米雇用統計を受けてドル売りが強まる ドル円は141円台に下落=NY為替概況
米雇用統計を受けてドル売りが強まる ドル円は141円台に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は141円台に下落した。一時141.55円付近まで下落。この日発表になった米雇用統計を受けて売りが強まっている。
非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ったことで、雇用ひっ迫への懸念は後退。しかし、失業率は前回から低下し、平均時給も前年比で4.4%と予想を上回り、高い水準が続いていることから、市場が期待しているFRBの利上げサイクル終了を正当化するまでの内容ではない。短期金融市場でも見方に大きな変化は出てない。
ただ、今週発表の雇用指標が強かったことから、米雇用統計も強い内容になるのではとの見方も高まっていただけに、その意味では安心感も広がっていたようだ。
米国債利回りも大きく低下する中、ドル円も戻り売りが強まっている。目先は141.65円付近にフィボナッチ38.2%戻しの水準が来ている。
ユーロドルは一時1.10ドル台半ばまで買い戻された。100日線で反転した格好となっており、目先は本日1.1075ドル付近に来ている21日線の回復を試しに行くか注目される。ただ、ユーロ圏の景気後退への懸念も根強い。週初に発表された第2四半期のユーロ圏GDPは予想を若干上回り、明るい兆しも見られていたが、年後半にも景気後退に転じる可能性が高いとの指摘も出ている。見出しの数字が暗示するほどバラ色ではないという。
企業の景況調査が悪化しており、ECBのこれまでの引き締めの影響が今後出てくることが予想される中で、ユーロ圏のGDPはこの先2四半期は小幅な縮小となり、浅い景気後退に陥る可能性があるとしている。
ポンドドルも買い戻しされ、一時1.27ドル台後半まで上昇。日足ベースのローソク足を見ると、前日に長い下髭を付け、本日は反転していることから、リバウンドの可能性を期待させるチャートではある。
ただ、ファンダメンタルズ的には英経済への不透明感が強い中で、大手アセット・マネジメントは、英経済見通しが弱いことを理由に、ポンドのポジションをアンダーウエイトに引き下げたことが伝わっている。
今後、ポンドの投資家は英経済見通しがますます暗くなることを織り込み始める可能性があるという。昨年10月以来、ポンドは重力に逆らったかのように上昇してきた。しかし、いつまで続くかは疑問で、英経済データが今後数カ月はまったく期待外れとなるリスクがあると警告している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。