングのシナリオが明確に出ているわけでもなく、現時点でそこまでの急激な利下げを織り込むのは行き過ぎとの声も出ているようだ。
ユーロドルは戻り売りに押された。市場も落ち着きを取り戻しており、ここ数日で急速に高まったFRBの大幅利上げ観測も行き過ぎとの見方も出ている。前日のユーロドルは1.10ドル台に一時上昇する場面もみられたものの、本日は一時1.09ドル台前半まで値を落としている。
ユーロへの見方もさほど変化はなく、ECBによる9月の追加利下げ観測が高まっているほか、ユーロ圏の景気については不透明感が広がっている状況。ただ、インフレは期待ほどは鈍化していないといったところのようだ。
ポンドドルは売りが優勢となり、一時1.2675ドル付近まで下落する場面が見られた。本日の100日線が1.2685ドル付近に来ているが、その水準に到達している。ポンド自体の材料はなく、専らドルの買いに押されている状況が続いている。
投資家は最近の急激な動きとキャリート取引の巻き戻しからポジション動向に集中している。市場参加者がこれまでの勝ち取引を手仕舞うに連れて、ポンドの対ユーロでロングポジションも大きく縮小されるとの見方も出ている。
市場が今後数日で落ち着きを取り戻し、ポジションの解消がほぼ達成されれば、ここ数日急激に進んでいる対ユーロでのポンド安は終わるかもしれないという。長期的なファンダメンタルズはユーロ圏よりも英国のほうが建設的だとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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