英賃金上昇率の加速で英欧利上げ観測高まる 欧州通貨買い ドル円は一時145円台後半=ロンドン為替概況
英賃金上昇率の加速で英欧利上げ観測高まる 欧州通貨買い ドル円は一時145円台後半=ロンドン為替概況
ロンドン市場は欧州通貨が買われている。ロンドン朝方発表の英雇用統計で週平均賃金の伸びが前年比+8.2%と前回の7.2%(6.9%から上方修正)から加速したことが背景。市場での追加利上げ観測が高まり、英欧債利回りの上昇がポンドやユーロ買いにつながっている。ユーロドルは1.0945近辺、ポンドドルは1.2730近辺に本日の高値を更新している。ドル円は145円台半ばから後半で上下動。鈴木財務相や神田財務官から従来通りの円安けん制発言が行われたが、円買い反応は乏しくドル円は145.87近辺まで一時上昇。その後は欧州通貨買いとともにドル売り圧力に145.50付近に押し戻されている。ただ、クロス円は堅調で円売り圧力は健在。ユーロ円は158円台後半から159円台前半へ、ポンド円は184円台半ばから185円台前半まで買われ、その後も高止まり状態となっている。短期金融市場では9月会合について英中銀の25bp利上げを完全に織り込み、ECBについては25bp利上げを5割程度織り込んだ。欧州株は軟調に推移しており、リスク動向に敏感な豪ドルやカナダドルなどは原油安もあって売られている。ロシア中銀は臨時会合で利上げを発表。中国人民銀はMLF金利に続いてSLF金利の引き下げを発表した。欧州通貨高の分、ドル指数は反落しているが、ドル高の流れ自体は継続している。
ドル円は145円台半ばでの取引。東京市場で145円台前半から半ばで揉み合いとなったあと、ロンドン序盤には145.87近辺まで高値を伸ばした。しかし、その後はユーロドルやポンドドルの上昇でドル売り圧力が、欧州株安で円買い圧力がみられ、145.50付近に押し戻されている。東京午後に鈴木財務相や神田財務官から円安けん制発言が相次いだが、円買い反応は限定的かつ一時的だった。
ユーロドルは1.09台前半での取引。東京市場で1.09台前半で揉み合ったあと、ロンドン時間にはじり高の動きとなり、高値を1.0945近辺に更新した。ユーロ円は158.50付近でサポートされると159円台から159.34近辺まで買われた。対ポンドではユーロ売りが先行したが、すぐも買い戻されて揉み合っている。独ZEW景況感指数は-12.3と前回の-14.7改善した。ただ、独ZEWは回答者の大半がユーロ圏と米国における今後の金利上昇を予想していない、としており、きょうの英賃金インフレを考慮するとやや楽観的な見方にも思える。
ポンドドルは1.27付近での取引。東京市場で1.26台後半での揉み合いが続いたあと、日本時間午後3時に発表された英雇用統計に反応した。平均時給の伸びが一段と加速、英債利回り上昇とともにポンドが買われた。ポンドドルは1.2730近辺に高値を更新。ポンド円は184円台半ばから185.30付近まで買われた。いずれも足元では買い一服となっているが、英指標発表時よりはポンド高水準を維持している。ユーロポンドは0.8580付近に下落したあとは0.86挟みに落ち着いている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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