ドル円は142円台半ばに戻す展開 ただ、下向きの流れは継続=NY為替概況
ドル円は142円台半ばに戻す展開 ただ、下向きの流れは継続=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが優勢となり、142円台半ばに戻す展開。本日もドル円は下向きの流れが続き、一時141円台まで下げ幅を拡大。東京時間に一旦141円台に下落していたものの、海外時間に入って下げ渋る動きも見せていた。
しかし、積極的に買い戻そうという雰囲気もない中で、この日発表の11月のPCEデフレータが市場の早期利下げ期待を正当化する内容となったことでドル円は再び141円台に一時下落。ただ、クリスマス休暇前というこもあり動意は薄い。積極的にポジションを傾けようという動きもなく、ドル円は142円台下げ渋っている。
全体的な状況に変化はない。短期金融市場では3月までの米利下げ開始の確率を95%まで高めている状況。今週のドル円は日銀決定会合を受けて一旦円安が強り、145円をうかがう展開も見せていたが、結局、届かずに失速。再び200日線を下回って来ており、下値警戒感を高めている。
ユーロドルは一時1.1040ドル近辺まで上昇したものの伸び悩んだ。ただ、この日の米インフレ指標が米早期利下げ期待を再確認する内容だったこともあり、ドル安期待が根強い。ユーロドルは1.10ドルを固めようという動きも見られており、1.10ドル台を堅持している。
FRBは先週のFOMCで予想外のハト派転換を示唆していたが、ECBは依然としてタカ派姿勢を堅持しており、差し迫った利下げに投資家が賭けることを警戒したのとは対照的だった。
しかし、市場では来年に関してインフレよりも景気が意識されているのか、短期金融市場ではECBによる来年末までの利下げ幅は計1.65%ポイントが織り込まれているのに対して、FRBは1.57%ポイントが予想されている。その意味では市場の来年の利下げ期待はFRBよりもECBの方が大きい。
きょうのポンドドルは上に往って来いの展開。買い優勢で始まったり、一時1.27ドル台半ばまで上昇する場面も見られた。しかし、後半になって伸び悩んでいる。ただ、きょうのポンドは対ユーロでは買い戻しが優勢となっていた。
きょうは第3四半期の英GDP確報値が発表され、前期比0.1%のマイナス成長となり、前期比横ばいだった速報値から下方修正された。さらに第2四半期についても、0.2%増としていたものをゼロ成長に下方修正している。一応、ゼロなので2四半期連続のマイナス成長で定義されているテクニカル・リセッション(景気後退)はかろうじて回避された形にはなっている。しかし、前日の英消費者物価指数(CPI)の予想以上の低下と合わせて、早期利下げ期待は正当化されていると市場は考えているようだ。
英中銀はもちろんのこと、エコノミストの間でも利下げは来年下半期以降との見方が多い。しかし、一部からは来年上半期に利下げ開始との見方も出てきているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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