FOMCとパウエル会見を受けドル買い強まる ドル円は148円台回復=NY為替概況
FOMCとパウエル会見を受けドル買い強まる ドル円は148円台回復=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル円は買いが優勢となり、148円台を回復した。午後になってFOMCの結果が公表され、政策金利は予想通りに据え置かれた。今回はFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)も公表され、年内1回の追加利上げの可能性を示唆したほか、2024年は年末までに中央値で5.00-5.25%を見込んでいた。6月のドット・プロットでは2024年末までに4.50-4.75%まで利下げを予測していた。
発表後に市場にはタカ派なムードが広がり、米国債利回りの上昇の反応と伴に為替市場もドル買いの反応が見られていた。ただ、最もタカ派な予想では来年の据え置きを見込んでいたことからすれば、来年の利下げにまだ含みを残す予測でもあり、安心感もあったようだ。
直ぐにドルは伸び悩む場面も見られたが、パウエルFRB議長の会見が始まると、再びドル買いの反応が出ている。議長は「引き締めは慎重に進める」と述べたものの、追加利上げに前向きな姿勢も堅持していることから、米国債利回りの反応と伴にドルも買われていた。
ただ、ある程度想定範囲内でもあり、大きな反応までは見られなかった。
ユーロドルは1.07ドル台に買い戻されていたが、FOMCとパウエル議長の会見を通過して、再び1.06ドル台に値を戻す展開となった。きょうはECB理事のデコス・スペイン中銀総裁の発言が伝わっていたが、総裁は、現在の金利水準を維持すればインフレは目標までの鈍化が可能との見解を示し、利上げ終了の可能性も示唆していた。
一部からは、ユーロドルはすでに反転モードに入っている可能性も指摘されていた。先週に3月以来の安値を付けた後、下げ渋る動きが出ている。テクニカル面では引き続き弱気ムードが続いているが、1.06ドルちょうど付近に強いサポートが観測され、短期的に反発の可能性も示唆されているという。オプション市場でも1週間物のリスクリバーサルが依然としてマイナス圏にあり、下落リスクを意識しているものの、その意識が徐々に緩和している。
ポンドドルは買い戻しも見られていたものの、FOMCを通過して、再び下値模索の展開。本日は8月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、英中銀に安心感を与える内容となり、短期金融市場では明日の英中銀金融政策委員会(MPC)での、利上げと据え置きの確率が五分五分に変化している。
コアインフレが顕著に鈍化傾向を示し、特にサービスインフレが鈍化したことが心強いようで、英中銀のこれまでの引き締め策が功を奏し始めていることが示唆されている。市場からは、そろそろ利上げサイクルがより効果を発揮するよう時間を与えるべきとの主張も出ているようだ。
ただ、賃金の伸び率が依然として高いことを考えると、英中銀は恐らく明日のMPCで利上げを見送ることはないとの見解も出ている。ECBのように追加利上げを実施したうえで、利上げ停止の可能性に含みを持たせるとの見方も聞かれる。
英消費者物価指数(8月)15:00
結果 0.3%
予想 0.6% 前回 -0.4%(前月比)
結果 6.7%
予想 7.0% 前回 6.8%(前年比)
結果 6.2%
予想 6.7% 前回 6.9%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。