ドル売りが続き、ドル円は148円台前半まで下落 調整か一旦終了かで見方分かれる=NY為替概況
ドル売りが続き、ドル円は148円台前半まで下落 調整か一旦終了かで見方分かれる=NY為替概況
きょうもNY為替市場は全体的にドル売りが優勢となり、ドル円は148円台前半まで下落した。先週の米インフレ指標や小売売上高といった重要イベントを通過したが、市場はFRBの利上げサイクルはすでに終了との見方を固めつつある。同時に来年の利下げ期待も台頭させており、第2四半期以降の利下げ開始を見込んでいる状況。短期金融市場では3月の利下げも織り込む動きが出ているが、確率はまだ30%程度。
そのような中で、7月以降のドル高の巻き戻しが続いており、ドル円も戻り売りに押されている格好。今週は感謝祭ウィークで、週後半にかけて市場参加者も少なくなることが予想される中、ポジション調整が出ているものと思われる。
しかし、今回のドルの戻り売りが果たして調整の範囲なのか、それとも一旦相場が終了したのかについて見方が分かれている。今後のデータ次第という言葉に尽きるのかもしれないが、現在薄っすらと見えているFRBの利上げ終了と来年の利下げ開始のシナリオが今後一層強まれば、ドルの上げ相場は一旦終了とも見られているようだ。その場合、ドル円は200日線が視野に入る。本日の200日線は141円台半ば付近。
いずれにしろ、これまでドルを支えていたシナリオが後退しており、短期的にはドルロングの解消が続くと見ている投資家も少なくない。
ユーロドルは買い戻しが続き、1.09ドル台半ばまで上昇。7月から10月初めまでの下降波のフィボナッチ61.8%戻しが1.0960ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。
ユーロドルについては見方が分かれており、今回のリバウンド相場は短期で終わるとの見方の一方、本格的な上げ相場に発展するとの見方も出ているようだ。年内は狭いレンジで取引されるが、来年末までには1.20ドル程度まで上昇する可能性もあるとの指摘も聞かれる。ただ、それにはFRBが利下げを行い、債券や株式などの資産価値が上昇することが前提条件だという。
また、来年の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、ドル安がさらに加速し、ユーロドルを押し上げる可能性があるとも指摘。例えば、トランプ氏が輸入品に一律10%の関税を課すとすれば、ドル安の小波は雪崩に発展する可能性があるという。
ポンドドルも買い戻しが続き、1.25ドル台を回復。ローソク足が再び200日線の上に乗っており、上値期待を高める展開が見られている。目先は100日線が1.2510ドル付近に来ており、突破できるか注目される。
スナク英首相は、インフレを年内に半減させる目標を達成したため、減税に着手することが可能だと表明した。週内にハント財務相が発表する経済計画に減税が盛り込まれることを示唆している。同首相は昨年12月に10.5%に上昇したインフレを半減させることを目標に掲げたが、10月の英インフレは4.6%に低下した。だが、英政府はGDPに対する債務比率を計画の5年目に低下させることを財政規則の柱としており、減税の余地はほとんど残されていないとの分析も出ている。財政規則を守りつつ使用できる額は110億ポンド(約2兆円)しかないとの試算も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。