ドル円は141円台前半に伸び悩む 株安で利益確定売り=NY為替概況
ドル円は141円台前半に伸び悩む 株安で利益確定売り=NY為替概況
きょうのドル円は海外市場に入って戻り売りが優勢となっており、一時141円台前半に伸び悩んだ。東京時間には一時142円台に上昇したが、株式市場が軟調に推移していることで利益確定売りが出たようだ。
ドル自体は売りが優勢となっているものの、円安がそれを凌駕している。依然として市場が金融政策の格差に着目する中、ファンド勢や投機筋中心に円売りを活発に入れているようだ。今週は米経済指標の発表が少なく、パウエルFRB議長の議会証言が注目される中、それに対する市場の反応はドル売りの見方もあり、上値では利益確定売りも出ている模様。
フィボナッチ水準が来ている142円台半ばの水準が目先の上値メドとして意識されているが、テクニカル的にはまだ過熱感はそれほど高くはない。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは64で推移しており、買われ過ぎを示す70よりも下で推移している。
この局面では日本の財務省による介入への憶測がどうしても出てくる。しかし、現段階での介入の可能性は低いとみられているようだ。市場が介入リスクを意識するためには、昨年当局が介入を促した150円台の水準まで押し上げるような強い勢いが必要との声も聞かれる。
昨年とは状況が違い、世界的にコモディティ価格が下落しているほか、サプライチェーン問題もかなり緩和している。実際、日銀が発表している企業物価指数の中の輸入物価指数は円ベース前年比で下落傾向を見せており、現在の円安は日本経済にとって圧倒的にメリットのほうが大きい。また、米財務省の為替報告書で日本は為替操作国の監視リストから除外されている。聞かれれば、「必要であれば断固たる対応」という、「遺憾」に次ぐ名ゼリフを言う程度で終わるのではと思われる。
ユーロドルは先週末に心理的節目の1.10ドルをうかがう展開も見られていたが、今週に入って戻り売りに押されており、本日は1.08ドル台に下落する場面も見られた。
そのような中、一部からはユーロの上昇余地は当面限定的になる可能性が指摘されている。今後のユーロ圏の経済指標はインフレ圧力の緩和を示し、ECBが慎重姿勢に転じる可能性がある。そのため、ユーロの上昇余地は短期的には限られる可能性があるという。
9月まで多くのデータが発表されるが、これらがどのようなサプライズをもたらすかは誰にもわからない。最近、ECB理事が追加利上げについてタカ派的な発言をしたのに続き、データで物価上昇圧力の緩和が示されれば、慎重な発言に転じる可能性があるとしている。
今週のポンドドルは戻り売りに押されており、1.27ドル台前半に伸び悩んでいる。先週は一時1.28ドル台半ばまで上昇していた。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、追加利上げが確実視される中、足元の英雇用統計やインフレ指標に強い内容が相次いでいることから、さらなる利上げの可能性も示唆してくるとみられている。
一部からは、英インフレはEU離脱が重荷となり、長期的に高止まりする可能性も指摘されている。英インフレはEU離脱に伴う圧力により、米国や他のEU諸国のインフレよりも長く高止まりする可能性があるという。労働市場の逼迫、EU離脱による労働制約の増大、比較的開放的な経済、財政政策が十分に制限的でないことなどを理由に挙げている。
しかし、英インフレが長期的に上昇しても、住宅ローンの借り手を保護したいという英中銀の意向から、恐らく積極的な利上げの引き金にはならないとも指摘。市場は、英中銀は来年まで利上げを続け、ターミナルレート(最終到達点)が6.00%になるとの見方を織り込み始めているが、利上げは今週のMPCを含めて、あと2回と考えているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。