ドル円は一時150円台前半まで下落 円高の動きも圧迫=NY為替概況
ドル円は一時150円台前半まで下落 円高の動きも圧迫=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前半はドル売りが優勢となり、ドル円は一時150円台前半まで下落した。この日発表の米新規失業保険申請件数が予想を上回り米労働市場の軟化を示したことから米国債利回りが低下し、ドルも売りが強まった。原油相場も一時72ドル台前半まで急落する中で、ドル円は本日150.45円付近に来ている21日線を割り込む場面が見られた。
ドルは後半に買い戻されていたが、それ以上に円高がドル円を圧迫していた面もあったようだ。実際、ユーロ円やポンド円などクロス円の下げはきつかった。本日は好調を続けていた米株式市場が上げを一服させたことも円を買い易くした模様。本日決算を発表した世界最大の小売企業のウォルマートのCEOが「今後数カ月で米国のデフレが顕在化する可能性がある」と警告したことなども市場のリスク心理を冷え込ませていた。
ただ、米経済の軟化は円ロングには有利ではあるものの、最近の日銀のコメントは、インフレ見通しがより安定するまで緩和政策は継続されると投資家に喚起しており、円の上昇は限られる可能性も指摘されていた。
ユーロドルは一時1.0895ドル近辺まで上昇し、1.09ドル台を試す動きも見られた。ただ、ここ数日の急ピッチな上昇に、1.09ドルちょうど近辺では売りオーダーも並んでいたようだ。
テクニカルチャートによると、今回のユーロドルの反発は、8月末の高値1.0945を超える可能性を示唆しているという。ユーロドルは火曜日からの大幅な回復が先行しているが、週足のMACD(マックディー・移動平均収束拡散指標)がゴールデンクロスを示現しており、さらに反発の余地があることを示唆しているという。
一方で、今回の上昇は恐らく自律反発の域は抜けず、1.1065ドルの上値レジスタンスを上抜ける可能性は低いとも付け加えている。
ポンドドルは前日の下げが一服。一時1.24ドル台半ばまで上昇し、1.2440ドル付近に来ている200日線を上抜ける場面も見られた。しかし、その水準は上値抵抗として機能している。
前日の英消費者物価指数(CPI)を受けて、来年の英中銀の利下げ期待も高まりつつあり、ポンドの重しとなっている模様。この先、英中銀の利上げの影響が借入コストに反映され、労働市場は失業率が上昇し、求人倍率が低下するため、英インフレは24年半ばまでに2-3%の範囲内に低下するとの見方が一部から出ている。
一方、賃金上昇がこの予測に上振れリスクをもたらす可能性が考えられるが、賃金上昇はインフレに先行してはおらず、むしろインフレに遅れて出ている。従って、この先インフレがさらに鈍化し、実質賃金上昇率がプラスに転じれば、賃金上昇は遅れを伴いながらも緩やかなって行くはずだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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