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為替相場まとめ3月4日から3月8日の週

為替 

 4日からの週は、材料が豊富だった。特に、日銀関連の報道が多く、為替市場では円高圧力が強まった。日銀の早期マイナス金利解除観測が高まったことが背景。春闘で来年を上回る賃上げ要求がみられるなか、政府筋や一部の日銀審議委員からマイナス金利解除について前向きな姿勢が示された。週末には日銀が国債買入規模を示す新たな量的金融政策の枠組み検討や、3月マイナス金利解除に傾くなどの報道が一段と円買いを誘った。ドル円は150円付近での保ち合いを下抜けると、149円台から146円台へと水準を下げている。また、パウエルFRB議長の議会証言やECB理事会にも注目が集まった。パウエル議長証言では、年内の利下げ開始が示唆された。市場の早期利下げ開始観測には釘を刺す面もあったが、市場はドル売りを強めている。今回のECB理事会では政策金利が予想通り据え置かれた。注目のスタッフ経済予測では、インフレ見通しが引き下げられている。しかし、ラガルドECB総裁会見では、利下げの議論はなかった、としておりユーロの買い戻しを誘った。ただ、週末にはタカ派メンバーを含めて、夏より前の利下げ開始を示唆する発言が相次いでいる。ポンドには際立った材料がなかったが、春季予算案で予想通りの減税措置などが発表された。全般的にはドル売りが優勢で、ドル指数は1月半ば以来のドル安水準に低下している。週末の米雇用統計では、失業率が2年ぶりの水準まで悪化し、平均時給も伸びが緩んでいた。ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は27.5万人増と底堅さを示しており、力強さが失われたわけではないが、雇用の落ち着きは示していた。ドル円は一時146円台半ばまで下落。


(4日)
 東京市場は、円売りが優勢。ドル円は先週末に米ISM製造業景気指数の弱い結果を受けて150.72近辺から150.00付近まで下落。週明けも売りが先行して149.84近辺まで軟化。しかし、すぐに反発に転じ午後には150.32近辺まで上昇した。日経平均が寄り付きから節目の4万円台を回復。一時40314円まで上昇した後、午後にかけて40000円ちょうど近くまで売りが入ったが、大台を何とか維持して40109円で引けるなど、株高の流れが継続したことで円売りが入りやすい地合いになっている。米債利回りが昼頃の4.187%台から4.201%に上昇したこともドル高・円安に寄与した。ユーロ円は162.50付近まで軟化したあと、ドル円とともに買われ163.00付近まで上昇。ユーロドルは1.08台半ばで10ポイントレンジと膠着。

 ロンドン市場は、根強い円安の動き。ドル円はロンドン朝方に150.40付近まで上昇。その後は売買が交錯しているが、下押しは150.20割れ水準までと大台は維持。足元では150.47付近まで買われており、150円台半ばをうかがう動きに。市場ではデフレ脱却が焦点となっている。東京午前には共同通信が「日本政府がデフレ脱却を表明する検討に入った」と報じた。春闘の動向や物価統計など様々な経済指標を踏まえて判断するとしていた。これに対して、東京夕方の会見で林官房長官が「デフレ脱却、物価の基調や背景を考慮し慎重判断必要、現時点で至っていない」と慎重な見方を示していた。クロス円も振幅を伴いながらも円安方向に進んでいる。ユーロ円は163円を挟んで振幅したあと163.30付近へ、ポンド円も190円台前半から半ばで神経質に振れたあとは190.70台へと高値を伸ばしている。ユーロドルは1.08台半ば、ポンドドルは1.26台後半で狭いレンジでの揉み合いが続いている。

 NY市場は、様子見ムードが広がった。ドル円は150円台半ばでの推移が続いた。NY時間に入ってドル売りがやや見られたものの、円安の動きがドル円をサポート。本日は米国債利回りも上昇し、ドル円を下支えした。ただ、情勢に変化はなく、本日は今週の重要イベントを待つ展開となった。パウエルFRB議長の議会証言が控えているほか、水曜日にADP雇用統計と米求人件数、そして金曜日に米雇用統計と雇用情勢を計る重要指標が発表される。ユーロドルは一時1.0865近辺に上昇。きょうの上昇で200日線を上放れる展開が見られており、リバウンド相場の流れは継続している。木曜日ノECB理事会が待たれている状況。ポンドドルは1.27台に一時上昇。ただ、1.27台は強い上値抵抗となっており、突破できるか注目される。ポンドに関しては、ハント英財務相が今週6日に春季予算案を公表する予定で市場はその内容および反応に注目している。

(5日)
 東京市場は、小動き。ドル円は150.36近辺から150.55近辺での振幅にとどまった。午前は日経平均の下落などリスク回避の動きで円買いがやや優勢だったが、午後には下げを消した。ユーロ円も一時163.18近辺まで円買いが入ったが、午後には163.37近辺まで買い戻された。ユーロドルは1.08台半ばでの10ポイントレンジ。前日と同様に動意薄だった。

 ロンドン市場は、やや円買いに押されている。明日から週末にかけての一連のイベントを控えて株式市場とともに調整の動き。ドル円は150円台前半から半ばでの揉み合いとなっているが、ロンドン時間にはクロス円の下げで上値を抑えられている。ユーロ円は163円台前半から大台割れ目前まで一時軟化。ポンド円は191円台を維持できずに190円台半ばまで下押しされる場面があった。欧州株や米株先物・時間外取引では主要株価指数がマイナス圏で取引されている。NY原油先物は78ドル台と前日からの安値圏での推移。中国全人代での積極的な景気支援策の情報が得られていないことも重石となったもよう。週央からの各イベントを控えており、これまでの好調な株式市場の流れにやや調整が入っている。為替市場も基本的に様子見姿勢となっている。

 NY市場では、ドル円が下落。米ISM非製造業景気指数が予想を下回ったことをきっかけに米国債利回りが下げ幅を拡大し、ドル円は一時149.70付近まで下落した。149円台に入ると買い戻しも見られ、一旦150円台に戻したが、米株式市場でダウ平均が一時500ドル超下落するなど、リスク回避の雰囲気が強まる中で、再び149円台に値を落とした。明日のパウエルFRB議長の議会証言を前に調整の動きが一気に強まった印象も。2月のISM非製造業景気指数は52.6と前回低下し、予想も下回った。新規受注は前回から上昇したものの、雇用指数が低下し、基準の50を下回っている。仕入価格も大幅に低下し、インフレの落ち着きを期待させる中身となった。ユーロドルは一時1.0875付近まで上昇。ポンドドルは1.27台に上昇、レジスタンス水準を上抜けるのかが注目される動き。あすの英春季予算案の提出を前にやや動意付いている。

(6日)
 東京市場で、ドル円はやや上値重く推移。パウエル米FRB議長の議会証言を前に、ポジション調整の動きがみられた。朝方に149.82近辺まで下げたあと、午前には150.08近辺まで下げ渋った。しかし、午後には再び149.81近辺に安値を広げている。米10年債利回りが4.164%から4.145%へと小幅低下した。ユーロドルは1.0842から1.0876まで、ユーロ円は162.63から162.93までのレンジ取引だった。本日政策金利の発表が予定されるカナダは、ドルカナダが1.3580-1.3600レンジ、カナダ円は110.22-110.44レンジにとどまった。

 ロンドン市場は、円買いが先行も、次第に円安・ドル安が優勢になっている。ドル円はロンドン朝方に一気に円高方向に振れた。「日銀の3月決定会合で、一部出席者がマイナス金利の解除が妥当と意見表明する見通し」とのヘッドライン報道に反応して、149.90付近から149.33近辺まで急落した。しかし、その後は下げ一服。欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移、米債利回りが上昇するなどの動きで149.80台まで買い戻されている。クロス円も下に往って来い。ユーロ円は162.20台から162.90台で、ポンド円は189.80台から190.70付近での振幅。ドル相場はドル安方向に振れており、ユーロドルは1.08台半ばから後半へ、ポンドドルは1.27台割れ水準から1.27台前半へと上昇している。ポンドにとってはこの後の英春季経済報告、ドルにとっては米ADP雇用統計に続いてパウエルFRB議長の議会証言が注目材料となっている。

 NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は一時149円台前半に下落、21日線を下放れている。パウエルFRB議長の議会証言が行われたが、証言開始前に事前原稿が流れ「年内いずれかの時点での利下げ開始が適切」と利下げに言及している一方、「2%目標の確信が深まるまで利下げは適切ではない」とも述べていた。市場の利下げ期待は追認するものの、時期や程度については経済指標次第とのスタンスを再度強調している。すでに早期利下げ期待を後退させている市場は、もう少しタカ派な内容になるのではとの警戒感も一部には出ていたが、予想通りの内容であったことから、為替市場はドル売りの反応を示した。この日はADP雇用統計と米求人件数が発表になっていたが、ともに雇用の落ち着きを示していた。ユーロドルは1.09台に一時上昇。明日はECB理事会が予定されている。今回は据え置きが確実視されているが、利下げ時期について初の議論が行われると見られている。ただ、各国間の意見調整の難航が予想され、早期利下げ開始となる可能性は低いとみられていた。ポンドドルは一時1.27台半ばまで上げ幅を拡大。2月からのレジスタンスを上抜けた格好。英春季予算案では、前日に伝わっていた通り、国民保険料率を2%ポイント引き下げると発表。エネルギー税や酒税の凍結も発表した。一部からは、今回の減税措置は英中銀のスタンスに大きな変更を与えることはなく、今後の利下げに対する警戒感を僅かに高める程度にとどまるとの見方が出ていた。

(7日)
 東京市場では、円買いが優勢。ドル円は午前に一部政府関係者が「日銀による3月か4月のマイナス金利解除に容認姿勢を示した」という報道を受けて円が買われ、149円割れに沈んだ。午後には下値を広げ、2月8日以来およそ1カ月ぶりの安値となる148.41付近まで水準を切り下げた。その後は下げ渋り、148.60台まで戻している。1月の日本毎月勤労統計で現金給与総額が市場予想を上回ったことや、中川日銀審議委員が2%の物価安定目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と語ったことも円買いを誘った。東京終盤では、植田日銀総裁が「物価目標実現の確度は引き続き少しづつ高まっている」「物価目標実現が見通せれば、大規模緩和の修正を検討」と発言。クロス円も軒並み円高に振れ、ユーロ円は161.83付近まで、ポンド円は189.06付近まで一時下落した。ユーロドルは朝から前日終値を挟んでもみ合いが続いた。

 ロンドン市場は、円買い一色となっている。にわかに日銀の早期マイナス金利解除観測が広がったことが背景。春闘で昨年を上回る賃上げ要求となるなかで、実質賃金の落ち込み度合いも緩和されつつある。先日の高田日銀審議委員や本日の中川日銀審議委員などからはマイナス金利解除に前向きな意見が出てきている。また政府関係者からも3-4月のマイナス金利解除を容認する論調が報じられていた。東京市場で149円台前半から148円台前半に下げたあと、ロンドン序盤には安値を147.77近辺まで広げた。2月7日以来、約1カ月ぶりのドル安・円高水準となっている。その後の戻りも限定的。クロス円も全面安で、ユーロ円は161円ちょうど付近、ポンド円は188.25付近まで安値を広げた。また、ECB理事会の金融政策発表を控えてユーロの上値が重い。対ポンドでの売りが顕著となっている。ECB理事会ではインフレ予測が引き下げられるとの観測が優勢になっている。今後の利下げの布石となるのかが注目されている。

 NY市場では、ドル円の下げが一服。一時147.60付近まで下落する場面がみられた。パウエルFRB議長の「利下げに踏み切るほどの確信はまだない」とする議会証言を受けてもドル買いの反応が見られず、明日の米雇用統計を前にロング勢が一旦上値追いを諦めたのかもしれない。ドル円は148円台に戻している。ユーロドルは1.09台半ばまで買われた。ECB理事会とラガルド総裁の会見を受けて上下動したものの、動きが落ち着くと買いが優勢となった。ECBは予想通りに中銀預金金利は据え置いたが、スタッフ見通しで2025年の見通しを2%にするなど、インフレ見通しを下方修正したことで、ユーロは売りの反応を示した。短期金融市場でも年内は1%ポイント、計4回の利下げを織り込む動きが見られた。ユーロドルは1.0870付近まで下落したが、その後のラガルド総裁の会見で、「景気抑制的な政策はしばらく続く。今回の会合で利下げは議論しなかった」などと述べていたことから、ユーロは買い戻されている。ポンドドルは上値追いが続き、1.28台に上昇。英中銀の利下げ開始はECBやFRBよりも遅れるとの見方があり、ポンドを下支えしたもよう。
 
(8日)
 東京市場では、円買い先行も、その後は一服している。ドル円は148円付近から一時147.53近辺と前日海外市場での安値147.59近辺を下回った。その後は急速に買い戻されて一時148円台を回復。しかし、一方的な流れとはならず、午後には147.80台を中心に揉み合っている。ユーロ円は162円を挟んだ振幅。ユーロドルは1.0944から1.0956までのレンジ取引。前日からの高値圏で揉み合った。次第に米雇用統計待ちムードが広がってきていた。

  ロンドン市場は、円買いとユーロ売りが主導。ドル円は一時146円に下落した。時事通信が「日銀が国債買い入れ規模示す新たな量的金融政策枠組みを検討」と報じたことがきっかけ。市場では日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、YCCの見直しをすると受け止めているもよう。さらに、「日銀、3月マイナス金利解除に傾く」との関係者発言報道も円買いを加速させた。来週の春闘の結果がカギとなっているという。ユーロ売りはECBの早期利下げ観測が背景。ECB理事会を終えてECBメンバーの発言が解禁となっている。仏中銀総裁が4月か6月の利下げ開始を示唆、一方、タカ派とされる独連銀総裁なども夏までの利下げ開始を声を揃えて示唆している。市場では6月利下げ開始の見方が有力になってきているようだ。ユーロドルは1.09台前半に反落。ユーロ円は円買いも加わって160円台後半まで下落している。一方、ポンドドルは買われて1.28台前半で高値を伸ばした。ポンド円は188円台半ばに下落も、対ユーロではポンド買いの動きだった。

 NY市場はドル売りが優勢となり、ドル円は一時146円台半ばまで下落する場面が見られた。本日の米雇用統計を受けてドルは下げを加速させていた。失業率が2年ぶりの水準まで悪化し、平均時給も伸びが緩んでいた。ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は27.5万人増と底堅さを示しており、力強さが失われたわけではないが、雇用の落ち着きは示していた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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