ドル円は149円台を回復 米高金利の長期化観測がドルをサポート=NY為替概況
ドル円は149円台を回復 米高金利の長期化観測がドルをサポート=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は買いが続き、149円台を回復した。東京時間に一時149円台に上昇する場面が見られたものの、鈴木財務相からのけん制発言もあって148円台に伸び悩んでいた。しかし、下押す動きもない中で、150円を視野に入れた上値追いの流れは継続している。
FRBが高金利を長期化させるとの見方がドルをサポートしている。一方、それはソフトランディングへの期待を薄れさせ、投資家はリスク資産への投資を手控えている。為替っ市場ではリスク回避のドル買いが出ている面もあるようだ。また、米政府機関閉鎖の可能性が高まっていることもリスク回避の雰囲気を高めている。
為替介入ついては、ドル円の上げはまだ緩やかな上昇軌道に留まっており、ボラティリティは高まっていない。ユーロ円やポンド円などのクロス円では逆に円高の動きも見られ、円安よりもドル高の面が強く、現在の市場の動きは財務省に介入への正当な理由を与えていないものと思われる。
きょうもユーロドルはNY時間に入って上値の重い展開が見られ、1.0560ドル近辺まで一時下落。前日安値を下回ってきており、心理的節目の1.05ドルを試しそうな気配だ。ただ、テクニカル的には下げ過ぎ感も台頭して来ていることから、1.05ドルに近づくとショート勢による達成感からの買い戻しも活発に出そうな雰囲気もある。
米欧互いの相殺要因により、ユーロドルは年末まで比較的狭いレンジで推移し、2024年末までには1.12ドル前後まで回復する可能性があるとの指摘が出ている。
特にFRBが従来考えられていたよりも長い期間、高金利を維持する可能性を市場は高めており、それはユーロに対してドルを有利にするはずだが、これに対してはECBの最近の利上げが対抗しているという。
一方、FRBは米経済が2024年中に勢いを失い、インフレが目標の2%に近づくと予想しているが、それは市場に米利下げ期待を与えることから、ドルの重荷になるという。
きょうもポンドドルは下値模索が続き、1.21ドル台での推移を続けている。3月以来の安値水準を更新。FRBの長期の高金利維持への期待によるドル高はもちろんのこと、ポンド自体も先週の英中銀金融政策委員会(MPC)で、金利先高観が大きく後退し、これまでの追加利上げ期待の下支えをなくしている。ポンドは対ユーロ、円でも下落。
市場からは、英経済が市場の予想ほど悪くなかったとしても、ポンドは上値の重い展開が続くとの見方も出ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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